エアコンを切った瞬間に汗が噴き出す、ウンザリな猛暑が続く夏。
だけど、今夜の私はクールで優雅。
カード会社の優待で、ホテルのナイトプールに来ているの。
去年当たりは、インスタ女子で大賑わいだったけど、今はすっかり落ち着いたもの。
プールサイドでカクテルを飲んだり、マジメに背泳ぎなんかキめている、大人女子がほとんど。
今年のビキニは、アートっぽい花柄のオフショルダー。二の腕と胸元を隠す大きなフリルが、動くたびにキュートに揺れて、気分はアゲアゲ。
地上12階からの夜景は、暗赤色のビロードに宝石をちりばめたようで、妖艶にすら見える。
これぞ、都会の夜の正しい過ごし方じゃない?
チェアを確保した私は、とりあえずカクテルでも飲もうと、奥のスタンドを目指す。
等間隔で置かれた特大の鉢から、ドーム型の天井へ、フェニックスの幹が高く伸びているのがソレっぽい。
なんて、見蕩れていたら、
「!」
鉢の影から出てきた誰かに、思いっきりぶつかってしまった。
「す、すいませ……」
「ちゃんと前見てね。プールサイドの事故まで面倒見られないから、気をつけるんだよ」
笑いを含んだ、優しい声。
私、既に確信している。
こんなイケイケの私と、「彼」が出会わないワケがない。
私の愛しいアスリートーーー四条丸駆クン。
「ーーー!」
だけど、私は息を呑んで呆然となった。
ガチムチの筋肉に覆われた、逞しく灼けた身体。太い首には、褐色の肌に映える、ゴールドのチェーン。
くるぶしから先だけに、私の足が全部乗りそうなほど大きな足。その爪の、ころんと丸い形が可愛らしい。
そんな極上のボディが、スイムパンツで隠れた部分以外、全部剥き出しになっているんだから。
ゴクリ、と喉が鳴った。
プールの監視員なんて、セクシーすぎでしょ、駆クン!
「んん……っちゅ、ぶぷッ……」
クール&優雅どころか、私は早くも彼の股間にむしゃぶりついている。
だって、赤いスイムパンツ越しに、勃起したカタチをこれでもか、と浮き上がらせたモノを見たら、我慢できなかった。
私達、もつれあうようにして、さっき彼が出てきた監視員控え室へ戻っていた。
プールとは正反対の殺風景な小部屋。
スチール机に後ろ手をついて、私の方へ腰を突き出した彼の前にしゃがみ込む私には、室内の光景なんて、もうどうでもいい。
「……っ、すごいな……全部、吸い取られそうだよ」
見上げる彼の、潤んだ瞳がたまらない。
快適に調整されている空間なのに、彼の肌にはびっしりと汗の粒が乗り、照明を照り返しているのが、金粉を振りかけたみたいで、強烈にセクシー。
オスの香りに混ざる、消毒薬の匂いに頭がクラクラする。
「んぶっ!?」
くわえたまま、ビクン、と背中を反らした。
ビキニの脇から潜り込み、グリグリとアソコを嬲る、ずんぐりした感触。
さっき見た、彼の足。
あのとき、可愛いと思った足の指が、私のアソコを……
「フッ、ふぅーっ、ん〜ッ!」
私、お尻を左右に振って、悶絶した。
カタいのに、丸くて、太くて。
親指から小指までが、器用にワレメにはまって、でたらめに蠢く刺激が、強烈すぎて。
「あれぇ? おクチがお留守になっちゃってるよ?」
「……らっへぇ、ういがぁ、ひぃいん!」
だって、ゆびが、きもちよすぎて。
そう言ったつもりが、口いっぱいの肉棒のせいで、善がり声の続きみたいになってしまう。
涎まみれで喘ぐ私に、彼は淫微な笑顔を落として
「しょうがないなあ、じゃあ、その可愛いビキニにお仕置きしちゃおう」
そう言った。
「ぁあ……そんなあ……」
彼、私を膝立ちにさせて、オフショルダーのブラの下から、胸の谷間にアレを突っ込んだの。
いわゆる、パイズリってヤツ。
自分の唾液でヌルヌルになったモノが、窮屈なビキニの中で、上下に暴れる。
胸元に飛び出した、艶のある赤黒い先っぽを、
「しゃぶって、早く!」
と、促されるまま、唇をすぼめて、チュッチュッしゃぶる。
本能的に、胸の両側にてのひらを当て、挟んだものを揉んでいた。
そうすると、乳首の先にまで刺激が伝わって、
「んひゅぅ……っ」
ヘンな声が出ちゃうほど、気持ちイイの。
「ぅお、イイっ、もう、出そう……!」
彼の言葉通り、亀頭から苦い先走りが溢れてる。
奥の方で、放出の準備が始まってるのがわかる。
そんな彼は、足から集中力がなくなっていた。
私、ただ当たっているだけの足指に焦れて、アソコを押しつけてクニュクニュ動かしながら、夢中で彼の亀頭全体を吸いあげる。
「ちゅぶっ、じゅっじゅっ、ジュルゥ〜っ!」
だって、いくら彼のモノでも、おろしたてのビキニを、白濁汁で汚されたくないじゃない?
なのに、悲劇は起こった。
ビシャアッ!
フリルの裾から、ポタポタと滴るモノ。
「……お客さんっ!?」
翳んでいた視界が、元に戻る。
カクテルスタンドの前に立っている私。
両手で挟んだ大振りのカクテルグラスは、まだ傾いたまま、紫色の雫を胸元にこぼしている。
いつの間に、何を注文したのやら。
「お客さん、こぼれてますよ、大丈夫ですか!?」
重ねて声をかけるスタッフは、アロハシャツ姿の、彼とは似ても似つかないひょろっとした青年。
そりゃそうよ、この人は監視員じゃない。
飲んでもいないカクテルで、酔っ払って見た夢。
だけど、いい夢だった。
「……水着に味見させちゃったわね。大丈夫よ、とっても美味しいって言ってるわ」
私、グラスを持ち直すと、精一杯のクール&優雅な微笑を浮かべて、そう言った。