今更ながら日本エレキテル連合にはまっている。気がつくと「いいじゃーないの」「だめよ だめだめ」と独り言を言っている。なぜ日本エレキテルが面白いのだろう。
この「いいじゃーないのーだめよだめだめ」のコントには70年代の香りがしてならない。粘度の高い男と女の会話が70年代ぽく感じるのだ。私は70年代、子どもが見ないようなテレビ番組をよく観ていた。大人向けのドラマではベッドで煙草を吸う男と男の胸に“のの字”を書く女がピロトークをしていたり、ふられた女が電柱から涙を流し、他の女と腕を組む恋人の様子にハンカチを噛む。そんなシーンが溢れていた。朱美ちゃんは70年代のテレビの中にいたのだ。
私とパートナーがよくする遊びの一つに年代模写がある。ある時代の男女の会話を模写するという遊びなのだが、パートナーの得意とする年代が70年代だ。
パートナー「ねぇあなた~真珠の首飾り買って~」
私「そうだなぁ~今度なぁ」
パートナー「ねぇあなた~毛皮のコート買って~」
私「そうだな~今度なぁ」
これはまさしく日本エレキテル連合。人間の女でなくダッチワイフに70年代のエロを求めているのが小平の細貝さんの2014年の姿のように思える。
日本エレキテル連合のネタでケンとクミシリーズというのがある。こらは大阪のヤンキーカップルの日常を描くコントだ。働かずに家にいるケンのもとにスナックで働くクミが帰ってくる。クミは人差し指と中指をピンと伸ばし煙草を吸いながら、2人は会話を続ける。こづきあいながら続く会話。それでも最後は「愛してるケーン!」となる恋人2人ケンとクミ。このコントは、どことなく80年代のヤンキー全盛期を彷彿とさせる。悪い男、アウトローを装う男とそんな男を好きになる女。しかしその女は「だめよ~だめだめ」とは言わない。女も男をこづき、強い女の顔を持つ。
一方、私とパートナーの80年代模写に男は出てこない。
私「ねぇ、丸井に行ってDCブランドチェックしない!」
パートナー「そうね。コシノジュンコのジャンパーほしいし、丸井行こう!ルンルン!」
私たちの会話に登場するのは明るくエネルギーをため込む女が街を闊歩する姿だ。
日本エレキテル連合の新作。日暮里のホストクラブを舞台にした新人イケメンホストと先輩不細工ホストのコントだ。説教をする先輩ホスト。鏡ばかり見る後輩ホスト。心ここにあらずの後輩に先輩が
「♪なぁーーおい なぁーーおい なーおい なーおい なーおい」
と言い踊り出すというコントだ。これはまさに2000年代の一場面だ。90年代から2000年代前半に出現したホストが今なおいる日暮里を舞台に、正論を言う男と話しを聞けない男がバックヤードで繰り広げるコント。「なぁ○○さんが来てっぞ」「俺年増嫌いなんすっよね」鏡で髪をいじりながら適当に頷く後輩ホスト。先輩ホストがそんな後輩ホストに呼びかける「♪なぁーーおい なぁーーおい なーおい なーおい なーおい」それはいつのまにか歌になり、2人は踊り出し会話はリセットされる。
このコントを見て私は大阪市長橋下と在特会の桜井うんたらの会見を思い出した。声を発してはいるが、互いに会話を成立させようという気がない。自己主張の連続。声を大きくし、「おまえってなんだよ」と小学生のような喧嘩になっていく。後に残るのは何もない。ただ2人が同じ空間に存在したというだけの事実だけが浮き上がってくる。それは喧嘩を見せるパフォーマンスのようで、私にはコントに見えた。
日本エレキテル連合は時代をそのまま模写している。模写しているから、ときたま「これってないんじゃない?」というフェミポイントも多々出てくる。ロリコンの官能作家おやじが、メイド服を着た幼児に自分の萌えワードを言わせたりするコントなど、はっきり言って笑えない。でもそれは、今の日本の姿だ。今過ぎて笑えないのだ。
自分が生きてきた時代を懐古する楽しさとも違う、時代のゾンビたちが現代に蘇り、コントする姿に目を奪われる。ところで松島元法務をはじめ、安倍内閣支持の女性議員ってなんだか朱美ちゃんって似てません?
だめよ?だめだめ?