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第19回「女性と一緒にお風呂に入るのが好きな男性=92%」

野沿田よしこ2016.05.06

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 私の名前はよしこ。でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではな く、 “おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。私の趣味は人の恋愛話、セック スの話を聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、のぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。
 “人の話を聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ばれ る人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力が なかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。
 と、いうことで、19回目の「よしこおばさんは見た!」よろしくお願いいたします。
 春から夏へと向かうGWのこの時期は、盗み聞き、盗み見のオンシーズンでございます。私がもっとも忙しい時期でもあります。外で話している時、人は様々な音の中に自分たちの会話が紛れ込み、周りに聞こえていないと思うようで、昼間でも人目を気にせずあれこれと話す人が増えるのでございます。しかも気持ちいい風は人の心もオープンにするらしく、本音が飛び交っております。
 「温泉に行って一緒に露天風呂に入りたいなぁ」@某オープンカフェ 20代男
 とあるオープンカフェで、カップルが旅行のパンフレットを見ながら話しておりました。まだ付き合い始めの雰囲気満点のカップルでした。  男「どこにしようか?○○ちゃんはどこがいい?」   女「ユニバーサルスタジオがいい!」  男「人がいっぱいで夏休みになんて行ったら何も乗れないよ」   女「じゃあ、どこがいいの?」  男「温泉行こうよ。貸切露天風呂がある所に行きたいなぁ。初めての旅行だし。温泉に行って一緒に露天風呂に入りたいなぁ♡」    女「一緒に入るなんて無理無理」  男「なんで?!温泉なら広いしいいじゃん。」
 私はかねてから思っておりました。なぜ、男性は女性と風呂に一緒に入りたがるのでしょう?ラブホテルに行って、当たり前のようにお風呂入ってくる男、一応入る前に聞きはするが嫌だと言っても、「はずかしいの?いいじゃん」とか言って入ってくる男、はっきり断ると怒りだす男。いろんな“一緒に入りたがる男”が幅をきかせています。ラブホテルだけでなく、どちらかの家に行ってお風呂に入ろうとすると、男性はやはり聞いてくるようです。  「一緒に入らない?」   女性はこの“一緒にお風呂”どう考えているのでしょうか?
 自分の家、もしくは相手の家、もしくは同居中の家で男性と一緒にお風呂に入るのが好きな女性=32%
 嫌な理由は?  「お風呂くらいゆっくり一人で入りたい」「ラブホテルで一緒にお風呂に入るとそこからセックスを始めようとする男が多いから。お風呂はそういう場所じゃない。」「男と狭いお風呂で向き合っても会話が弾まない」etc
 それに対し男性はどうかというと。
   自分の家、もしくは相手の家、もしくは同居中の家で女性と一緒にお風呂に入るのが好きな男性=92%
 好きな理由「嫌いな男はいないでしょう」etc  好きな理由はいろいろありましたが、ここではそんな理由のあれこれをすべて網羅する“好きな理由”をご紹介させていただきました。私の分析では、男性はセックスがこの後あるかもしれないという場面において、入浴を前戯の一つにカウントしているようです。AVの影響なのでしょうか?女性の“嫌”=恥ずかしがっている=でも実は嫌ではない、という論理にすり替えられ、その“嫌”をも前戯の一つ、その会話自体を前戯として組み込んでいるようです。
 前出の女性も温泉に入ってゆっくり休むどころか、そんな男のエロ目線を浴びさせられ、セックスの香りしかしないような仕組まれた温泉旅行に行くよりは、ユニバーサルスタジオで行列に並んだ方が楽しいはずです。納得いたしました。
「アジアは危ないから。用心しなくては。」@空港のロビーベンチ 40代男性
 これはカフェでも公園でもない空港のロビーでの盗み聞きですが、このGW中に私が耳にした夫婦の会話のひとコマです。のんびりとした会話というより、緊張感溢れる会話です。
 夫「ちゃんと鍵かけたか?数字が絶対わからないように念入りにダイヤルを回したか?」   妻(数字を揃えて開けるダイヤル式のカギを丹念に回す妻)  「大丈夫!さっきも回したけど、これで完璧。絶対数字はわからないから。でもそんなに危ないの?」  夫「日本ほど安心な国はないんだよ。財布を落としても届けてくれる人がいる国なんて日本しかないし。特にアジアの国に行く時は気をつけなきゃいけないんだよ。おまえ鞄から絶対目を離すんじゃないぞ」
 夫が背負っているリュックには、同じくダイヤル式のカギがついていました。いったいどんな国に行くのか?紛争中の街にでも行くというのか?それとも渡航注意地域に行くのか?私は興味が抑えられず、後ろからH○Sと書かれた行程表を除き込みました。そこに書いてあったのはソウル。夫はリュックの肩ひもを両手でしっかりの掴み、出国していきました。
 最近海外に行ったことがない日本人が増加しているそうです。日本しか知らず、それでも日本がどこよりも最高だと疑わず信じ、外国人は危険という方程式がまかり通る日本。そんな日本を“ひっぱる”夫の言葉を信じ、必死にダイヤルを回す妻を見て、私は恐ろしくなりました。自分の目を持たず、夫は社会を知り尽くす人だと信じ、そしてその言葉に疑いを持てない妻。気持いいGWの風に打たれ、開放的な気分になれる幸せを感じながら、夫の男にその風を奪い取られている女達のことを想います。
 「あなたとはお風呂に入りません。お風呂は一人で入るものです。私の居場所に侵入しないでください。あしからず」そんな風に自分の居場所のルールは自分で作り、それを意思表示できる女性にしか吹かない風があります。この季節の風のような気持いい、穏やかになれる風。本音をぽろっとをすくってしまうような風。私たちに吹く風は、おうおうにして己も吹き飛んでしまうような強風ばかりで、いい風ばかりではないけれど、そんな風を通すことができる通り道を、男性に塞がれることなく持っていたいと思う私でございます。
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野沿田よしこ

野沿田よしこ(のそえだ・よしこ)

年齢敢えて不詳。私の名前はよしこ。でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではなく、“おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。
私の趣味は人の恋愛話し、セックスの話しを聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、のぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。
“人の話しを聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ばれる人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力がなかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。 

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