私の会社は、街中のよくある雑居ビルのワンフロア。
実は、社長一族がそのビルのオーナー。と、いうわけで、社員が防災ナントカとか土地管理ナントカの手配をやらされることが、たびたびあるの。
今回も、新しいテナントが入居後に設置したパーテーションが、消防条例に引っかかっていないかどうか、確認する役目を仰せつかった。
本来の仕事じゃないんだけど、仕方ない。直帰OKを救いに、私は徒歩15分くらいの所にある地元の消防署へ向かった。
昨日は暑いくらいだったのに、今日はどんよりした曇り空の下を、肌寒い風が吹きすぎる。今年の5月は、こんな気候ばっかりで、うんざり。
しかも消防署の担当者はボンクラ揃い。
一度提出した書類を、数分後に戻してきて、ここに書き足せ。しばらくしたらまた戻して、ここにもチェックしろ。あげく、書類形式が古いので、こっちに書き直せ、と白紙の書類をもってくる始末。
私には、全く同じに見えるんだけど。
「今度の修正は一度で済むように、時間かけて確認してください。20分くらいしたらまた来ますから」
私はついに、そう言い捨てて消防署を飛び出した。
時間はすでに4時過ぎ。
一度会社に戻るのもバカバカしいから、辺りをうろうろ。
消防署に隣接した大きな車庫には、きれいに磨かれた消防車や給水車が並んでいる。
これだけ待たされてるんだから、そのツヤツヤした表面を撫でてみるくらい、許されるんじゃないかしら。
幸い、通行人も消防士も見当たらない。
私、シャッターを潜ってひんやりと薄暗い車庫の中に忍び込んだ。
赤い車体の側面には、グルグル巻かれたホースをはじめ、謎の道具がたくさん取り付けられている。
こんな間近で見るのは初めてで、私、男子小学生みたいに興味津々。
車体を回り込み、反対側も見ようとした、そのとき。
バスン!
壁にぶつかったように、私は弾き飛ばされていた。
「おっと!」
そんな声と一緒に、後ろに倒れかける私の手首を誰かが掴む。
オレンジと黒のツートーンの、頑丈そうな分厚いグローブ。まさに野球のグローブみたいに大きく見える。手袋をはめている手自体が、よほど大きいんだろう。
そのグローブは、ゴワゴワした感じのくすんだオレンジの袖から伸びていて。
袖は見上げるほど高く、がっしりした肩につながっていて。
肩の上には、周囲に布を垂らしたヘルメットを被った……
「……駆クン!?」
逞しい筋肉に包まれた肉体を、レスキュー隊の制服に押し込んだ、いわば最強無敵装備の四条丸駆クンが、そこにいた。
「車庫内は、関係者以外立ち入り禁止なんだけど……」
「あ、私あの、書類をですね、あの、届けにきて、すごく待たされて、ちょっとイラッときて……」
あわてふためいて、彼には無関係の事情を垂れ流してしまう私。案の定、彼は過酷な仕事に従事するプロフェッショナルの鋭い瞳で、私を見下ろすだけ。
わーん、ごめんなさい!
そう、泣き落としをキめようとした瞬間、私は両腕を掴まれ、消防車の車体に押しつけられていた。
鼻をぶつけそうになって、冷たいボディに両手をつく。
「あぁ、指紋までつけて。消防車をイタズラする悪いコには、お仕置きが必要だな」
そんな私の耳元に、彼の囁き。
あなたが私をココに押しつけたんじゃない!
という抗議は、口にできなかった。
「ひぅっ!?」
次の瞬間、スカートの前に、巨大といっていいほどのグローブの右手が突っ込まれたの。
「……ぅ、うそぉ……ッ、そんな、あ!」
「あれ? 濡れてるのに、奥に火種が燃えてるじゃないか」
彼、ちょっとしたバイブくらいの指先で、私のワレメを掻き分けながら、そんなことを言う。
ゴワゴワした生地に、たくさん金具がついた制服が、背中に強く押しつけられて、痛いくらい。
私の背後に密着した、マッチョな消防士の駆クンが、磨かれた車体に写る。
でも、その姿をじっくり見る前に、
「くぅうッ!」
グローブバイブが、私のアソコの消火活動を始めちゃったの!
「……アッ、んんっ、キツぅ!」
バイブサイズと化した中指が、私の火種を探して、ヌプヌプと蠢く。
ザラザラした表面が粘膜を強く刺激して、本当にイボだらけのバイブでいじめられているみたい。
しかも、彼の指使いは、まさにバイブ級のスピードだった。
「は、速いっ、ザラザラ、中、こすれるッ、待って、ちょっと待ってぇ!」
「待ったらお仕置きにならないよ。このレザーとケプラー防火繊維製のザラザラで、奥のを火種をしっかり鎮火しないと……」
ゴリュ、ゴリュッと、子宮口に届くほど奥を抉られるのが、たまらない。
「ァぁああッ、すごっ、消えちゃう、消えちゃうぅ……」
私、彼の股間にお尻を擦り付け、消防車の赤いボディを吐息と涎と涙で一層曇らせながら、グローブバイブにかき出されるまま、絶頂の潮を噴いて消火活動を支援したの。
「……か?」
余韻に浸っていた私に、不審げな声がかかった。
「……お待たせしてすみません、先ほどの書類ですが、あれで大丈夫ですので、もうお帰りいただいても……あの、大丈夫ですか? 具合でも悪いんですか?」
のろのろと顔を上げると、さっきのボンクラ消防署員。
左右を見回すと、私は消防署の正面玄関を出たところで、階段にへたり込んでいたらしい。
隣接している車庫は、植木に隠れて見えもしなかった。
「……ああ、はあ。大丈夫です。わかりました。じゃあ失礼します……」
待たされすぎて、妄想力に磨きがかかっちゃったみたい。
よいしょっ、と勢いをつけて腰をあげ、まだ心配そうな顔をしている消防署員に、背中を向ける。
ホントにもう大丈夫。
ただ、ちょっと。
レザーとケプラー防火繊維のグローブバイブの刺激が、まだアソコの奥に残っていて、ゆっくりヨロヨロ歩かないと、また消火活動を支援しちゃいそうなだけなんだから。