2014年6月の都議会ヤジ問題に対する反応は、ある種踏み絵として機能しましたね。私の大先輩は、「そんなこと時間の無駄じゃない?」と軽く流したので、今度会った時に大議論をしようと手ぐすね引いて待っています。日本のジェンダーバイアスが酷くて、国連加盟国135か国中105位という地位に甘んじているのも女性の政治参加が少ないからであり、いくら今までもあったし今更・・・・と言われても、もう後戻りはできません。ヤジオヤジ狩りは今後とも止まらないと思いますよ。
それにしても、産婦人科の診察はイケテない。外来の内診室にカーテンがありますよね、上半身と下半身の間に。あれは、日本だけってご存知ですか?世界中のどこにもないようなんです。また日本人の器械好きが高じて、内診台と呼ばれるウイーン、ウイーンと電動で上がり下りし、ちゃりらり、ちゃりらり、なんて音楽も流れたり、ご丁寧に足が開きまあす~などとしゃべったりして。100円入れてね、と言いたくなるような代物で。
そこにカーテン、ですよ。内診台の足を開く方向に窓があったりして。診察室はプライバシーに配慮した個室でもなく。カーテンの後ろの通路を人がざざっと通る。時に無断で数人でおまたを覗いて居たりする。もう、これは人権侵害、医療じゃなければ立派な性犯罪でしょう。
というと、多くの良識ある女性は、ええ、でも、そういうものですよね。お互い恥ずかしいし・・・と慎ましさを見せる。はあ、隠したいのは下半身ではないのですかね。腰から下にバスタオルでもかけてもらえればいいのでは?
私は、15年ほど前に、ある患者さんに「何をされるのか見たいので、カーテンを開けさせてください」と言われて以来、なるほど、カーテンは要らないなと思い、カーテンを開けて診察している。中には長年の習慣で、さーっと開けたカーテンをすかさず閉め返す年配のご婦人もいるのでそういう時はそのままにしておきますが、一方で閉め返すことを思いつかない方は、一生懸命顔を覆ったりして、いや、あの、これは何かのプレイではなくて診察ですから・・・・と勝手にプチブチ切れる。ことほど左様に、内診に対する日本女性はどこまでも勘違いさせられてきたのではなかろうか。
なぜカーテンにこだわるのか。ではなくて、なぜカーテンをするのか、考えてみましょう。どうも、発祥は赤線の性感染症検査ではないかと思います。『吉原炎上』の映画のワンシーンに緒方拳が出ていたと思うのですが、腰巻を巻いた女性が列をなして広場で憲兵い診察されているのが、まさに白いカーテンで、女性は顔を見られずに診察を受けるのです。
その名残だとしたら、おかしな話ではないですか。だいたい、外来では恥かしいなどと言う人たちは、出産のときにカーテンなしで診察することには疑問を持たない。整合性がないし、確たる理由もない。あえて言えば、医師側は見られずに悪事もできる、ってことかな。
カーテンをしないということは、下半身を明け渡さないということです。診察を受けるだけなのだから、どこが悪いのか、自分で伝えやすくなる。何をされるのかもわかるし、かりに教育のために複数で診察するとしても、了解をとって見られる分には医学貢献と割り切ることもできるでしょう。つまり、日本の女性は、「婦人科の内診」という下半身を無造作に明け渡して勝手に何をされても文句を言わないトレーニングができているという恐ろしい現実があるわけです。
日本だけなのは、確たる理由があるというより、止めそこなっているだけだとしか思えないので、「至急」撤廃しませう。撤廃は簡単です。気づいた人からカーテンなしで診察を受けるだけ。緊張しやすい人も、相手の動作が見えるだけでずいぶん気が楽になりますよ。
自分のからだは自分のもの。貸したり、明け渡しちゃあいけません。