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中絶再考 その45 日本の女性たち、もう我慢は限界! 政府のCEDAW勧告拒否と、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ

塚原久美2025.02.25

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日本政府が国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の勧告を拒否したというニュースは、私たち女性にとって大きな衝撃でした。「日本の社会制度や価値観に合わない」という理由で、女性の権利をないがしろにするような政府の姿勢に、怒りを覚える方も多いのではないでしょうか。女性の人権保障のためにも、これは看過できない問題です。

 CEDAWとは?条約と委員会の関係
CEDAWとは、女性差別撤廃条約、正式名称「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の略称です。この条約は、女性に対するあらゆる差別を撤廃し、ジェンダー平等を促進するための国際的な取り決めであり、日本も1985年に批准しています。
そして、CEDAW委員会とは、この条約の実施状況を監視し、締約国(条約を批准した国)に対して必要な勧告を行う国連の専門機関です。日本もCEDAWを批准している以上、その勧告を尊重し、国内法や政策を改善する義務があります。

CEDAW勧告拒否、何が問題?
今回の日本政府のCEDAW勧告拒否は、日本が条約を無条件で締結しておきながら、その勧告を「日本の社会制度や価値観に合わない」として拒否するものであり、国際的な規範から大きく逸脱しています。
条約締結は、その内容を国内法として実施することを約束するものであり、勧告の拒否は人権侵害にあたるとも言えます。
日本は、世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数でも先進国で最下位クラスであり、ジェンダー平等後進国と言わざるを得ません。

皇室典範と女性天皇
今回のCEDAW勧告拒否の背景には、皇室典範の問題があります。現行の皇室典範では、天皇は男性に限られています。これはCEDAWの観点からは性差別にあたり、改善が求められています。
しかし、日本の歴史を振り返ると、女性天皇が存在した時代もありました。推古天皇、持統天皇、元明天皇、元正天皇、孝謙天皇(称徳天皇)、明正天皇、後桜町天皇など、多くの女帝が日本の歴史を彩ってきました。伝統を重んじるのであれば、むしろ女性天皇の復活を検討すべきではないでしょうか。

 政府の勧告拒否と皇室典範遵守の問題の関係
政府は、CEDAW委員会の勧告を「日本の社会制度や価値観に合わない」として拒否しています。しかし、皇室典範が女性天皇を認めない現状は、CEDAWが求めるジェンダー平等の理念に反するものです。
つまり、政府はCEDAWを批准しながら、その勧告を拒否することで、女性差別的な皇室典範の現状を維持しようとしているのです。これは、国際社会における日本の立場を大きく損なう行為と言えるでしょう。

 オランダ皇室に学ぶこと
一方、オランダでは1980年までウィルヘルミナ女王、ユリアナ女王、ベアトリクス女王と3代続けて女性君主が国を統治していました。オランダの王室は女性も国王として認め、国を導くことに何の問題もないと証明してきました。現代のオランダはジェンダー平等の先進国のひとつとして知られており、女性の政治参加やリプロダクティブ・ヘルス&ライツの分野でも進んだ政策を実施しています。

 中絶薬・緊急避妊薬問題とCEDAW勧告
CEDAW勧告は、中絶薬のアクセス改善に加えて、緊急避妊薬の薬局販売についても言及しています。しかし、日本では中絶薬の導入が遅れているだけでなく、緊急避妊薬も医師の処方箋がなければ入手できません。中絶薬の費用は高額で、一部の産婦人科でしか取り扱っていません。緊急避妊薬に至っては、オンライン診療での処方箋発行は認められているものの、薬局での購入はできません。
これらは、女性が自らの身体について決定する権利を著しく制限するものであり、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの観点からも大きな問題です。

 女性の権利をないがしろにする政府の姿勢
中絶薬や緊急避妊薬へのアクセス改善が進まない背景には、女性の健康と権利を軽視する政府の姿勢があります。女性が主体的に生きるための権利を保障しようとしない政府の姿勢は、CEDAWの理念にも反するものです。

わたしたちにできること
しかし、私たち女性は、この状況を諦めるわけにはいきません。まずは、今回のCEDAW勧告拒否の問題について、特に中絶薬・緊急避妊薬問題との関連を含めて、多くの人に知ってもらうことが大切です。
そして、私たち一人ひとりが声を上げること。SNSでの発信や、署名活動への参加など、できることはたくさんあります。
Change.orgでは、CEDAW勧告の受け入れと、女性の人権保護、そして中絶薬の早期承認と緊急避妊薬の薬局販売を求める署名活動が行われています。ぜひ、あなたの声も届けてください。

 行動を起こそう!
日本の未来をより公平で持続可能なものにするために、今こそ行動を起こしましょう。私たち女性の力で、日本を変えましょう!

 
記事URL

  • Change.org: 拠出金の使途からCEDAWを除外!? #日本政府は女性差別撤廃委員会CEDAWに真摯に向き合ってください! #人権を守る日本へ https://tinyurl.com/4tb23tdy

ハッシュタグ #人権を守る日本へ #CEDAW #ジェンダー平等 #女性の権利 #女性差別撤廃 #中絶薬 #緊急避妊薬 #リプロダクティブヘルス #声を上げよう

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塚原久美

塚原久美(つかはら・くみ)

中絶問題研究者、中絶ケアカウンセラー、臨床心理士、公認心理師

20代で中絶、流産を経験してメンタル・ブレークダウン。何年も心療内科やカウンセリングを渡り歩いた末に、CRに出合ってようやく回復。女性学やフェミニズムを学んで問題の根幹を知り、当事者の視点から日本の中絶問題を研究・発信している。著書に『日本の中絶』(筑摩書房)、『中絶のスティグマをへらす本』(Amazon Kindle)、『中絶問題とリプロダクティヴ・ライツ フェミニスト倫理の視点から』(勁草書房)、翻訳書に『中絶がわかる本』(R・ステーブンソン著/アジュマブックス)などがある。

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