先日、近所に住む4歳児の女の子が大きな声で「アナと雪の女王」のテーマソングを歌ってました。
「ありのままの 姿見せるのよ」
「ありのままの 自分になるの」
4歳の女の子が力強く歌う姿に、私、しばし胸打たれ、しゃがみこんで一緒に歌っちゃいましたよ。
その女の子のお母さんに聞けば、今、幼稚園では「アナと雪の女王」ブームが起きているとか。そして女の子たちはみんな、アナではなくエルサ、雪の女王に共感しているのだ、と。ディズニーショップでもアナのドレスではなく、エルサ(雪の女王ね)のドレスから売れていくのだ、と。
ご覧になった方も多いかと思いますが、「アナと雪の女王」、ディズニー初の女性監督作品です。そして、画期的な仕掛けがされています。その仕掛けを一言で言えば、魔女役をオトコが担ってる、という点。プリンセス物語の定番「魔女」を、「アナと雪の女王」では、プリンセスがやってるんです。そして、さらに画期的なのは、プリンス役を主人公にとって最も大切な女友だち(姉妹)が担っていること。
ジェンダースタディーズ以降の私たちにしてみれば、とてもシンプルに見える「仕掛け」です。
それなのに、このジェンダーのスイッチング一つが、物語に深みと、そしてとんでもない解放感を全ての世代の女にもたらしているのです。
そんなオトコ不在の物語、オトコのキスなどが何一つ役に立たない・・・という今までのディズニー神話からの解放が、日本に生きる女の深層心理にどれほどの影響力を与えるのか。道ばたで「怖くない~!」と歌っていた4歳の女の子に、どのような力を与えるのか・・・は、これからの物語ではあります。
さて、そんな「アナと雪の女王」にケチをつけている芸人がいる! と今、ネット上で話題になっています。
一人は爆笑問題の太田光。
「アナと雪の女王」主題歌「Let it Go」を映画を見ながら歌える、という企画に対し、そしてそこに集う女性たちに嫌悪感を剥き出しにした発言が、話題になっています。
「変な不細工な女が、松たか子の歌、歌っちゃってさ。『ありの~ままの~♪』なんて言っちゃってさ、お前ありのままじゃダメだろ! ブスと雪の女王」
あらあら。不細工なオトコほど不細工なオンナに厳しいのは存知あげておりましたが、太田光君、何がそんなに気に入らないんでしょう? 女が楽しそうにしているのがイヤ? オトコのキスで目覚めない女がお嫌い?
タレントの伊集院光さんも、「アナと雪の女王」にはストーリー力がない」と一刀両断。「アナと雪の女王」を見るなら、「クレヨンしんちゃん」を見るべき、「毒」がない映画なんてつまんない、というようなことをラジオでご発言。
強烈な毒にお気づきないんですね? または、”女はバカだから”、毒にも薬にもならないお花畑映画に熱狂しているとでも?
映画としての批判ではなく、ただただ「売れているもの」「女が好きなもの」に対する感情的な批判に思えます。特に、太田光の「ブス」発言は醜悪だ。
でも、そんなオッサンばかりの社会だからなんでしょうね、「アナと雪の女王」のヒットの背景にもあるのは。
だって、4歳児でも気がついている。
私たちは、不自由である、と。
4歳児でもわかってる。
私たちは、自由になるべきだ、と。
私がお話した4歳の女の子は、こんな話をしてくれました。
「幼稚園で、一番好きなのは、○○ちゃん。ブランコ、誰よりも高くこげてね、すごく可愛くてね、毎日毎日一緒にいたいの」
そんな風に、女の子は女の子が大好きだ。だからこそ、その友情を熱く、尊く、自由に描いてくれた「アナと雪の女王」に、夢中になる。オジサンには見えない、女の力、女の友情の気高さが、そこにあるから。