バブルど真ん中世代であることは間違いない。
決してわたしに年齢を明かさないが、
50代半ばに差し掛かるであろう友がいる。
ファッションはコンサバ。
絶対ワンピース。
口紅はピンク。
縦巻きヘア。
『髪型はせめてもボブにしなきゃモテないわよ!』
と、ショートヘアのわたしに言う。
『真っ赤なリップもいいけれど、それじゃ男の人は寄って来ないわよ。』
リボンモチーフ大好き。
パールのアクセサリーは外さない。
飲食の時は必ず薄手ハンケチを膝の上へ。
背が高いから断固フラットシューズ。
『女同士で連んで食事って大嫌い。』
女同士で食事なんて以ての外。
(わたしと行くのは唯一の例外らしい)
男性とは複数で行くよりデートが断然多い。
もちろん奢るなんてしたことは無い。
『役職あったって、女は可愛げがなきゃ』
大企業のバリキャリ役職者。
会社に魂捧げるスーパーサラリーマン。
ファンデーションは浮くし、
ほうれい線もしっかりヨレる。
年齢には抗えない女でもあり、オヤジでもあり。
だからか。だからなのか。
そんな彼女、
まー男が切れない。
今は、15歳も若い男と付き合っている。
金もステイタスもある。
セックスも順調のようだ。
ほかの友人には話せないんだろうな。
ひとしきり彼の自慢話をする。
『すっごーく大好きなの。』
『一緒にいるとときめいて、ずっと顔が赤いのわたし』
『、、、でもね』
好き過ぎて、別れを考えているらしい。
え、、、、
意味がわからない、、、
『彼は多分わたしとの結婚考えていないと思うの。
わたしは結婚したいから、もう彼と恋愛している時間は無いのよ。』
あの、突っ込みどころ満載過ぎて、
どこから突っ込んでいいかわからないんですが、、、
という状態でいたのを、
理解・同意と思った彼女は話を続ける。
『すごく好きすぎてよくワケがわからなくなっちゃうの。
LINEとかでもわざわざ変なメッセージ送っちゃって、失敗した!ということが多くて。』
『そんな風になっちゃう自分もつらくて、、、好きがツラい。結婚も出来ない!だから別れる!』
さすが恋愛のプライオリティ高いバブル世代!
年齢は関係無いとは言え、
50代半ばにしてこの強気な選択、いや、羨ましい選択。
とはいえ、彼に結婚の意思が無いってウラ取ったの?
『取って無い。怖くて聞けない。結婚の意思無いことが彼の言葉で聞いたら、多分立ち直れない。』
もし彼に結婚の意思があったらどうするの?
『恋愛関係のまま結婚したら絶対冷めるから、結婚しない方がいいの、、、多分。』
うほっ。そうなんだ、、、へぇ、、、
コホン。
じゃあまた結婚相手を探し始めたら時間かかって、そのうち老人になっちゃうよ?
『実は、彼ほど好きじゃないんだけれど、
結婚には向いている男性と最近良い雰囲気なの。』
『ニューフェイス彼は、今彼までイケメンじゃないけれど、会社経営、背も高いし、条件もいいのよ。』
えええええええええええええええええええ
どこまでモテるんじゃい、このバブル姐さんはっ!
『だから彼と別れて、ニューフェイス彼と結婚しようかなと思っているんだけれど、彼のこと好きだから悩んでいるのよね、、、』
わたしには答えがわかりませーん!
と投げていたら、
彼女に占いに誘われた。
すごい。占いって発想。
面白いからついて行った。
結婚か恋愛か、手相を見た占い師は、
彼と別れてニューフェイス彼と結婚すれば幸せになれると。
友人もうっすらそう思っていたみたいだったので、背中を押された模様。
『そっか、、、じゃあ結婚しよっかな』
恋を諦め、結婚を選ぶ。
その心境は想像し難い。
占い師が言った。
「わたし来週結婚するんですが、恋愛していません。人生の戦友になり得る男とタッグを組むんです。彼はわたしのこと好きだからいいんです。」
『わかるーだよねー』
わかんねーよ。
愛ってなに?
恋ってなに?
結婚ってなに?
その小さな占い店の空間がへしゃげ、
ぽーんと漆黒の宇宙に投げ出されたかのようで。
隣の友が急に違う惑星の生物に変化した。
わかりやすい女記号をまとい、
男社会で頑張って負けないように生きてきた暁に、
恋愛より結婚で、
大好きじゃない人と老後を過ごすことを選ぼうとする彼女自身の人生!!!
バブルの呪縛は、女を縛り付ける日本の呪縛そのものだ。
ぞわぞわっとした。
彼女に透けて見える亡霊、
どうしようも解けない解こうともしない緊縛にため息しか出ない。
日本の女への呪いはいつまで続くのか?
でも、生きているんだよな。
大宇宙の中の小さな小さなな営み。
様々な思いをそれぞれに抱えながら、
一生懸命生きているんだなと思ったら、
バブル姐さんも愛おしくはなる。
でもでも、
女で生きていて息苦しいこの国を、
彼女たちの次の世代にあたるわたし達が少しでも変えていかないと。
もっと自由に。
さてと、
次は知り合いのぽっちゃり眼鏡ヲタちゃんが、実はSM嬢、、、しかも女王様だったということがわかったので話を聞かなきゃ!
この話、いつかどこかで。
それまでごきげんよう。