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自民党の竹下総務会長が、11月23日にこんな発言をしたそうだ。

「もし(国賓の)パートナーが同性だったら、私は(出席には)反対だ。日本の伝統に合わないと思う」

宮中の晩餐会で、天皇皇后両陛下が国賓を迎える時に、同性をパートナーとして連れてきても入れないよ。って話し。

実際に2015年には、駐日デンマーク大使のA・カーステン・ダムスゴーさんが
天皇陛下に会うために同性のパートナーと訪れたところ、そのパートナーを”配偶者”として扱うことを拒否したそうだ。この事実をA・カーステン・ダムスゴーさんが公表しているとのこと。

竹下総務会長は前に、フランスのオランド前大統領が来日した時に、パートナーとの関係が事実婚であったために、「奥さんではなくパートナーだという女性が天皇皇后両陛下と並ぶわけで、どう対応しようかと宮内庁は悩んだ」とも話したそうだ。この時は、結局事実上の“配偶者”として認めたらしいが・・・・。

こんなケースもある。来賓が一夫多妻の“文化”を持つ国から訪れる場合、“第二婦人”は、“配偶者”としておとがめもなく、目立った異論も出ず天皇陛下と並ぶことができる。まぁ確かに日本の文化としては、“2号さん”なんて言葉がつい最近まで普通にあったわけで、日本文化に合っているというか、男達にとっては身近で納得できるんだろうね。

男が引く境界線って、すごくないですか?
FTMである私は、これまで男から何度も境界線を引かれてきたが、その“わかりやすさ”というか“露骨さ”がすごい。

ある男は、私が男ではないと知った途端、世間話をしなくなった。
何を話していいのかわからなくなったのか?つまらない話しをいつもべらべらしていたのに。男という記号がなくなった瞬間に、彼は私へのコミュニケーション回路をストップさせたのだ。それは意識的でなく、自動ストップをかけたかのような無意識の中の停止に思えた。その後、リセットされることはもちろんなかった。

ある男は、私が男ではないと知った途端、説教を始めた。
この世には男と女、デコとボコしかない。おまえは身体は女なのだから、“正常”な生き方をすべきだと、自分の思考回路を乱す信号に修正を求めてきた。こちらももちろんリセットすることはなかった。

ある男は、私が男ではないと知った途端、私を見世物にすることに決めた。
男でも女でもないもの、それは“特異な生き物”“好奇心をぎらぎらさせてぶしつけな視線を与えていい見世物”そんな風に“扱い”始めたのだ。2人きりの時はほとんど話さないのに、誰かがいると「この人女が好きなんだよ。」「ねぇ、どんな人が好きなの?」「触ったりするの?」と質問し、その反応を出し物のように披露する。そしてその日は私は見世物になった。

だいたいがこのパターン。一番多いのが始めのパターンだ。もちろんオンナはそんなことしない!なんてことはなく、そういう境界線を引く人は性別に関わらずいるものだが、オンナの場合、私を拒否する人はフェイドアウトするように消えて行く、そんなパターンが多い。

自分がいる世界を男はすべて把握していると思っているように思う。その世界はえらく小さいものだからやっかいだ。

仕事の場でも感じませんか?どんなに理不尽だと思う理屈も、男が作る会社という社会のル-ルは絶対で、そのルールは理解するものではなく、覚えて従わなければいけないものとして存在する。その会社から離れたら、誰にも通じない変なものでも、そこに生きる私達にとっては社会のルールのように自分を縛り付ける。そして、その会社のルールはどこか世間の、というか男が作る社会のルールとも共通点があったりして、逃げ場がない。

昔、コンテンツのコンペに出展した時に、会社からなぜか3作品を出せと言われた。その通り仕上げたら、なんと私以外の同僚と後輩の男の名前で2作品を出せと上司が言ったのだ。私の作品をなぜ?と聞くと上司は「個人プレーよりも団体プレーが大事なんだ。3作品のどれが選ばれてもうちの会社の作品なんだから、自分だけ目立とうとするな」とのたまわった。さすがにそれはできないと抗議をし、3点出展し、どれもが最終選考に残り、そのうちの1つが選ばれたたのだが、それに対し“おめでとう”も“ありがとう”も一切なし。私はチームプレーができない組織には合わない人材としてなじられた。
今にしてみれば、とんでもない話しだが、あの時の私はそれなりに悩み、もしかして私は自分勝手なの?と考えたりもした。

いいか、わるいか、いたいか、いたくないか。そんな判断も許されず、器に入ることを求められる社会の中で、そのル-ルやルールのあり方、ルールとの向き合い方をオンナよりも知っている男はこの世界では生きやすく、そのルールを変えることもオンナよりは難しくはないのだろう。日本文化らしいとは何?同性パートナーがなぜいけないの?セクマイの当事者としてそんな問いへの答えを何通りも言えるようにならなければ、世界は変わらないのだろう。でもなぜ考えなければいけないのがいつも当事者なのだろうか?

セクマイのことだけではない、マイノリティ、そして声の小さなものが、改善や訴えの根拠、そして説明をしなくてはならないのは、理屈に合わないではないか。

マジョリティ、声の大きなものよ、考えろ。悩め!「宮内庁は悩んだ?!」何を言ってる竹内総務会長。悩ませる原因である“者”が悪いのか?悩むことを危惧したり、避けようとする人を私はこれからも悩ませ続けよう。

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アンティル

アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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