朝日新聞が8月5日、6日の2日にわたって従軍慰安婦についての特集記事を掲載しました。その記事を受けて、産経新聞は「朝日新聞慰安婦報道 強制連行の根幹崩れた」、読売新聞も「朝日新聞慰安婦報道 吉田証言ようやく取り消し」と朝日新聞が強制連行はなかったと訂正したかのように報じています。
でも、ちゃんと読んで!
朝日新聞は、韓国・済州島での「慰安婦狩りがあった」と言った吉田清治氏の証言は虚構であったとは認めたけど、慰安婦報道は捏造ではない、戦時下に自由を奪われ、尊厳を踏みにじられた多くの女性がいたのは間違いないとハッキリ断言しています。
でも、なぜ今、朝日新聞があんな大がかりな検証記事を載せなければならなかったのか。
週刊誌やネットでは、すさまじい従軍慰安婦攻撃、朝日新聞攻撃が行われています。本屋には嫌韓、嫌中、嫌朝日(たいがいこれはセット)をうたう本が大量に並び、地下鉄に乗ると、「朝日『従軍慰安婦報道』は捏造」「従軍慰安婦捏造朝日記者 大学転身がパー」というような見出しがデカデカとのっている。そんな現状を考えると、この国はどうしちゃったの?どこに向かっているの?!そんな風に叫びたい気持ちになります。
東京メトロ早稲田駅から歩いてすぐ近くのところに「wam 女たちの戦争と平和資料館」があります。慰安婦や女性問題を告発してきたジャーナリストの松井やよりさんの遺志をついでつくられたアクティブ・ミュージアム。そこには、従軍慰安婦であることを強いられた多くの女性たちの証言が写真パネルとともに展示されています。
日本軍の関与に関する資料もあり、吉田証言だけが従軍慰安婦の存在を裏付けるものではない、日本という国や主導した性犯罪だったということがよーくわかる。
展示パネルのなかに、腕に入れ墨で日本名をほられ、笑うことを強要された、という女性の証言がありました。写真の彼女の顔と入れ墨を見ていると、「慰安婦」という言葉が持つ気持ち悪さが実感を持って迫ってきました。
すさまじい性暴力をふるいながら、笑顔を求める。なんて残酷なことか。男たちが自分の罪悪感を薄めたいだけでしょ。そして、女性たちを、兵士の心を慰め労を労う女性たち、「慰安」婦なのだと言い切るところに、強烈な暴力性を感じます。
今、日本の義務教育のなかで、慰安婦という言葉は登場しないそうです。
その背景には、安倍政権であること、「正しい歴史認識」を訴える人の声が大きくなっているということがあるんだと思う。
従軍慰安婦問題を語ることはどんどん難しくなっている。ほぼタブーになっているような印象も受けます。それは、朝日新聞が意を決して、大きな「社」としての論や立場を語らなければならなかったことにも現れているように思う。だから怖いです。いろんな立場の人が、それぞれの立場や気持ちでは慰安婦を取材できないし、語れないことが。
日本が次に戦争をする時は――。ついそんなことを考えてしまいます。
第二次世界大戦が起きた昭和初期も、治安維持法ができ、すさまじい言論弾圧、思想弾圧がありながらも、ふつうの人たちの暮らしは、好景気に沸き、楽しく賑やかなものだったらしいです。
あまりに今の日本にそっくりじゃないですか?
株価は上がっているらしいし、東京五輪を控えて不動産価格も高騰している。週末ともなれば、銀座や六本木はお酒やご飯を楽しむ人たちであふれています。一方で、さらりと集団的自衛権行使が認められ、特定秘密保護法が通る。
日本が次に戦争する時は、日本は少子高齢化だし、若者や子どもを産み育てる女性たち(安倍サンは、子どもは生後3年間はお母さんが抱っこし続けないと悪い子になっちゃうと言い続けてますよね!)は戦争に行けないので、男性たちから戦場に行ってもらうしかないなーと思う。まあ、しょうがないよね。
あ、「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要」という意見の男性もいるみたいなんで、その時は、絶対に女性を傷つけないよう、慰問袋に日本が世界に誇るオナホール「TENGA」をたっくさん入れて送ります♪
【栗林デバ子・くりばやしでばこ】
週刊誌記者。事件や裁判、犬とK-POPをこよなく愛するおひつじ座。シンガポールの動物園でハダカデバネズミを見てから、その怪しい魅力にハマっている。
ひっそり土の中から世の中にキバをむくデバ子・・・。