こんにちはよしこおばさんです。 私の名前はよしこ。
でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。
なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではなく、
“おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。
私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。
私の趣味は人の恋愛話、セックスの話を聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、のぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。
“人の話しを聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ば れる人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力 がなかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。
お久しぶりです。ばずっています。
洗濯物を干そうと籠に手をかけた時、携帯に文字が現れました。
ショートメールに入った文字の意味がしばらくピントこなくて、迷惑メールかと、一度無視をして1枚ズボンを干したのですが、もう一度読み返してみました。それは数年ぶりのラブピースクラブの方からのメールでした。
おばさんでも知ってます。ばずる。しかし私とは縁のない言葉は私の頭に入ってきてはくれないのです。
「ばばあ、ずれてます?」
「あばずれのあ抜き言葉?」
「ラブピースクラブの方、私になにか恨みでも・・・」
私の昭和脳では、ちあきなおみ先生の「夜へ急ぐ人」のサビが鳴り始めました。
♪おいで おいで おいでをする人 あんた誰
少し怖くなったので、お電話してみました。
「よしこさん。なぜかいきなりランキングの2位に入っていてとても読まれているのです。2015年のコラムです。私達にもわからなくて。とにかくバズっています。」
とても不思議がり、私にその理由を求めてらっしゃるようですが、私にはちんぷんかんぷんです。「なにか最近のお話しを書いてください」とおっしゃってその方は電話を切りました。
セックスにAVを持ち込む男の割合98%
風俗案内所があるとある繁華街にある居酒屋次郎。始発を待つ30代後半の男たちに背を向けて私は梅酒を飲んでおりました。
男1「こいつの◯◯が(彼女らしき名前)セックスよくないだって」
男2「おまえそういうこと言うか?!でもそうなんだよ。痛いとか言ってあんまり濡れないし。つまんないだよ」
男3「どっか悪いんじゃない◯◯。俺の彼女もさぁ口でしてくれないんだよ」
男1「それやばくない?俺なら速攻別れるな」
噂には聞いていましたが、“感じないのは女がおかしいと思う男族”のロングトークを聞いたのは初めてでした。
男1「おまえちゃんと腰振ってる?弱ってるんじゃないか?」
男2「ガンガンやってるよ!」
男3「強ければ強いほど喜ぶもんだから、男は腰が命だよ」
男1「そうだよ。おまえ腰弱そうだし(笑)尻とか叩いて刺激するとかすりゃいいじゃん。あとAV一緒に見るとかさ。」
おぞましい。AVが作り出す女の悦びがフィクションではないことを知らないまま、女性と向き合う男たちのなんと身勝手なことか。その男たちの彼女たちの身が心配になってきました。
この晩、男たちの話しを聞いて、私は新たなデータを手にしました。
=男のAV妄想=
“女には、激しいピストン運動が一番だ”と思っている
“フェラチオしない女はおかしい” と思っている
“女が感じないのは女の体の問題だ” と思っている
“1回のセックスで体位はこまめに変えたほうが女は喜ぶ” と思っている
変わった“プレイ”をしたことを自慢する
潮吹に過剰な憧れを抱いている
男たちにつきあって、私は朝まで次郎で梅酒を飲んでいました。そして数年前のある盗み聞きを思い出しました。
お気に入りのフレッシュネバーガー。ここで私は多くの盗み聞きをしてきました。朝でも夕方でもそこには女の本音がこぼれています。平日のハッピーアワータイムでの会話です。
女1「・・・いい方法があったよ!」
・・・が聞こえず耳を凝らして会話の行方を探りました。
女2「えっ!例の話?」
女1「我慢しても漏れちゃう声ってあるじゃない。あの声にしたら、即終わったの」
女2「えっ!どのくらいで?」
女1「一瞬で」
女2「よかったね。でも回数増えちゃうんじゃない?」
女1「・・・」
聞こえてくる情報をまとめるとこうなります。
単身赴任の夫との週末のセックスに苦痛を感じている女1は、夫とのセックスを早く終わらせるために “我慢しても漏れちゃう声“であえいでみたら、その声に興奮した夫が早く果ててくれて大成功。しかしそれは夫の性欲に火をつけるのでは?という女2の指摘に、女1が言葉を失い途方に暮れる。
女はどこまで大変なのでしょうか?
女はどこまで男に合わせなければならないのでしょうか?
最後に先程のちあきなおみ先生の「夜へ急ぐ人」の一節で終わりたいと思います。
♪ネオンの海に目を凝らしていたら
波間にうごめく影があった
小舟のように あっけないそれらの影は
やがて哀しい女の群れと重なり
無数の故郷という 涙をはらんで
逝った
「夜へ急ぐ人」(作詞:友川かずき 1977)