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昨日、『ドイツ・第三の性容認へ』というニュース発表された。
役所に登録されている性別を、女性でも男性でもない“第三の性”に変更できように求めた原告の訴えに対して出された判決を紹介するものだった。
数年前にはネパールでパスポートの性別に、otherを表す”O”という記載が許されたが、もし私が”O”を選べるとしたら、どうするだろう?そんなことを改めてこのニュースを読みながら考えた。

最近、性別“その他”という選択肢が出る会員登録サイトを目にすることがあるが、私はまだ“その他”を選んだことがない。〇×銀行やクレジット会社のAから個人情報流失なんてニュースが溢れる中で、サイト内で個人情報を記入するというのは漏れてしまうリスク込みの行為だと思っている私にとっては、
セクシャリティを“その他”に選ぶなんて、不特定多数の人に向かって大声でカミングアウトするようなものだ。恐ろしすぎる。だから私は手続きとして”0”を選べない。

印鑑証明には相変わらず性別の記載があるし、保険証、マイナンバーにも性別記載はつきまとう。公のものには性別の記載があって、その記号で嫌な目に合うストレスは辛い。
性適合手術を受けた私は、性別を男性に変えるという選択肢がある。変えることでそのストレスからは解放されるとは思うのだが、手術を終え十数年経っても私は“男性”という記号を選ぶことができない。

一般的に“性同一障害”を克服するというとは、自認する“性”を身体的にも社会的にも2者選択で手に入れるということだと多くの人は思っている。 “性”の選択は非常に狭義だ。私はこの2つの選択の中で自分の性を選べない。だから心の中では”O”でOK。でも好奇な目にさらされることなく説明を求められることなく生きたいとも強く思う。

ではなぜ便宜的に“男性”を語ることを選べないのか。それはこの社会に生きる“男”と同じ種類の人間だと思われたくない、同じ籠に入れられるなんて生理的に嫌だからだ。

先日、ハローワークに行く機会があったのだが、そこである光景を目にした。
就職相談をしているある男が、女性の相談員に怒鳴り散らしている。どうやら、自分の適性を考え、身の丈にあった就職先を探すべきだと注意しているようだった。その本来なら聞こえないはずの相談内容は、その男によって館内中に知らしめられた。

「なんで俺が、そんなくだらない仕事につかなきゃなんねーだよ。だれでのできる仕事だろそんなの。俺はな、今までもこれからもこの世界にとって“かけがいのない男”なんだよ!!!!!!俺をそこらの奴と同じように扱ってると痛い目に合うぞ!!!男舐めてんのか。わかってんのかぼけ!」

仕事を探す場所で、親身に相談に乗ってくれているであろう担当者のアドバイスにこんな態度を取れるその男、そして自分を“かけがえのない存在”だと言えるその神経に、私は男を見た。ぞっとした。まぁこんな男も珍しいのかもしれないが、この言動って多くの男が少なからず持っているものではないだろうか? 社会=自分だと言い切れ、女性に自分を非難されるとプライドが傷つき、自分を省みるより前に怒鳴る。もちろんそうではない男もいるが、でもそんな特徴を持つ男が私の周りの多くの男の顔と被る。そんな男に会うたび、男って嫌だ!そう心底から思う。私は書類の上だけでも、そんな“男性”のカテゴリーに入れられるのが嫌になる。

これ以上男嫌いになるのもなんなので、“いい男”を探そうとTVを見ていた。
行き着いたのは「ドラえもん」。
数年ぶりに観た。しかしこれが失敗だった。タイトルは「すてきなミイちゃん」

あらすじはこうだ。
近所で、ミイ!としか鳴かない(猫だから当たり前だが)猫の“ミイ”に一目惚れしたドラえもんが、(その猫はおもちゃなのだが)
そのおもちゃの猫の持ち主である子供から、ミイを盗もうとする。確か犬だっかなにかが出てきて、傷だらけになってドラえもんは連れだそうとするのだが、それを見た子供の父親が「子どものオモチャを取るんじゃない」と叱るのだが、ドラえもんは諦めず、こう言うのだ。

「(お父さん)ミイちゃんをお嫁さんにください。」

その必死さに観念した“お父さん”はドラえもんにその“ミイちゃん”をあげてしまう。ちょっと“いい話し”なのだ。家にミイちゃんを連れてきて、ドラえもんは結婚式の妄想をする気持ち悪い猫型ロボットに成り下がるのだが、ミイちゃんに意思を持たせて、話せるような道具を出して見ると、ミイちゃんは雄だった。というオチで終わる。

ドラえもんまでも・・・・サザエさんも観てみたが、波平は保守の化身のようになってるし、昔はまだましだったように思えたキャラクターの世界の“おとこ”までもがマッチョな男に変わっている。生身の男性で、「いいねー」と言える人間が数人しか見つけられない今、私の男嫌いはものすごい勢いで怖い。

私は行く着く性は、見つからない。

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アンティル

アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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