教科書に載っている歴史は時代の為政者や権力者である男の顔や武勇伝ばかり。
歴史の積み重ねはいまの私たちと繋がっているはずなのに、自分とは遠く切り離されたもののように感じられる方、少なくないのでは?
だけど、歴史を動かしてきたのは、彼らのような時の権力者ばかりじゃない!
フェミニズムコミック「ウーマン・イン・バトル」は、自由・平等・権利を求める女性たちによる女性たちのための150年の闘いと女性の歴史を描いたノルウェー発のフェミニズムコミックです。
「19世紀、女性と男性はまったく別の人生を送っていた」からはじまる冒頭。
19世紀の女性たちは、参政権、教育権、身体の自己決定権を著しく奪われた厳しい日常を生きていました。
いま私たちが持っているこれらの権利は、名も無き(ことにされてしまっている)女たちの行動が、道を切り開いてきたから。
女性たちによる奴隷解放運動や映画化されたサフラジェットの活動から、マララ・ユスフザイさんの活躍まで、フェミニズムの重要な人物と出来事がピックアップされて世界の女たちの歴史が描かれています。
サフラジェットらの活躍も後押しとなり、イギリスでは1918年に女性が参政権を得ました。が、この時参政権を得たのは30歳以上の女性のみ。当時男性の参政権年齢は21歳でしたが、同年代の女性たちは「世間知らず」とされていました。日本では最近、医学部入試で女性の方が男性よりも「コミュニケーション力が高いから」という理由で減点されていましたが、こうやって各国の女の歴史と照らし合わせると、時代や国によっていかに根拠なく、都合良く、「女だから」という理由で男たちが女をコントロールしてきたかが明らかになります。
名も無き女性たちの運動の実績がわかる「ウーマン・イン・バトル」。
赤と黒を貴重にしたシャープで鮮やかな色彩に媚びのない表情から提示される、強く聡明で勇気のある女性像にもわくわく。彼女たちはみんなヒーロー。子どもの頃に出会っていたかったとも思います。というわけで、若い女の子たちにもオススメ!
闘いに時々くじけそうになったり疲れてしまったフェミのみなさまも是非読んでみてください。私たちの少し前を生きた先輩たちの活躍に勇気と希望が湧いてきます。