11月30日、出会い系サイト「ハッピーメール」の運営会社社長と社員2名が、売春防止法違反ほう助の疑いで逮捕されたというニュースが報道されました。このサイトにおいて伏せ字になってはいたものの、売春や援助交際のやりとりを放置していたことが、逮捕につながったそうです。
出会い系サイトで知り合った相手とホテルに行ったり、ましてや金銭のやりとりをするなんて恐くないのかなあ……? だって私が子供の頃は、幼児が誘拐される事件がよくニュースになっていました。だからことある事に両親から「知らない人の車には乗らない」「知らない人にはついていかない」と言われてきたため、初対面の相手と密室で2人きりになったら命が危ないと、おばはんになった今でも思っているから。
しかしある時女友達3人と話していたら、私以外の全員が出会い系サイトの経験者だったことがわかりました。(うち1人は、出会った男性とその後付き合っていたとまで!)
知らない誰かの速い車に乗っけられたり、急にスピンをかけられた経験すらない私にとっては、まさに未知の領域で会話についていけませんでしたよ……。
でもこの「ネットの出会い」って、実は日本のみならず世界中で、もはや定番になりつつある模様。少し前ですが2013年6月に『マイナビウーマン』に掲載された記事によると、「アメリカのシカゴ大学、ハーバード大学とゲシュタルト・リサーチ(Gestalt Research)が共同で行った調査では、2005年から2012年の間に結婚したカップルの35%はインターネットで知り合っている。その内、45%はデートサイトで、21%はソーシャルネットワークを通して結婚相手を見つけていることがわかった」そうです。
えっマジっ? それって大丈夫なの? と思っていたら、「ネット婚活から始まるニューヨーカーのラブストーリー」がテーマ『きみといた2日間』という映画が、12月23日より公開されることもわかりました。
医大を卒業したのに就活がうまくいかず、おまけに婚約者にフラれた崖っぷち女子のメーガンは、ルームメイトのファイザから「カレと一緒に住むことにしたから、部屋を出て行って欲しい」と言われます。まさにないない尽くしの中、「ロマンス.com」というサイトで出会ったアレックが住む、ブルックリンのアパートを訪ねて一夜を過ごすのですが、これがもう最悪な展開に。ムカついて帰ろうとしたものの、大豪雪に見舞われて地下鉄はおろか、アパートから出ることさえできなくなります。最悪な天気と最悪なワンナイトスタンド。なんでこんな目に……という2人が密室で過ごす、2日間の物語になっています。
メーガンにはリアリティ番組がきっかけでモデルとしてブレイクし、映画『ラブ・アゲイン』やテレビドラマ『私と彼とマンハッタン』などに出演したアナリー・ティプトン。そしてアレックには『セッション』や『ファンタスティック・フォー』など、主演作が相次いで公開されたマイルズ・テラーが扮しています。すらりと手足が長くかわいいメーガンに対して、若干もっさりした味のある風貌のアレック。うーん、なんというかミスマッチ? と思いきや、メーガンは「ああこりゃ付き合ったカレシは、苦労するよ……」と思うほどの困ったちゃんなので、おそらく見ている側の多くがアレックに肩入れすると思います。しかしアレックもまた、困った秘密を抱えています。
2人を見ても分かるように、出会い系サイトの登録情報はすべてが自己申告だから、都合の悪いことは書かなくていいし、嘘だってつける。検索する側も、相手のスペックが自分の好みに合うかどうかが判断基準です。でも人間って、文字に書かれた情報や画像だけがその人のすべてではありませんよね? それに片方は「セックスしたいだけ」でも、もう片方が「結婚できる恋人が欲しい」だった場合は、そもそものニーズが違うのだからうまくいくはずもないし。ちなみに友人の、出会い系での恋は長く続かなかったようです。
もちろんどんな出会いだって出会いだし、ネットから生まれる人間関係があることは、私も否定しません。とくにSNSは同じ趣味や考えの人が集まることが多く、仲良くなるスピードが速かったりしますよね。実は私の友人にも、SNSでの出会いがきっかけで結婚したカップルがいます。
このカップルは何がよかったかというと、おそらく会うまでに時間をかけたことだと思います。といってもわざとそうしたのではなく、1人は首都圏、もう1人は九州在住だったので、物理的に距離がありました。でも会うまでの間、お互いの好きなものや考え方についてオープン&クローズ両方の場所で日夜話していたために、はじめて顔を合わせた時には「とても他人とは思えない」ほどの、親しみを互いに感じたそうです。
「したい!」だけなら出会ってすぐ落ち合うのもアリですが(でもねえ、身体や財布の安全には気をつけて欲しいし、未成年への買春はもちろんのこと、法律にふれる行為はご法度ですから!)、長く付き合える相手をネットで探すなら、会う前にお互いについて知る時間を持つとよいかもしれません。不可抗力だったとはいえ、メーガンとアレックも話す時間はたくさんあったようだし。
どんな出会いも出会いなのだから、そこがネットであっても大事な人を増やすべく、リアルの場と同じように振る舞い、コミュニケーションを深めて欲しいなあと老婆心ながらに思います。そしてそんな人が増えたらきっと、SNSにおける匿名の中傷合戦もマッチングサイトを使った犯罪も減るんだろうなあ……(遠い目)。