夏休みをもらって1週間ニューヨークに行ってきました!
毎日うだるような暑さで、まるで夏が戻ってきたようなお天気だったのですが、モヒートを飲んでメキシコ料理を食べて、街をブラブラして、楽しかった~。
今年5月にアッパーイストサイドからミートパッキングディストリクトに移転したホットニー美術館にも行ってきました。アメリカの近現代アートを紹介する代表的な美術館のリニューアルいうことで、すごい数の人で混みあってたんですけど、館内は写真を撮るのも自由だし、ハドソン川に面した部屋のソファでくつろぐのもあり。刺激的な作品をみながら、意外なことになんだかのびのびした気持ちになりました。日本の美術館だと、意味もなく撮影禁止だし、並ばされるし、イスも全然ないし、よっぽど空いてない限り、終盤になると、一刻も早くカフェに行きたい!ってイライラしちゃうことも多いのですが。
そのなかですごく心に刺さる作品がありました。
「He kills me(彼が私を殺す)」というタイトルで、薄笑いを浮かべたレーガン大統領の写真が何枚も連なり、写真の上に「He kills me」というシンプルな言葉が並ぶ大型の作品でした。私の乏しい英語力でちゃんと理解できたか疑問なのですが、解説によれば、アメリカの画家、ドナルド・モフェットが1987年に描いた作品で当時の政府のAIDS政策を批判するものだそうです。
当時のアメリカ政府のエイズ対策がどのようなものだったのか、不勉強なデバ子にはわからず、それ以上のメッセージを受け取ることはできなかったんですけど、パッと頭に浮かんだのは今の日本でこんな作品をつくることができるアーティストはいるんだろうか、ということでした。
少し前、東京都現代美術館で現代美術家の会田誠さんと妻と息子が「文部科学省に物申す」として、「もっと教師を増やせ」「従順人間を作る内申書というクソ制度」など、文科省への不満を描いた作品「檄」が、一般の人からの抗議を受け、美術館側から撤去要請を受けるというニュースがありました。
さらに前には、サザンオールスターズの桑田佳祐さんがNHKの紅白歌合戦で演奏した「ピースとハイライト」の歌詞「都合のいい大義名分(かいしゃく)で
争いを仕掛けて 裸の王様が牛耳る世は……
狂気」が集団的自衛権行使に反対するメッセ-ジだと話題になり、「不敬だ」「安倍政権へのカウンターソング」「日本に対するヘイトスピーチ」だと批判(!!)を受け、わざわざ桑田さんが「デマだ」と否定する騒動もありました。
この国の最高権力者である首相や役所にもかかわらず、批判が許されないってどういうことなんでしょう?!
一方でアメリカでニュースを見てると、ちょうど次の大統領選が大きな話題になっていたのですが、候補者をちゃかしているし、笑っているし、揚げ足をとるような些末な失言だってちゃんと紹介してる。
なんか、世界でもっとも刺激的な都会のうちのひとつにいるにも関わらず、ホッとするような気持ちになった自分に驚きました。
戻ってきてみると、国会前では連日、安倍総理が成立に躍起になっている安全保障関連法案に反対するデモが行われています。誰もが勇気なんか振り絞ることなく、おかしいことにはおかしいって言える世の中であり続けるためにも、「Abe kills me」って、今こそちゃんと声をあげなきゃいけない気がします。