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ブランドインタビュー第三弾!日本初&日本発!!ハーネスセックスを熟知した女性が作る《自分が欲しいトーイ》を形にした「fantastick」誕生ストーリー
17.05.26 by



20170601fantastick02.jpg女性同士のセックスを、もっと楽しく、もっと前向きに、もっと自由なものにしてくれるハーネス&ディルド。

海外では、FtMやレズビアンなど、ハーネスセックスを熟知した女性たちがつくるディルドメーカーやハーネスブランドが人気で、「自分の欲しいトーイ」を当事者が作ることは、あたりまえのこととしてすでに実現されています。

対して、日本ではセックストーイ業界は未だ男性中心。
女性用のトーイであっても女性の視点はなかなか取り込まれず、アダルトショップに並ぶ日本製のセックストーイの多くは、リアルなペニスを模したグロテスクなものや、ペニスに装着するタイプのペニバンなど、「男たちのファンタジー」を具現化したものばかり。
そのような商品は、女性には使いにくかったり、安全性に疑問符がつくようなものだったり、女性の立場に立ったものと言えないものが多いんですよね。

そんな状況を根本から変えてしまう、女性による、女性のための商品が、ついに!日本でも!登場した!という一報を受けてラブピスタッフ一同、期待と喜びで大盛り上がり!
その名も「fantastick」。日本のメーカー「リグレジャパン」から発売されたハーネス&ディルドです。
しかも、開発者は同メーカーに勤めるレズビアンの女性。
構想に10年、作成に2年。合計12年を費やした満を持しての発売です。
長い年月を経て、日本でもやっと当事者の視点から作られた「私たちのためのトーイ」が実現された!セックストーイ業界の大転換!早速、開発者の山口敦子さんにインタビューいたしました!


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ラブピ:「fantastick」を作ろうとしたきっかけを教えてください。


セックストーイを初めて作りたいと思ったのは、21、2歳の頃です。当時は大学生になったばかりで好奇心旺盛な時期。ディルドセックスがしてみたくて、ラブピースクラブで初めてディルドを購入したんです(笑)。
以降、ラブピースクラブに限らず、様々な通販ショップやアダルトショップでディルドを買ってきました。ところが、なかなか使い勝手のいいディルドに出会えなかったんです。
ディルド固定用の金具がパートナーに当たって相手を痛めてしまったり、グロテスクな見た目に萎えてしまったり……失敗談は数知れず(苦笑)。
実際に使ううちに、「こうだったらいいのに」という改善点がいくつも見えてきて、やがて、「いつか自分の理想のトーイを形にしたい」という思いを抱くようになりました。
今回初めて企画開発を任されることになったときに、長年温めてきた「理想のトーイ」をカタチにするしかない!と、試行錯誤して完成したのが「fantastick」です。


ラブピ:ディルドは山口さんご自身が実際に使いにくさを感じられてきたんですね。具体的には、どういうところが使いづらかったのでしょうか?


ディルドを固定するために付いているビスが、相手のクリトリスに当たってしまって「痛い」と言われたことは何度もありましたね。また、ハーネスの装着に手間取って、自分もパートナーもお互い興ざめしてしまった……ということも。
根本的な一番の問題は、通常のハーネス&ディルドでは、タチ側(装着側)が快感を得られないということです。
バイブ機能がついていてお互いが挿入するタイプのシェアバイブを使えば、タチもウケ(挿入側)も快感は得られるのですが、バイブが勝手に動いてくれるため、自分の必要性が感じられなくなる……なんてこともありました。
ハーネス&ディルドにしても、シェアバイブにしても、セックスが、自分の快感と切り離されたエクササイズのようになってしまうことは、どうにか改善出来ないものかと不満でした。


ラブピ:ディルドの使いにくさは、周りのレズビアンの間でも話題になっていましたか?


私と同じ立場のタチの友人からは、シェアバイブを使ってみたら痛かった、という話を聞きました。
タチの人というのは、リバタチ(装着側も挿入側もする人)でない限り、自分自身の性器にディルドを挿入する経験がない人が多いため、慣れていないんです。
あとは、ディルドにローターを内蔵して自分も快感を感じられるようにカスタムしているタチの人は結構います。


ラブピ:日本のレズビアンで、女性向けのハーネス&ディルドを作られたのは山口さんが初めてですが、その点について思うことはありますか?


