5連休だ、9連休だ、と騒ぐ人たちもいるけど、そんなに嬉しいかな?
乗車率150%の電車で揉まれなくて済むのはありがたいけど、人気の観光地にでも行こうと思ったら、同じことじゃない。
我ながらクールだわ。
髪の毛をかきあげ、オトナの女を気取ったところで、同僚のコに声をかけられた。
「あなた、○○線使ってたよね」
その沿線に、最近あちこちで見かけるストレッチ専門店がオープンしたらしい。
彼女が使っているチェーンの1件で、新規店の無料チケットをもらったんだって。
ラッキーなことに、私の最寄駅より3駅会社寄り。
連休中も営業しているというから、観光地や繁華街に行くよりずっと建設的よね。
というわけで私、連休初日をゴロゴロ過ごしてなまったカラダに活を入れようと、ストレッチサロンに向かったの。
駅からほど近い、新しいビルの2階。
通りから見上げると、全面ガラス張りのフロアで、床から伸びる手や脚が見える。
これって、外から丸見えなの?
ヤバくない?
階段の上り口でフライヤーを配っていたスタッフらしき人が私に気づき、どうぞどうぞと手を握らんばかり。
「はあ……無料チケットをもらって来たんですけど、あれ、外から見えちゃうじゃないですか。私、あんまり自信ないというか……」
「そんなことないですよー。あ、でも、でしたら完全個室のVIPコースを受けられたらどうですか? 無料チケットに加えて……」
ちょっと迷ったけど、追加料金を払って、個室でのVIPコースを体験することにした。
個室は、ダブルベッドサイズくらいのフィットネスマットを敷いた、細長い部屋。ヨガスーツみたいなウェアを借りて、部屋の隅にあるベンチに腰かけて、インストラクターを待っていた。
このパターン、どうしよう、もしかして……。
高まる期待に頬が熱くなったとき、ドアが開く。
「よろしくお願いしまー……」
ああ。やっぱり。
思わず腰を浮かせていた私は、力が抜けてヘナヘナとまた座り込んだ。
黒と蛍光グリーンの、光沢あるウェアが、彼の鍛え上げられた筋肉美を引き立てている。
伸縮素材だから弾けそうには見えないけど、ボディの起伏が一目瞭然。緩いハーフパンツをはいていなければ、アソコの起伏までわかっちゃいそう。
あさましく喉を鳴らす私に近付きながら、彼、四条丸駆クンは、
「個室ご希望と聞いたから、すごくご年配とか、大きな問題を抱えてらっしゃるのかと思いましたよ。スタイルもいいし、健康的じゃないですか」
目を糸のように細めた笑顔で、そんなお世辞を言ってくれるの。
「そ、そんなぁ……」
「ホントですよ、総合フロアにいたら、男性のお客さんが増えちゃうかも。あ、でも個室で独り占めできる方がラッキーかな」
彼、こんなにトークが上手だったの?
私を独り占めして、ラッキーだなんて。
頭に血が上る。目と、おヘソの奥あたりが、ウルウルしちゃう。
そんな彼が、私の手を取って、マットの上に導く。
背後から肘を持ち上げたり、背中に膝を当てて、上体を反らせたり。
ストレッチの間、彼は甘い声で
「いい筋肉がついてますよ、とても柔らかくて」
「リンパの流れもいいですね。あなたならちょっと研修すればいいインストラクターになれるかも」
などと、耳に唇が触れそうな近くで、囁き続ける。
脳みそが蕩けそうに、気持ちイイ。
ストレッチ以上に、彼の声が、手が、指が……。
指!?
いつの間にか閉じていた目を開くと、コリコリした筋肉に包まれた彼の腕が背後から回り、私のバストを揉みしだいている!
「な、何を……」
「すみません、あなたが、あまり、ヘルシーなのにセクシーな魅力をまき散らしているから……」
彼、私のうなじを鼻先と唇でくすぐりながら、熱っぽく囁く。
ダメ。
そんなふうに言われたら、私……。
「ボク、もうこんなになってしまったんです」
レンタルウェアには、ハーフパンツはついてなかった。
薄いトレンカと、越しに、お尻のワレメに突き付けられた彼のモノを感じる。
伸縮自在とはいえ、そこそこパツパツ感のある素材なのに、何も身につけていないかのように、カリの張り具合までわかっちゃう。
それほど、カタいの。
そんなふうにされたら、私……。
私、彼のモノをまたいで膝立ちになり、トレンカ越しに私のアソコに押し付けて、前後に腰を振っていた。
滑らかな生地だけど、私の貪欲なアソコからあふれる恥ずかしい涎で、絶妙の摩擦が生まれるの。
おまけに、クチュクチュ、エッチな音まで生まれてる。
彼は私の耳やうなじを責めながら、
「ホントに……入ってるみたい……すごく、気持ちイイよぉ……」
と、善がり声を聴かせてくれる。
「もう、ガマンできない!」
そんな声と同時に、バリッと音がした。
ラップのように簡単に避けたウェアから、私のバストが飛び出した。
「きゃっ!?」
直接、イジられる。
汗ばんだ膨らみを下からタプタプと揺すられ、すでに痛いほど勃ちきっていた乳首をつま先でコリコリ。
「ああん、そんな……でも、ィイイ!」
正直なカラダに引きずられ、私ははしたない声を高くする。
内腿に力を入れ、彼の根本をこね回すように腰を使った。
と、彼の手がバストを離れて、私の股間に来た。
トレンカのソコをつまみ、引っ張り、クリちゃんを探すように突いてくる。
ああ、彼、もしかして……。
「ここも、破っちゃっていい?」
耳を舐めあげてから、やっぱり、そう言った。
言いながら、生地を上へ引っ張る。彼のモノよりさらに奥へ、それが、
「んくぅうッ、食い込むぅ!」
「ソレが気持ちいいんでしょう? ボクのが食い込んだら、もっと、ずっと、気持ちいいよ……」
ピ、と彼が爪を立てると、薄い生地は今にも裂けそう。
まともな判断力も思考力も、とっくになくなっていたの。
私、彼の腕につかまって、狂ったように腰を揺さぶりながら、
「シて! アナタので、直接、私の一番深いトコロを、おぉきく伸ばしてぇええ!」
ビリビリと布が裂ける音に酔いながら、絶頂寸前の声を振り絞った。
「……個室VIP料金はこちらになりますが?」
ぎょっとして私は飛び上がった。
ストレッチ店の受付の前。私はまだ、着替えてもいない。
どうせ、そんなことだろうと思ってたわよ。
私はとっさに答えられず、のろのろと首を回した。彼が総合フロアと呼んでいたガラス張りのスタジオで、数人のお客がインストラクターに脚や首をのばされている。
お世辞にもスタイルがいいとはいえない、オバサンが多い。
彼のセリフじゃないけど、私が混じったら、いい広告塔になっちゃうんじゃない?
もしかしたら、外から私を見染めたヒトと、リアルな恋の出会いがあったりなんかして。
「……個室、いいです」
「はい?」
「個室は取り消します。あっちの総合フロアでの体験でお願いします」
5連休初日の私は現実的だった。
妄想でも十分イイ思いをしたんだから、このうえおカネを払ってガッカリしに行くことないもんね。
予想通り、インストラクターはイケメンでも四条丸クンでもなかったけど、体の柔らかさは褒めてもらえたわ。