今さらですが、「AKB総選挙」今年も盛り上がりましたね。
新聞も、あの硬派な「週刊金曜日」までアイドル特集を組んでました。
デバ子も、指原2連覇の行方が気になっていたのですが、イマイチ乗り切れきれなかった。何でかなぁって考えていたとき、批評家の東浩紀さんのツイートを見て、これだったか!!と思い至りました。
<ユリイカでイケメン特集ってまじですか・・・>
<ほんとうだった。イケメン・スタディーズ>
6月13日、東さんが、雑誌「ユリイカ」9月増刊号(7月中旬発売予定)で「イケメン・スタディーズ(仮)」という特集をやるらしいというニュースについてこうつぶやいていたのです。
東さんはさらに、
<どうなんだろうな。これは。さすがに。ちょっと自滅すぎるんじゃないのかな>
<ま。いずれにせよ、ぼくはいまやほとんどオタクとはいいがたいので、老人の戯言と割り切ってくれれば。とにかく、イケメン・スタディーズという言葉は、それが悪ふざけだとしても、僕の古くさい常識からはちょっとはずれているということです>
あれれ?!まだ内容を読んでいないにもかかわらず、「イケメン」を取り上げるというだけで、こんなに敏感に不快感をしめされるとは・・・。東さんって、サブカルや女性アイドルにすごい好意的でしたよね?美少女はよくてイケメンはダメって。それ、「嫉妬」じゃないですか?
デバ子、大手新聞社に勤める女友だちのことを思い出しました。
彼女はある人気男性俳優(とってもキュートでセクシー)が来日するため、彼の日本での人気ぶり、人物評を新聞本紙(全国版のことです)で記事にしたいと、デスクに提案しました。
ところが、男性デスクはその俳優の写真を見て、
「えっ?ぜんぜんイケメンじゃないじゃん」
「なんで今、彼を記事にしないといけないわけ?」
と聞いてきたのです。
彼女はかなりイラッときたそうですが、とにかく読者に彼の話を届けることが最優先だと思い、「彼がいかに日本で人気、影響力があるか」「彼の来日はニュースです」「日本だけでなく、世界でもっともセクシーな俳優にも選ばれている」などなど、彼を取材しなければならない理由を、丁寧に丁寧に説明をしたそうです。
彼女の説得で、何とか記事は掲載されることになったのですが、男性デスクは最後にこう言い放った。
「結局、コイツのことをお前が好きなだけだろ(笑)」
しかも記事には、もともと彼女の原稿にはなかった「(彼は)けっしてハンサムではないが」の一文がデスクの手によって加えられていました。
こんな一文、必要ですか?!ただの、あなたの嫉妬でしょ?
「やっぱり、女も権力を持たなきゃダメなんだってつくづく思った」
彼女の言葉にデバ子、何度もうなづいてしまいました。
AKB48の報道を見て腹立たしいのは、いかに男が自分の欲望にだけ寛容かということが伝わってくるから。
自分が「良い」「かわいいっ」って思うものは、世の中も多くの人も同じように思っている、という無邪気なまでの自己肯定感。男性評論家がマジメな顔をしてアイドルを論じ、新聞も雑誌も取り上げる。
いいですよ。きっとアイドルは真面目に評論するに値するものなのでしょう。
では、「イケメン」はどうでしょうか。
「たかがお前(女)の好みだろ」「それが報道すべきことかよ」と切り捨てていませんか?
なぜ、女の欲望だけ、こんなに手厳しいんでしょうか。
AKB48がイヤなんじゃない。自分たちの欲望だけでなく、女性の欲望にも、もっとやさしく、敬意を払ってほしいと言っているだけです。
まだまだ新聞や論壇誌は男性紙であり男性誌なんですよね。
せめて、そのことを自覚してくれればいいのですが・・・。
【栗林デバ子・くりばやしでばこ】
週刊誌記者。事件や裁判、犬とK-POPをこよなく愛するおひつじ座。シンガポールの動物園でハダカデバネズミを見てから、その怪しい魅力にハマっている。
ひっそり土の中から世の中にキバをむくデバ子・・・。