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ここのところ死亡にいたる女性への暴行事件が立て続けに起こって、社会問題になっています。DVです。恋人の場合もあります。
たいがいは離婚したがったとか、別れたがったとか、離婚しているにもかかわらずつきまとって殺してしまうとかいうことが多いです。2013年には合計214人の女性がDV男の刃にかかって亡くなりました。このうちの66%が夫、元夫、恋人によるものです。(残りは親せきとか、父親なのですが、これは田舎の「掟」によるもので、これはまた別の機会にとりあげます)
今年に入ってからの3か月ですでに60人の女性が殺害されています。4月に入ってからはさらに5人追加されました。
先日も別れた恋人に白昼堂々と狩猟銃で撃たれてしまった42歳の美容師がいました。肝臓病の父親にドナーとなって肝臓の一部を提供しようとしていたところでした。彼女は女性への暴力反対運動にも参加していました。
また、家を売る、売らないのもめごとで怒り狂った夫が、妻と娘を両方殺してしまうという事件も起こりました。離婚したがった妻を17か所もナイフで刺した夫もいました。これは全部今月の、しかもここ1週間の話です。幸いこの女性は一命をとりとめて、今ICUに入っています。しかし死ななかった場合は、取り調べ後に釈放されてしまうことが多いのです。今のトルコの刑法は、傷害事件の容疑者に甘すぎです。警察へ助けを求めたのに無視されて、ストーカーに殺されてしまった女性は日本でもたくさんいましたね。
DVに耐えられなくなった女性の駆け込み寺が、イスタンブルにもあります。
「Mor Çatı~紫の屋根」という団体です。トルコ語でçatı-屋根は、単なる家の覆いという意味ではなく、日本語で「同じ屋根の下」というときに使われるのと同じ意味を持ちます。この「モル・チャトゥ」では、今年に入ってから3か月間ですでにトルコ全国から227人のDV被害者から相談を受けています。日本と違うのは、これらの被害者たちの中に、「無理やり結婚させられた」という人がけっこういるということです。これは夫だけではなく、自分の家族からも被害を受けているということです。東部や南東部ではまだまだこういう例が後を絶たないのがトルコの現状です。モル・チャトゥは被害者をただ単に助けるのではなく、被害者自身が暴力に立ち向かえるように、法的手段へ訴える方法をアドバイスしたり、テラピーを行ったりしています。命の危険がある人には子供たちと一緒に入居できるシェルターも用意されています。
さて、日本のような先進国でもDVがあるのですから、ヨーロッパにもあります。EU28か国で4万2千人の女性に対して行われた調査では、22%の人がパートナーに身体的、あるいは性的暴力をふるわれたことがあると言っています。ちなみに暴力を受けたことがある女性が一番多かったのは52%でデンマーク、それからフィンランド、スウェーデンと続きます。北欧の国が上位に挙がっているのは、ちょっとのことでも暴力だ!と騒げる、女性の地位が確立されているお国柄だからかもしれません。
最後に。たまたま今日ニュースを見ていたら、「男性用シェルター」のことが取り上げられていました。「家内の小言がひどすぎる」「稼ぎが悪いと、スリッパで殴ってくる」「給料全部まきあげられる」などの理由で逃げ込んできた男性たちが逃げ込んでいました。。。それでも妻に殺された夫って、保険金目当てぐらいしかききませんよね?

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安達智英子

安達智英子(あだち・ちえこ)

多摩美術大学 インテリアデザイン科卒。
トルコ留学後、トルコ民家の研究に携わる。現在は翻訳、通訳、取材コーディネート業の傍ら、トルコで折り紙の普及に努めている。
翻訳書:ノーベル賞作家オルハン・パムク著「新しい人生」(藤原書店)
    レハー・ギュナイ著「サフランボルの民家」(YEM 出版)
    トルコ語への翻訳では丸木俊の「ひろしまのピカ」(İleri Yayın)
著 作:「世界遺産サフランボル・民家とくらし」(自費出版)
共 著:「タビトモ会話トルコ語」(JTB パブリッシング)
挿 絵:「ゼロから話せるトルコ語」(三修社)

ブログ:masalgibi.blog.fc2.com
WEB :www.torukosoudan.com

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