北原みのりの最新作です。サインつきでお送りします。お客様のお名前も入れてお届けしますのでご希望のお客様は、お手数ですが、ご注文時にメモ欄に入れさせていただくお名前をご記入下さい。よろしくお願いします。
「アンアンのセックスできれいになれた?」を8月19日、朝日新聞出版から出しました。アンアンは1970年に創刊されました。三島由紀夫が割腹自殺した年。ウーマンリブが誕生した年。ついでに言えば、私が生まれた年。アンアンは誕生しました。
できたばかりのアンアンは、それはそれは美しい雑誌でした。日本で誰ももっていないビトンを軽々と持ち、パリに行こうよ! ロンドンで遊ぼうよ! とそれまで誰も提案したことないことを、声をあげて言い出したのがアンアンでした。女の子はもっと世界に飛びだそう! と。
70年代のアンアン。今の雑誌では考えられなくらい、アナーキーで政治的な香りもします。未婚の母になろうとしていた加賀まりこを「やっちゃいなさいヨ!」と応援し、「女どうしだってセックスできるよ!」と突然宣言しちゃったり、NHK職員が「マリファナ吸いたい」と投稿してきちゃったり・・・
驚くべきことに、読者ヌードも70年代初頭からありました。商社に勤める女性が「会社に来る人はみんなハゲオヤジ」みたいなことを言ってヌードになっている写真を見た時は、いったいこの時代と今が、地続きの日本なのか・・・? と言葉を失ったものです。
そして80年代。80年代は、ばかみたいに「女の時代だ!!!」と言われ続けました。男女雇用機会均等法施行は1986年。その時代にアンアンは「もうコピー取りなんかしたくない!」と声をあげては就職情報を紙面に掲載し、「もう徹底的に遊び回ってやる」と宣言してはハウツー夜遊びを徹底的に教えてくれるようになりました。本格的な女の”社会進出”。女たちの背中をエイッ! と押すような記事が続出します。
「抱かれたい男」の原型「セックスしたい男」が登場するのも80年代前半。「抱かれたい」じゃなくて、「セックスしたい」だからね! あの頃の女の勢いが伝わります。ちなみに、第一回セックスしたい男はベスト1は・・・山崎努でした。
山崎努。セックスしたい男第一位! この時既に山崎努は40歳を超えてました。なぜオヤジが! と不思議な思いにもなりますが、選ばれた理由は「セックスが上手そうだから」。キムタクに、これ言えないよね。大人の男には金と技がある・・・と思われていた80年代です。
そうそう、日本で初めての裏ビデオ「洗濯屋ケンちゃん」に登場していた男優に、まじめなロングインタビューをしていたのもアンアン80年代的、です。エロなんです。オバカなんです。軽いんです。80年代って。
そして89年の「セックスで、きれいになる。」誤解している人は多いけれど、アンアンがセックスを扱ったから話題になったのではなく(だってそれまでだってさんざんセックスのことは特集していたのだから)、「きれいになる」としたことが新しかったんです。セックスを、オシャレに語る、ことがものすごく新しかった。
私はアンアンが大好きでした。本当に読み込んでた。毎週買ってました。高校生の頃から29歳あたりまで。 89年のアンアン「セックスで、きれいになる」がなかったら、私は、今、バイブ屋をやっていなかったとも思う。そう言い切れるくらい、アンアンが好きでした。
今の若い女子は、アンアンが輝いていた頃をそもそも知らないと思う。だけど、間違いなくアンアンって、日本の女のカルチャーを先導してた雑誌でした。女はもっと自由に、女はもっと個性的に、女はもっともっともっと外に行こう! 色んなものを観よう! カッコヨク生きようっ! て教えてくれた。
そのアンアンが変わってきたのはいつ頃??? とセックス特集を中心に読み込んでいくと・・・だいたい97年頃からね・・・あることをアンアンが言い始めるんです。「愛あるセックスだけが、あなたをきれいにします」と。なんだよ、それ。愛があるかどうかわかんないけどとりあえず肌を重ねるセックスが一番気持ちいいんじゃねーの!? と浮かれてたそれまでの20代を全否定されたような気分になったものです。そんなアンアンが21世紀をどう生きていくか。もう「時代の顔」ではなくなってしまったアンアンが、どのように変わっていくのか・・・を、考えながら21世紀のアンアンを読みました。
私自身もバイブ屋をはじめ、色々なことがあった10年です。
2007年夏に飯島愛さんがLPCにショールームにいらっしゃったことがありました。たくさんのバイブを買ってくれた。愛さんは、バイブ屋を始めようとしていて、うちからも多くのバイブを仕入れてくれました。「女性のためのアダルトグッズを」と愛さんはおっしゃっていて、私はドキドキしました。大変なライバル店ができる・・・と。でも、どこか何か違う気がしてた。愛さんが注文してくれて、結局、それは愛さんが売ることはなく、ラブピースクラブに大量の在庫として残ったものがあります。
それは、バイブでもローションでもなく、絵はがきでした。 I LOVE YOU と書かれた絵はがきでした。大量に残されたそのポストカードを、私は今年の夏、ようやく、売り切りました。4年かかった。I LOVE YOU のポストカード。それをみながら、愛さんがセックスになぜこだわったのか、なぜ若い女性たちが愛さんに憧れるのかを、考えずにはいられませんでした。・・・と。
そんなこと。70年代のアンアンから2011年までのアンアンまでを読みながら、女のセックスの歴史を書きました。全国の書店でも、アマゾンでも、そしてラブピースクラブでもお買い求めいただけます。本当は全国の書店にサインに行きたいくらいです。買って下さった方に、アンアン凄いんですよ! と伝えたい!
「アンアンのセックスできれいになれた?」 よろしくお願いします!
北原みのり2011年夏
※ラブピースクラブでご購入いただいたお客様には北原みのりのサイン本でお送りできます。但し、通常商品よりもお届けにお時間がかかりますこと予めご了承のほどお願いいたします。
匿名希望 面白かった
私は最近のアンアンしか知らない、男に奉仕するセックス、愛されるためのセックスをする。この本を読むとアンアンと女性の移り変わりがよくわかります。著者の考え方、お店のエピソード、1970年からの歴史などもざっと知れる。興味がわいて、母親に昔のアンアンってどんなだった?と思わず聞いてみたくらい。これからも私は女にとってセックスってなんだろう、って性について考えていくんだろうと思った。
いっこ。 日本の女性の遍歴。
著者を「面白い文章を書く人だな。」と、思っていました。
雑誌を買う習慣の無い私は、ananも一冊しか買った事が
ありませんでした。その一冊が、あまり好きにはなれません
でした。
そのananを一から見直して大好きと言う著者は、どういう
ananの見方をするのだろう?そう思って、読みました。
とても面白かったです。女子高生だった著者のananとの
出会いと、ananへの想い。それは、日本の女性の生き方を
反映しているもので、誰もが共感できる所があるはずです。
著者のツッコミが、なんとも言えず面白い。
喜怒哀楽を時代と共に経験して、それでも生きて行く。
日本の女性の行き先は、どこへ向かうのでしょうか?
考えさせられる一冊です。
著者のことをますます好きになりました。
サインも頂けて、元気のもとの一冊になりました。