先日、久しぶりに北原みのりさんにお目にかかり、周囲のお客さんがドン引きするほど二人で交互に泣いたり笑ったりの楽しい時間を過ごしました。
共同通信社で企画して下さった、北原さんとご一緒させて頂いた座談会の記憶は今も古びてはいません。その内容は『ガールズセックス』という本になっています。
座談会は2003年で、今から12年前にしては画期的な企画だと思ったけれど、今できるかどうかわからないほど、ぶっちゃけトークが炸裂していました。共同通信社次長、今は定年退職で悠悠自適らしい宗像道子さんの絶妙な「普通のおばさん」目線に油断して、私は35歳で初めてイッた奥手の自分を曝露するなど、いつの間にか全部喋って丸裸にされたような、記者魂に晒された座談会だったと記憶しています。
よくジェンダーバイアスで語られる「男だから、女だから」ということの多くは個人差の範囲だと思っていますが、北原さんとの待ち合わせであまりに的外れのところをぐるぐると迷っていた私に、北原さんが投げかけた言葉が、今回のタイトル、「地図の読めない女」。まさに『話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が謎を解く』アラン・ピース、バーバラ・ピース著、(藤井留美訳)の世界です。何を隠そう、自慢じゃないけど駅から徒歩5分というのが最も苦手で、タクシーに乗る距離じゃないし、誰もが歩けると確信するその距離ですが、だいたい迷わずに辿り着いた試しがありません。だって地下鉄出たときに自分がどちらを向いているかがそもそもわからなくなるわけで。確かにある意味、能力というよりもはや傾向としての女の特徴を備えていたのかも知れないと気づかされて、何だか新鮮な気持ちになりました。そうか! 女だったんだ、私。じゃあ、地図が読める北原さんは男???
じゃあ、「話を聞かない男」の方はどうなんでしょう。私の知る限り、男だから話を聞かないなんてことはないように思います。ただ・・・パートナーは話を聞かないですね・・・・それはもしかすると、カップルの相方としての態度としては、だんだん話のパターンが見えて来て、聞く必要がなくなるということなのでしょうか。だとしたら、それは男女双方同じ条件のような気もしますし、同性婚でも同じでしょう。
話は変わりますが、今、産後のカップルの性機能調査をしています。データはこれからまとめますが、男と女のすれ違いはセックスの時と、妊娠・出産のときに起こります。性的な単位である「カップル」が「セックスレス」なのはそもそも定義に反するわけですが、セックスレスカップルが増加する中で、それがどの程度、どのように変化するのかしないのかを詳細に調べる必要があると思っています。カップルとして結婚という契約までしておきながら、子どもができると性的関係を理由なく解消するというのは理に適っていません。しかし多くのカップルで「性の不一致」が起こるのは、性交がうまくいかないか、うまくいっていたのにどちらかに変化が現れた時。その最大の危機が、男には起こらない妊娠・出産なわけです。
多くのカップルは子どもに気を取られて、自分たちの性がおろそかになっていることを後回しにしてしまいます。そして時にはなかったことにしてしまうほどに、きっぱりセックスレスになっていく人たちもいます。ちなみに、「セックスレス」とは1990年に精神科医の阿部輝夫先生が定義されたもので、「特別な理由なく1か月以上性的な行為がないこと」とされています。変わることを怖れるあまりに変わってしまうというパラドックスのようでもありますね。
その日の締めは銀座のクラブでまさかの女三人飲み。男って可愛いもんですね、というママの微笑みと鍛え抜かれた女の立ち位置は、一朝一夕でできるものではありません。この日本の男社会に苦しめられている女が居る一方で、その男たちを夜の世界で手玉に取るママの姿は何だか輝いて見えました。違うテイストの「女」が集まると男の御し方も人それぞれなのでしょう。勉強になりました。
ところで、北原さん、「地図の読めない女」は褒め言葉ですよね!?