電車で二駅先のアーケード商店街で行われる七夕祭りは、毎年大賑わいする。
アーケードの天井から、大きなハリボテや吹き流しをぶら下げるのがウリ。映画のキャラや、近くの小学生が絵を描いたり、素人が作るとはいえ、なかなか見ごたえがあるらしい。
実はあんまり興味がなくて、この街に越してから、まだ見たことがなかった。
大体、七夕って行事自体、ちょっと地味じゃない?
明日は七夕という蒸し暑い金曜日。
会社の飲み会があって、その夜私は、かなり酔っぱらっていた。
うっかり電車を乗り越したあげく、慌てて飛び降りたのが、例のアーケード商店街のある駅。
酔った勢いで私、改札を出て、商店街を覗いてみることにしたの。
もう夜も遅いというのに、アーケードの中では明日の準備に追われる人々でごった返している。
見上げる天井からは、完成したらしいハリボテがいくつもぶらさがっていた。左右の端には、人の背丈ほどもある吹き流しがズラリと並んでかすかな夜風に揺れている。
どうやら、関係者以外立ち入り禁止みたい。
わざわざ降りて、損しちゃった。
そう思いながら、商店街と並行している小路を、なんとなく進む私。ここも、いろんな荷物を持った人々が汗だくで行き来している。
すると、いくらも歩かないうちに、
「ぷあっ!?」
なにか、ワサワサッとしたものに、鼻先をつっこんでしまった。
「おおっと、すみません!大丈夫!?」
そんな声と同時に、私はワサッとした何かの中から伸びた手に、腰を支えられている。
この声。
そして、薄暗い路地でもわかる、分厚い筋肉をまとう腕。
一気に酔いが醒める。
四条丸駆クンだ!
彼、一抱えもある吹き流しの輪を、片手で軽々と頭上に持ち上げていた。
私が顔を突っ込んだのは、その下から地面に着くほど長い、垂れの部分。暗がりでも、金色に光るのがわかる。
キラキラする吹き流しをかき分け、彼が正面から、グイと顔を近づけて、
「あれ、酒臭いね。じゃあ悪いのは酔っ払いか」
笑顔でそんなことを言う。
陽灼けしてツヤツヤした頬と額が、健康的かつセクシー。
「ごめんなさい、なんだか足元がフラフラしちゃって……」
鼻が当たりそうな距離で見ると、醒めたはずの酔いがぶり返したみたい。
私、甘えた鼻声で囁くと、吹き流しの中に顔を突っ込んで、彼の胸板に頬をつける。身長差は、それほど大きかった。
「足元というと、この辺……?」
「……あんっ、ちが、ソコは足の、付け根ぇ……」
彼、そう言いながら私のお尻に手を回して揉みしだく。
ヒップと腿の堺目を揉みながら、人差し指を尻朶の間へ潜りこませる。
「んんっ、ソコは……」
通勤福は薄手のヒラヒラワンピースだから、彼の指はスカート越しに、私のワレメを小突き放題。
「ぁうん、はぁ、はあぁっ!」
私、早くも呼吸があがって、腰がカクカクしてきちゃう。
だけど、いくら暗がりだって、周囲にはけっこうな人数が行き来していて、
「ね、ダメよ、ッ見られちゃう、からぁ」
腰を振って彼の愛撫に応えながらも、なんとか止めようとする私。
「大丈夫、吹き流しに隠れて見えないから」
なのに彼ったら、自重するどころ、かますます私の中心部をまさぐり、後ろからクリちゃんをコリコリ。
「ほら、こういうの、好きでしょ?」
「あ、あ……ぁ、好き……好き!」
だらしない声が止まらない。
指はついに、ワンピースと下着の生地ごと私のナカに侵入しようとしていて。
私、ガマンできずに、自分からスカートをまくりあげて
「やぁん、直接入れて、ゆび、入れてぇッ!」
と、おねだりしていた。
「じゃあ、お返ししてよ。俺、片手が塞がってるからさ」
「ん、うんっ……」
ぐちゅんぐちゅん、ハデに音をたてて私のナカをかき回す彼。こんな状態で言われたら、絶対に断れない。
私、彼の股間をまさぐって、短パンからすっかり堅くなった太いモノを掴みだす。
ためらいもなく、ソレを握ってきつめにしごく。
「なかなか、うまい、ね……」
二人の汗の滑りが、ローション代り。
競争するように、彼の指が二本に増えて、より速くズポズポしてくる。
「ふぁあ、あうん、すごぉ……「
お互いから立ち昇るむわっとした匂いで、頭がクラクラする。
私、彼のをしごきながら、ちょうど唇の脇にぷっくり感じられる彼の乳首を、Tシャツ越しに噛んだ。
「ぉおッ!」
とたん、熱っぽく裏返る彼の声。
前歯でキシキシとしごいてあげると、手の中で彼のモノがギュンと反り返る。
「い、いぃっ、ソレすごくイイよぉ……」
なんて善がり声をあげながら、彼も腰を振り始めちゃって。
目を閉じて快楽に没頭している表情が可愛くて、見ているだけでイッちゃいそう。
というか、早くイきたい。
早く、はやく、はやくーーーー
「今ここ、関係者以外は入れませんよ」
私、つんのめるように立ち止まる。
目の前には商店街の名前を染め抜いた法被姿のおじさん。
私はどうやら、アーケードの入り口から中へ飛び込もうとしていたみたい。
どうせ、こんなことだろうと思ったわよ。
口の中でスミマセンと呟きながら、私は駅に戻り始める。
千鳥足はお酒のせいというより、絶頂の余韻のせい。
まだ金色の靄がかかった頭の中で、明日また来てみようかな、なんて考えていた。