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LPC官能小説第20回「ため息が漏れそうになったとき、玄関の呼び鈴が、、、」

鍬津ころ2018.03.27

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ーー新カレゲット! 優良物件だぞ〜!

 スマホをブルッと震わせたのは、田舎の友達からのLINE。
 ラブラブムード満載のスタンプ付きだ。
 ちょ、マジか!
 去年、空振りに終わった夏祭りに出かけた面子の1人。あんなショボい街で優良物件に出会うなんて、奇跡でもなきゃ、ありえない。
 私なんか、カレシいない暦丸二年なのに。
 唇を噛み締めて、ジェラシーの念を返信しようとして、思い直す。
 頃はエイプリルフール。
 ちょっとしたウソなら許されるんじゃない?

ーー私もすっごい優良物件押さえたとこ! 今日、初めてウチに来るんだよ〜!

 ゴクン、と喉を鳴らしてから、送信ボタンをタップ。
 大丈夫。お盆まで帰省しないし、その間に別れたことにすればいい。
 ちょっと惨めだけど、見栄を張りたいお年頃なんだもん。

 誰もいない、来る予定もない部屋の中で、私はため息をついてスマホを放り出した。
 ツッコミが来たらどう返信するか、しっかり考えておかなくちゃ。
 ぼんやりとベランダの窓に目をやる。
 アパートの裏にある中学校のグランドは、桜の花盛り。
 どこもかしこも満開ってやつかあ。
 もうひとつ、ため息が漏れそうになったとき、
 ピンポーン!
 玄関の呼び鈴が鳴る。ビクンと飛び上がる私。
 春たけなわの日曜日、宅急便の心当たりもない昼下がりに、一体誰が!?

 まさか、まさか、まさか。
 心臓の鼓動が、ひとつの言葉になって轟く中、私は玄関に向かう。
 ドアスコープを覗き込むと、魚眼レンズに歪められた外廊下に佇むのはーーー

 四条丸駆(しじょうまる かける)君!?
 ウソが本当になっちゃった!?

 チェーンを外すのももどかしく、私はすごい勢いでドアを開けた。
 彼が、素早く一歩飛び退いたくらい。
 さすが世界的アスリート、惚れ惚れするような身のこなし。
 春の青空に映えるモスグリーンのシャツに、隆々と筋肉が盛り上がるボディが、ナチュラルに包まれている。ジャケットは茶色がかったベージュ。
 まるで、逞しく育った若い樹木みたい。

 呆然と立ちつくす私に、彼は糸のように目を細めて、くしゃっと笑う。
「お招きありがとう……初めてお邪魔する女の子の部屋に、何を持って行けばいいか迷ったんだけど、これ……」
 輝くような笑顔と一緒に差し出されたのは、カスミソウを少し大きくしたような白い花のブーケ。
 可愛らしい見かけだけど、その香りは甘く濃厚で、セクシーでさえある。

 無意識に花束を受け取り、深く息を吸うと、熱い蜜を全身に浴びたみたいに、頭がクラクラした。
 香りに魅入られる。
 こんなこと、ちょっと前にもなかったっけ?

 そんなことを思いついたとき、私はもう、部屋の真ん中で彼に組み敷かれていた。
「……がっついて、ごめん……でも、花の香りに包まれる君が、あんまりセクシーで……」
 鼻先が触れそうなほどの近さで、彼が熱く囁く。
 私、返事の代わりに彼の背中に腕を回した。
 両手の指先がどこにあるかわからないほど、広く厚く、弾力に満ちた背中。
 彼からも、花の香りがする。
 首の後ろがワサワサすると思ったら、私、花束を枕にしていたの。

 私の香りが、彼にも移ってるんだ。
 そう思ったら、お腹の奥がカッと熱くなった。
 言葉を探す余裕もなく、私、下から彼にしがみつく。両脚の間にある彼の右膝に、アソコを押しつけて、くねらせる。
「……っ!」
 それだけで、舌の付け根が痺れるほどの快感が沸き上がった。

「君も、おなじ、なんだね……嬉しいよ」
 彼はなあやすように左手で私の頬を包み、ゆっくりとキスしてきた。
「んぁ……ぅんん……」
 クチュクチュと舌の表面を舐め合う、刺激的な深いキス。
 同時に、大きな掌が私のバストを包み、膨らみ全体を大胆に捏ねる。
「……ふぁあッ!」
 捏ね回される部分から、アソコにも負けない重い快楽が生まれて、鳥肌が立ちそう。

 さらに彼は、ゴツゴツした膝頭を、私のアソコに分け入らせた。
 下着越しに、ヒダを左右に分けるように、グッグッと刺激されるのが、たまらない。
「あ、ソレ、それ、すごく……」
「もっとよくなるように、君も動いてよ」
「そんなぁ……ッ、んくっ、ううっ、イイッ!」
 私のはしたない下半身は、彼の言うがまま、はさみ込んだカタマリにクリを押しつける。
 そのまま円を描いたり、前後にこすりながら、脳味噌が溶け出しそうに甘美な悦楽を貪った。

「……ねぇ、もぉ、欲しい……ココに、入れて、もっとイイの、入れてぇ」
 私、オナニーを覚えたばかりの小娘みたいに、彼の膝にアソコを擦り付けながら、懇願していた。
「パンツ脱ぐ余裕もないんだ? じゃあ、こうやって……」
 胸から離れた彼の手が、部屋着のニットワンピースの裾に入り込み、しっとり以上に濡れたショーツの股布を脇に寄せる。
「ずらしただけで、ズブッと根元まで入れちゃおうか?」
 露骨なセリフが、まともな思考を焼き尽くすように刺激的。
「して、それしてっ! 根元まで、ズブッ、ズブッて、早く、早くうっ……!」
 彼の肩に火照った顔を埋め、アソコを弄ぶ指先を追って腰をくねらせながら、私はとめどなく溢れる淫語を垂れ流す。
 次の瞬間、子宮に届くほど深く貫かれる期待に、私は半分イキかけていた。

 ズブッ!
 じゃなくて、ブルッ。
 LINEの着信音で、我に返った。

ーーMJD〜!? 超偶然! カレシ来た?

 さっきの返信から、二時間以上経ってる。
 どんだけ妄想に浸ってたんだか。
 だけど、誘惑的な香りに包まれて、恥じらいをかなぐり捨てて快楽を貪った名残は、まだ全身に甘く残っていて。
 なんだか、スッキリした気分だった。

ーー来ない! フラれたっぽい><

 今度は泣き顔スタンプ入りの、ほぼほぼウソじゃない返信を送る。それから、さっきの妄想を反芻するために、私はベッドにもぐりこんだ。

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鍬津ころ

鍬津ころ(くわつ・ころ)

札幌出身、東京在住。山羊座のO型。アダルト系出版社、編集プロダクション勤務後、フリーの編集者&ライター。2011年『イケない女将修行~板前彼氏の指技vs官能小説家の温泉蜜筆』でネット配信小説デビュー。近著『ラブ・ループ』(徳間文庫)。馬、鹿、ジビエ大好き飲んだくれ系アラフォー女子。タバコの値上がりには500円までつきあう覚悟。 

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