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スクールフェミ「猛暑が野菜を直撃 〜家庭菜園から見える今後の食料事情〜 」

深井恵2024.10.10

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今年の夏の猛暑は、今までにないものだった。特に野菜が大きな影響を受けた。
8月は雨がほとんど降らなかった。8月下旬になっても夕立さえほとんど降らず、畑は干上がった。水道水を畑に撒くという手もあるが、カンカンに日光を浴びた後の畑に水を撒くと、土の中で熱湯のような状態になり、野菜の根が腐ってしまうため、水撒きもためらわれた。陽が昇る出勤前に朝早く水撒きをしに畑に行く気力もなく、その結果、野菜のほとんどの収穫が激減した。

トマトやナスはほとんど実らなかった。実ったものも極めて小さいサイズにとどまった。トマトの枝はほとんどが枯れてしまい、少ししか花をつけなかった。昨年まではボウルにいっぱいのトマトを収穫して好き放題食べていたのに、今年の夏は数粒ずつの収穫だった。10月になってようやく雨が降る日が続き、トマトの一部は復活して花をつけた。今後収穫できるといいが、急に寒くなると花の後の実は望めないかもしれない。

トウモロコシは粒と粒の間が空き、実入りが少なかった。かつてトウモロコシがカラスによる被害に遭ったことがある。信じられない話だが、カラスは上手にトウモロコシの皮をむいて食べるのだ。そろそろ収穫してもいい具合にトウモロコシが実ったから、明日取って食べようと、次の日畑に行ったら、食べ頃のトウモロコシは全てカラスにやられていた。今年はカラスが目もくれないほどにしか、トウモロコシは実らなかった。

ゴーヤも成長が悪く、カラスウリほどの大きさになるのが精一杯だった。支柱を立ててネットに伝い上がらせる方法ではなく地生えにしていたので、小さなゴーヤは雑草の間に埋もれて、見つけるのも一苦労。連日35℃を超えた夏の間、熱中症予防のため、除草作業を短時間しかしなかったツケがまわり、雑草は伸び放題になっていた。熟してオレンジになって初めて、ゴーヤが実っていたことに気づくこともしばしばだった。

オクラも少しずつしか実らない。食べきれないほど実っていた頃が懐かしい。昨年までは大量にフライパンで炒めてモリモリ食べていたが、今年は時々2、3本ずつ収穫できれば御の字だった。オクラは実ってすぐに食べないと、硬い繊維がたくさん入って歯がたたなくなる。実った後2、 3日間空けて収穫すると、繊維が硬くなりすぎて炒めて食べるのに苦労するので、薄くスライスして食べるしかなくなる。水不足はこの繊維の硬化に拍車をかけた。

水不足で野菜の体力が落ちると、害虫が多く発生する。ピーマンは多少実ったもののカメムシの駆除に例年以上の労力を割いた。仕事が終わってから実家の畑に行って一仕事するのだが、行くたびにピーマンの枝にびっしりとカメムシがうごめいていた。ピーマンの枝を叩いて、バケツにカメムシを落とし入れ、その後大量のカメムシを踏み潰す。踏み潰しても踏み潰しても、カメムシは後を絶たなかった。踏みつぶされたカメムシには、目ざとく見つけたアリがたかって、せっせと巣穴に運んでいた。

筆者は米は作っていないので、低農薬の米作りをしている知り合いから米を買っているのだが、その米からこの夏、コクゾウムシが発生した。米袋に入れていた米に、何百匹もの小さな黒い虫が同居していたのだ。発生したコクゾウムシを退治するのは非常に厄介だ。

コクゾウムシは光を嫌がるので、日の当たる場所に米を広げて逃げ出すのを待つという方法が一般的なようだが、その方法だとコクゾウムシが飛散するので、個人的には選択したくない方法だ。それに、成虫になって動き出すコクゾウムシは駆除できても、米粒の中に潜んでいる幼虫は取り除くことができない。少量の米を台に広げて、成虫と幼虫の入っている米粒とを地道に取り除くという方法をとるしかない。

コクゾウムシは食べても害はないらしいが、そのまま炊いてコクゾウムシを米粒と一緒に食べる気にはなれず、一週間分の米を選別するのに何時間もかけるという状態だ。今年の新米にはコクゾウムシを発生させないよう細心の注意を払いたい。

筆者が米を買っているその知り合いも、今年の猛暑の影響を嘆いていた。水不足と害虫の影響で、低農薬の米は例年の7割程度しか収穫できなかったというのだ。今年の夏は全国的に米不足となっていた。昨年の猛暑の影響やインバウンド等による米の消費が増加したと報道されていた。今年の秋になって新米が流通しても、米の価格は例年の3割ほど高いようだ。10月になって米不足の影響は収まるのだろうか。

今年の米の収穫は、昨年の量を更に下回りはしないか。猛暑に加えて、豪雨災害もあった。能登の水害がひどかったように、秋田や山形、九州も大雨の被害に遭った。川の氾濫による洪水や土砂崩れによる災害が、実りを迎えた田んぼを襲った。稲穂が水につかると、芽が出てしまい精米できないという。来年の夏は今年以上の米不足が懸念される。

猛暑の影響も自然災害の影響も、日本だけでなく地球規模で起きている。スペインの干ばつでオリーブが打撃を受け、オリーブオイルが高騰しているし、カカオの不作でカカオの争奪戦も繰り広げられている。そして猛暑の影響は野菜や穀物だけではない。鶏も夏バテで卵を産む量が減ったし、牛も夏バテで食欲が落ち、牛乳の量が減ったとの報道もあった。

来年以降、猛暑も自然災害も、増えこそすれ減りはしないだろう。そう考えると、近い将来、全世界で食料難が起きないかと危惧される。日本の食料自給率は30%台と言われているが、種や肥料なども換算すると、自給率は10%台にまで持ち込むという。円安が進んでいるため、輸入しようにも買い負けている日本。第一次産業に重きを置いた政策は、現政権には見当たらない。

フルタイム労働の傍らで、畑の維持管理をするのは困難を極めるが、食料確保のためにも、少しでも自給できる食料は自給しようと思う。

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