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スクールフェミ「校則を変えることが社会を変えることにつながる」

深井恵2024.09.19

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都市部の高校では考えられないだろうが、地方では校則による様々な規制が残っている。本校の校則にも不合理なきまりがいくつかあって、先日、生徒会から学校に対して、校則の見直しの要望が出された。

「ツーブロックを認めてほしい」という要望と「スマートフォンを預からないでほしい」という要望だった。近隣の高校では、ツーブロックが認められているし、スマートフォンの預かりもしていないのだが、本校ではツーブロックは禁止、スマートフォンは登校後、朝のホームルームの時間に担任が預かり、帰りのホームルーム時に生徒に返却している。

生徒会から要望が出されたものの、教員側の生徒指導部の回答は「要検討」。残念ながら、すんなりと認められることはなかった。そこで生徒会執行部は、さらなる理論武装しようと動き出した。何とかツーブロックを認めてもらいたい、スマホの預かりをやめてほしいという、切なる願いだ。

ちょうど、筆者の担当している授業が小論文の中の「データ型小論文」だった。「データ型小論文」とは、提示された資料やデータから読み取れることを自分で見つけ、その読み取った内容を盛り込んで、小論文として完成させるというもの。

今回は、データそのものを集めようと、生徒間のネットワークを使い、県下の他校の状況を把握することにしたのだ。中学時代の友人・知人で他校に進学した人や、きょうだい・いとこなどの親戚、部活で知り合った他校の生徒、後輩からも情報を集めることになった。

そもそも、なぜツーブロックが禁止なのか。科学的・合理的な根拠はないだろう。しかし、ツーブロックを頑なに禁止したがる教員がいるのも事実だ。就職試験・進学試験で不利になることを理由として教員側が挙げている場合が多い。本当に不利になるのか。ツーブロックで受験した場合とそうでない場合を、直接比較するのは難しい。

ツーブロックを許可する前と後で、就職・進学実績に差が出たのかを同じ高校で調べたところで、その学年の生徒自体が違う生徒なのだから、受験先が全て一致するはずもなく、比較対象になりにくい。企業の人事担当者に直接聞くことができれば一番だが、なかなか情報を集めるのが難しい。しかし、その情報を集めた高校生がいた。

2022年に岡山県岡山市の県立興陽高校の生徒会が、校則で禁止されている髪型の見直しを求め、139の企業へのアンケートを実施したという。その結果、髪型の校則が見直され、禁止されていた12の髪型のうち、9の髪型が認められるようになった。ツーブロックも認められた髪型の一つだ。詳細は『高校生新聞』(下記のURL)で読むことができる。
https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/9655

スマートフォンの預かりにしても問題が多いだろう。仮にスマートフォン1台100,000円として、1クラス40人の生徒のスマートフォンを預かると、100,000円× 40人= 4,000,000円。万が一落として壊してしまったら、誰が責任を取るのだろうか。スマートフォンを預かっているある高校では、万が一のためにわざわざ保険に入ってもらうという対応をとっているところもあるようだ。そこまでして預からなければならないのか。

確かに、スマートフォンを持たせていると、生徒が授業中等の不適切な時間帯に使ってしまうという場合が考えられる。授業中にスマホゲームをしたり、授業と無関係な動画を見たり、音楽を聴いたり、許可なく写真を撮ったり…考えればキリがない。しかし、すでに「1人1台タブレット端末」を生徒たちは持っている。スマートフォンを持っていようがいまいが、事態は変わらないのではないか。スマートフォンを持っていても、自分で自分を律することができるようにするのが教育だろう。生徒からスマートフォンを取り上げておいて、授業中に生徒がスマートフォンを使わないのは当たり前。手元に持っていても、使ってはいけない場面では使わない習慣を身に付けさせる必要があろう。

ツーブロックやスマホ預かりに限らず、校則の見直しは全国的に広がりを見せている。性別に関係なくスラックスやスカートを選べる「制服のジェンダーレス化」や、男女の区別なく髪型に関する規定を見直す動きが、校則の見直しの主流を占めている。校則の見直しが大きな流れになっていったのは、2022年に文部科学省が、教員用の手引書「生徒指導提要」の改訂によるところが大きいだろう。文科省はいわゆる「ブラック校則」と呼ばれるような不合理な校則を見直し、児童生徒・保護者の意見を反映させたり、校則をホームページで公開したりすることを求めた。

また、2023年12月に閣議決定された「こども大綱」にも校則の見直しは盛り込まれた。「こども大綱」には「こども家庭庁」が関わっている。この「こども家庭庁」は、「縦割り行政」ではなく、こども政策の司令塔としての役割を担う、各省庁の上部機関という。つまり、「こども家庭庁」は文部科学省に指示できる立場にあるのだ。少々長くなるが、「こども大綱」に盛り込まれた「校則の見直し」の該当箇所を引用すると以下のようになる。

校則の見直し
校則は、各学校がそれぞれの教育目標を達成するために、学校や地域の状況に応じて、必要かつ合理的な範囲内で定めるものであり、校則の見直しを行う場合にはその過程でこどもや保護者等の関係者からの意見を聴取した上で定めていることが望ましいことから、学校や教育委員会等に対してその旨を周知するとともに、各地の好事例の収集、周知等を行う」。

先日、生徒たちが集めた県下の情報を集約した。現時点では県下全ての高校を網羅することはできてはいないが、おおよその傾向はつかむことができた。ツーブロックを認めていない高校は数校、スマートフォンを預かっている高校も数校だった。大半の高校でツーブロックは認められているし、スマートフォンを預かってもいない。今回集まった情報を、今後生徒会執行部がどう活かすか。このデータ以外にもっと有力な説得材料等をどう集めて生徒指導部に訴えるか。生徒たちの今後の動きに期待したい。

データを集めた生徒たちに、こんな話をした。今回は校則の見直しだったが、将来、就職した時、社会人としての生活が始まった時、「これはおかしい、人権侵害なのではないか」という事態に直面するかもしれない。その時に、「自分には何もできない」のではなく、何か問題の解決策はないか考える、自分にできる行動をする、誰かに相談してみる等のアクション起こせる大人になってほしい。そして今すぐには変わらないかもしれないけれど、自分の後輩や後の世代がもっと生きやすい社会に変えることができるかもしれないと、長期的な視野に立って行動してほしい。政治に関しても同様。近い将来解散総選挙があるかもしれない。18歳の人は選挙権が手に入る。誰に投票するかよく考えて、選挙権を無駄にすることなく一票投じてほしいと。

自分自身も、統一教会や裏金問題のことを忘れずに、総選挙では一票を投じたい。

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