「日本初」というのは嬉しいです(笑)。「fantastick」を使ってみて、1人でも多くの女性に、セックスをもっともっと楽しんでいただけたらいいですね。
いままでは指と舌だけが選択肢だったレズビアンのセックスに、「fantastick」も選択肢の一つに加ってくれたらいいなと思います。


ラブピ:レズビアンの女性が、レズビアン向けの商品を作る。海外では、いくつも前例がありますが、その点については意識されていたのでしょうか。


海外製品を参考にしたことはありません。実は、「fantastick」を商品化するまで、海外ではレズビアンの女性が開発した「タチ側にも快感があるディルド」が存在していることを知らなかったんです。つい最近、ラブピースクラブのホームページで、海外では当たり前にレズビアンがグッズを企画していることを知りました。
日本でも、レズビアンに限らず、もっと多くの女性が、自分の欲しい商品を作れるようになって欲しいです。近年、「iroha」など女性をターゲットにしたグッズも出てきていますが、まだまだ男性目線の物が日本製では多いので、日本のアダルトグッズ業界にも今後どんどん女性が進出してほしいですね。面白い業界なので是非!


ラブピ:なるほど。海外製品を意識しなかったため、前例に縛られない発想で「fantastick」を作ることが出来たのかもしれませんね。では、「fantastick」ならではの売りをズバリ教えてください!他のディルド&ハーネスとは何が違うのでしょうか。


20170601fantastick03.jpgまずはじめに、タチ側にも快感があるということです。それも、全く新しい方法で快感を生み出しています。
装着側には、山形の突起がついていて、この突起部分が、装着した時にちょうどクリトリスに当たります。例えるなら、ホットドッグのようにディルドが装着側の股間にすっぽりと挟み込むように包まれる。そのため、ベルトや器具で固定しなくても、クリトリスからずれる、ということがありません。
さらに、ハーネスの伸縮性が高いため、タチ側の人の「腰の動き」に連動して自然にディルドがスライドするんです。装着側が受ける刺激が、電源モーターなど機械に頼るものではなく、「自分自身の動き」に結びついるため自然と気持ちよくなれます。


ラブピ:これは画期的ですね!「fantastick」の自然な動きを生み出すまでには苦労されたのでしょうね。


そうですね。当初は、ディルドの結合部分に遊びを持たせて、その遊びを利用して、ディルドをスライドさせる予定だったんです。紙粘土で試作して、装着して、と繰り返していく中で、ディルドの形状に変化をつけるのではなく、生地の伸縮性を利用すればスムーズにディルドが動くことに気がつきました。


ラブピ:私も実際装着してみて驚いたのですが、パンツタイプのハーネスの生地の「薄さ」がポイントになっているんですよね。


はい。薄くて柔らかいパンツは履き心地の良さやフィット感だけでなく、伸縮性が高いので、腰の動きとディルドの重みによって伸び縮みする。これによって、ディルドが腰の動きに連動して動く仕様です。
また、一見すると、こんなに薄い生地でディルドはちゃんと固定されるのだろうか?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、ヴァギナ下までディルドが伸びていて、股間で挟み込むように固定されるため、ディルドはしっかり立ちます。


ラブピ:「fantastick」の魅力はこれだけに収まりません。他にもオススメの点を教えてください。


まず、ディルド固定部がフラットになっているため、ビスや突起物で挿入側の人を痛めてしまう心配がありません。また、ディルドが柔らかく、しなやかに曲がるので、正常位や座位などあらゆる体位にも対応可能な形になっています。
ぜひ、いろんな体位にトライして見てください!
加えて、パンツを履くだけでOKな簡単でスムーズな装着も大切にしました。
ディルドを装着する時間というのは、男性に例えるならコンドームを装着する時間のようなもの。「fantastick」なら、初めての人でももたつかず、手間取らずに装着することが可能です。
もちろん、安全性にも留意して、素材はシリコンを使っていますし、パンツは何度洗濯しても大丈夫なように、耐久性が強い日本製のものにこだわりました。


ラブピ:「fantastick」のデザインはどのようなコンセプトに基づいているのでしょうか?


