Q 相談者:20代 Tさん
少し前に、ピルが原因で死んだ人がいるっていうニュース見て、怖いなと思いました。
私も前に一回、飲んでたんです。初めはクリニックで処方してもらったこともあるし、その後はネットで買ったことも。でも、2週間くらいずっと吐き気や頭痛があって、なんかヤバくない?と思い、不安でやめた感じで。
本当は今でも避妊のために飲みたいと思っています。でも、やっぱり、このままだと怖いので、色々、知りたいです。
A ニュースになっていましたね。避妊や月経痛治療等の目的で処方される低用量ピルの副作用の話題ですね。
例えば、妊娠中ってみんな、血栓症になりやすいんです。でも、あなたの周りに、妊娠中に血栓症で死んだ人ってあんまりいないでしょう。実は、ピルを内服中する際の血栓症のリスクの方が妊娠中のリスクより、低いんです。
30年以上等、長年、産婦人科医をやっているような周りの先生に聞いても、ピルの服用が原因で死亡してしまう方は患者さんの中で、0~2人くらいだそう。だから、ピルが原因で死亡するケースは、稀ではあるんですよ。ああいったクローズアッップのされ方で、過剰にピル服用の不安が煽られている側面はありますよね。報道の中での説明も少し足りないですしね。
でも、もちろん、飲まないよりは飲んでいる方がリスクは上がるということはあるので、あなたが不安に思うように、きちんとメリットとデメリットを考えて、飲む必要はありますね。
ピルの特徴ですが、月経周期で下腹部痛があったり、にきびがひどい、イライラがするなどの頑固な症状がとれない時の治療に効果的です。そういう症状に悩んでいる場合は、使った方が良い。
飲み始めの1週間くらいは頭痛や便秘、吐き気等があります。1週間は飲んでみて、まずは様子を見てみて。最初の1週間でやめてしまうと、メリットは享受出来ないので、そこは頑張って飲んでみて下さい。
ピル服用中の注意点としては、脱水に気をつけて下さい。水分を意識的に取ると、血栓症対策になるからです。一日、1、5リットルから2リットルぐらいはちゃんと飲むといいですね。ピルを飲んでいなくても、日常的に、それくらいは飲むことが多いとは思うのですが意識してみて下さい。
そして、血栓症の症状は、片側性の急な痛みが出ると言われています。運動したわけでもないのに「なんか、右足だけ痛い」とか、「左足が急に痛む」などの片側的で原因不明の足や腕の痛みを感じたら、危険なので、すぐクリニックに来て下さい。
まず、血栓が作られはじめた時にそういった症状が出ます。このまま放置するとさらに大きな血栓が出来て、肺などに移り、最終的に詰まって死亡に至ります。
他には、月経が不規則になる場合もありますが、2、3周期見れば、整ってくると思います。相談者さんのように、吐き気や頭痛があり、服用を続けることに不安がある場合も、まずは、1周期は頑張ってみて。それでも吐き気が収まらない時は、種類を変えてもらった方が良いですよ。こういうことも、クリニックで気軽に相談して下さい。ピルの種類も色々とあるし、個人の体質に合う、合わないはありますので。
現在、ピルの利用者は、着実に増えています。避妊だけではなく、疾患の治療のために飲んでいる人も多いです。
ピルが出てから、女性に対するメリットは、デメリットよりずっと多いのも事実です。避妊については、女性が自分で避妊をコントロールすることが出来るということが、支持されていますよね。
ただ、性感染症予防のためには、コンドームが効果的。特に、自分や相手が特定の人とだけセックスするという場合以外は、ピルと一緒にコンドームも併用して下さいね。