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子育てサロンや子育て講座、レディースカレッジなどの女性講座が各地で開催されていることはご存知でしょうか。特に子育て支援が目的の講座は、託児付き、受講料無料でたいていどこも盛況です。
「子育て」がキーワードでつながる女性の、学びあり、子どもと離れられる時間あり、情報と発見あり、そしてなにより出会いの場となります。
託児は1歳以上の未就園児対象が多く、0歳児は同伴で受講できます。以前は無料だった託児料が、最近は1回300円程度を徴収する自治体が増えています。
講座のテーマで人気のよしあしはありますが、企画するほうも集客しようと、関心をもってもらえる内容やキャッチコピーをひねり出して、どこもよく頑張ってるなあと思います。

長年おつきあいのあるC市の子育てサロンは、年間通してさまざまなシリーズを苦心して企画しています。メンズカレッジも歴史があって、こちらはほぼシニアのおじさんたちの居場所モードですが、例年盛況です。地道な努力が地域に定着しているといえます。
最近の「子育てサロン」に行ってきたので、今回はその話題です。
年間4シリーズの子育てサロンの第3シリーズ「頑張る私の自分磨き」5講座。
「子育て中心で、つい自分のことは後回しになってしまう毎日から、一歩踏み出してみませんか? 仲間と共に学びながら、自分を見つめ、自分を育てる、私のための講座です」
パンフレットの中のとても小さなスペースだけど、呼びかけ文には主催者の思いが込められています。

その2回目「自分で自分のストレスを減らそう~考え方のクセを変えるコツ~」を担当しました。
たった2時間の講座で、自分のクセなんてカンタンには変えられません。でも、コツはあるんですよ。何を考えてもらうか、落としどころを絞りこんで準備します。

託児室の子どもたちは定員12人、今日も満員御礼。にぎやか、にぎやか。同室組(0歳児同伴)が4組います。20代から40代のママたち20人、全員が参加してくれるなんて、託児があるからだけじゃなさそう。託児にもれて、参加できなかった人もいます。今回シングルマザーの参加はありません。
こういった子育て講座に来る人たちは、もう十分に「頑張ってる」人たちがほとんどなんですよね。
なので、「頑張ってる」人に「自分磨き」というと、どう考えるかな? 私としては気になるところ。それって、誰のため? なんのため? も課題にしたい。

プログラムの目的を決めて、講座のストーリーを考えます。
・自分や自分の生活パターン、パートナーや子どもとの関係を見直す機会にする。
・子育て期の「私」のストレスや不満の正体を点検する。
・「私」を壊さないで子どもとどうつきあうかを考える。背景にあるパートナーの影響を
見逃さない。

1.「私」のストレスってなんだろう?
 子ども? それともパートナー? 誰かなの?
 自分の心の状態をふりかえってみよう。

2.子育てって、いつまで続くと思ってる?
 じゃあ、もし、自由な時間ができたら、何をしたい?
 もし、自由に使えるお金があったら、何をしたい?

3.ストレスの正体はなんだろう? どんなもの? どこから来てるの?
 「理想の夫婦像」「自分が思い描いていた夫婦の関係」ってどんなものだった?
 「パートナーに求めるもの」は?
 「私が求められるもの」は?
 可視化してみて気がつくことはなんだろう?
 ・「私」のOK満足度は 何%?
 ・不満度 イライラ度は何が問題だと思う?
 ・イライラの正体を考えよう

4.パートナーシップで必要なことは?
 ・「私」はリスペクトされている? 相手をリスペクトしている?
 ・コミュニケーションはとれている?

 いつもストレスがあると、私たちはどうなるかな?
 何がそうさせているんだろう?
 どんな行動をとっている?
 「私」の中の本当の欲求(ニーズ)は何だろう?
 背景には、何があるんだろう?

5.やっぱりジェンダー・・・自分らしくいたい「私」がいて当たり前だよね。
 ・「私」らしく生きるために必要なこと
  一人で頑張らないこと=パートナーにも父親に育つチャンスをあげる・作ろう
 ・社会はまだまだ女性に子育てを押しつけている。
  母である前に、妻である前に、嫁である前に、「私」だよ!
  まずは「私」があってこそ!
 ・つい当たり前、と思ってる・してることが  他者優先  と  過剰責任
  小さい子どもだって、少しずつ自立している、育っている。
  しなくてもいいことを無理してやってない? 減らしてみよう、やめてみよう。
  その人の責任に戻してあげよう。
  自己犠牲は、おせっかい、おしつけ、大きなお世話になっていることもある。
 「してもらって当たり前」と思っている人には、自分で責任をとるチャンスにしてもらう。そのチャンスを相手に返してあげよう。
  あなたが自分を大切にすることはワガママじゃないんです!

6.これからのために
 自分に何が足りないのか、気づいたことは?
 まだまだ産後のケアが必要な時期。エネルギーチャージが必要、当然のこと。
 必要なエネルギーを誰かにもらったり、自分でも補給しよう!
 それが  ココロの栄養   からだの栄養
 それが「生きるエネルギー」になる!
 頑張ってる「私」へのごほうびメニューリストを作成しておこう。
 今できること、これから企んでおくこと、いつか目指したいことなど。

講座で考えてみたからって、すぐにどうにかなるわけはないよね。まだまだストレスでしんどいことはあるはずだもの。
ちっともこちらの言うことを聞いてくれない人もいるものね。
そう、周りにはいろんな人がいる。
ちょっと苦手、やばいな、という相手と、どういう距離をとるか。考えておこう。
相手の土俵にのるか、のらないか、相手にしないワザを磨くか、それも訓練。
「逃げるが勝ち!」は大事なコツ。自分を守る防衛力、セルフディフェンスのワザです。

でも、子どもからは逃げられない。逃げちゃダメ。
子育ては逃げたら長引くし、出し惜しみも自分に返ってくる。
真っ向勝負したほうが、早く片づくこともあるんです。
目の前のことで精一杯なのはわかるよ。24時間営業状態だし、一番濃密なときだからね。
でもね、今が永遠に続くわけじゃないから。
私たちだってかつては子どもだったじゃない。
「もういいわ」って、彼らだって、親から卒業していくときは来るんです。
自分の大切な人にするように、自分を大切にしようね。

<参加者感想の一部抜粋です>
・自分は何にイライラしているのか、その正体は何なのかつきつめて考え、原因を見抜く、
相手(夫)に言うことが大切と思った。私は誰のために生きているのか?ではなくて、私は自分のために生きるということをこれからは意識してみたい。

・ストレスの根本が何かわかったので、考え方を変えることができそう。「ごほうびを決め
て、ごほうびには罪悪感をもたなくていい」という話がとてもラクになった。

・「自分のために生きる」すごく大切なことだと思う。子どもが自立したころ、自分が何を
したいか具体的に考えたことがなかった。少しずつ考えていきたい。

・仲間とストレスを話すことでラクになった。気持ちを言葉にすることが大切だと感じた。
他者優先にならず、過剰責任を抱えずに、生活していきたい。

・モヤモヤの答えがわかった気がした。自分のことを考える時間が少なかったのだと思う。
もっと自分を大切にしていきたい。

・共感できることばかりだった。一人で抱え込まなくていいんだと思うと同時に、周りの友だちに感謝。

今は、自分の時間をもつのがとっても難しいときよね。すごくわかる。だからここで出会えたんじゃないかな。
この出会いが何かのきっかけになってくれたらうれしい。
いつか、今の時間が、子どもや夫とタッグしてバトルしたこの濃密な時間が、懐かしくなるときが来るはずだから。

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具ゆり

具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んでいる。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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