海外製のディルドは大きいものが多く、私自身、Mサイズを注文したら予想以上に大きくてびっくりした経験があります。その点、「fantastick」はアジア人が使いやすい細身のサイズになっています。
また、ディルド本体に凸凹がなく、ペニスから遠ざけた、シンプルで中性的な形状にしました。
レズビアンの人たちにリサーチしたところ、「ペニスの形が苦手」という人が多かったんですよね。一方で、「ディルドを身体の一部として見たいから肌に馴染むベージュが欲しい」という意見も多くいただきました。
そこで、男性のペニスを模倣をしたものや、えげつないピンク色など、巷に溢れているいかにも「エロ」「大人のおもちゃ」というイメージから離れたデザインで、かつ、身体に馴染むものを意識しました。ハーネスセックスが、決して「非日常のエロ」ではなく、私たちレズビアンの日常に自然に溶け込むものであればいいなと思っています。


ラブピ:実際に使った人の反応はどうでしたか?


20170601fantastick05.jpg着用された方は、まず、フィット感に驚かれますね。先日行われたフェチ系のイベントに出展した際も、「AV業界の中でもっともディルドを使ったことがある」と名高いある女優さんが、最初はあまり興味を持たれていなかったのですが、履いた瞬間一変。「うわー!なにこれ!」と履き心地を絶賛してくださいました。東京レインボープライドで試着会を行ったときも、履き心地と腰を動かした際のディルドの動きに、みなさん驚かれていました。


ラブピ:第二弾の構想はあるのでしょうか?


次回はディルド側の改善をしていきたいですね。素材をさらに柔らかくして、タチ側もさらに、挿入感を感じられるようなものにしたい。「自分の性器を相手に挿入しているような感覚」を味わえるものを最終的には作りたいです。また、「fantastick」は細身のサイズですが、それでも、周りのレズビアンからは「大きい」という意見もいただきました。レズビアンの人は、指を使ったセックスに慣れている人が多いので、ディルドも指の長さがあれば充分という人が少なくない。第二弾は、そのようなご要望にもお応えしていきたいです。


ラブピ:今から第二弾も楽しみです!最後にこれから「fantastick」を使う女性たちに向けてメッセージをお願いします!


「今まで感じたことがない」「イッたことがない」とオーガズムを感じたことのない女性は多くいらっしゃいます。そのような女性にも、セックスの快感と楽しさを味わっていただけるような、機能性の高いアダルトグッズを今後開発していきたいです。
肯定でも否定でも、「fantastick」へのご意見や感想をいただけると次回のヒントになります。忌憚なくドシドシご意見ください!



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インタビュー・構成:LPC編集部

【編集部感想】
当事者の視点から、そして、トーイのプロとしての視点から、製品づくりに取り組む山口さん。インタビューでも、正確に、率直に、ありのままの言葉で語ってくれようとする真摯な姿が印象的でした。
「売れさえすればいい」と消費の原理のみで投げやりに作られた商品が溢れているなか、「いいものを届けたい」という確固たる哲学が商品の土台になっている「fantastick」。「こういうのを待っていたんです!」「この発想はすごい!」と実際に使ったレズビアンの方からの声も、早速ラブピに届いていて発売早々大反響。私たちのセックスが、今よりもっとポジティブになるように。女性同士のセックスの可能性を大きく広げてくれる「fantastick」に注目です!

【リグレジャパン】
あなたの“欲しい”をつくりたい―がコンセプトのグッズメーカー「リグレジャパン」。年齢や性別、セクシャリティにとらわれることなく、純粋に性を楽しむ事を応援しているメーカーです。数ある自社商品の中から、女性が女性のためにつくったアイテムだけを紹介した女性のためのアダルトグッズサイト「L-LIGRE(エルリグレ)」も運営。このインタビューではすでに「fantastick」第二弾の構想もあるとのこと!国内からも女性による女性向けの商品がもっとたくさん発信されてほしい!今後の展開が楽しみです!