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スクールフェミ「パートナーシップ制度と婚姻届との隔たり」

深井恵2024.08.23

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全国各地でパートナーシップ制度の導入が進んでいる。
本来なら国が制度設計をしてしかるべきところだが、現政権下では同性婚の制度確立は一向に進まず、当事者が業を煮やしてパートナーシップ制度のある自治体に届け出をしているのが現状だ。しかし、パートナーシップ制度と婚姻届には大きな隔たりがあるようだ。詳しく調べてみた。
 
まず、受付について。周知の通り、婚姻届は24時間365日、いつでも受理される。ところがパートナーシップ制度ではそうはいかない。まずは事前に予約して、その後宣誓するという二段構えが必要となる。窓口の予約受付は月曜日から金曜日の午前9時から午後5時(土・日・祝日を除く)、いわゆる「お役所時間」限定が多い。一部web申込や郵送でも受け付けているようだが、電話で予約しようとすると平日の日中となる。
 
いずれにしても、窓口に連絡をして宣誓したい日を予約しなければならない。
その予約も、電話してすぐに宣誓日の予約ができるところもあれば、自治体によっては宣誓したい日の一週間以上前でなければ予約を受け付けないところもある。電話口で個人情報を必要以上に求められることもあるようだ。
 
しかも、予約方法はweb限定の自治体さえある。スマートフォンやPCのない人は、ネットカフェにでも行かなければ予約できない。
また、「○月○日が記念日だからその日に宣誓したい」と思って、申請者名とパートナーの個人情報等をweb入力しても、予約した日が宣誓したい日の1週間以上前でなければ、画面上でその希望日を選択することができない。
日にちにこだわれば、一年後の予約となるのだ(その日が来年平日だとは限らない)。加えて、宣誓したい日に役所側のパートナーシップ制度担当者がいなければ、宣誓できない。平日の9時から5時でなおかつ担当者がいるとき限定。「24時間365日」との隔たりは大きい。
 

また、必要書類も婚姻届とは異なる。パートナーシップ制度の場合、住民票(宣誓日以前3ヶ月以内に発行されたもの)または、宣誓したい自治体へ転入予定であることを証明する書類(転出前の自治体で発行された転出証明書)と、独身であることを証明できる書類(独身証明書や戸籍抄本)、そして本人確認書類(運転免許証、個人番号カード、パスポートなどの官公署発行の顔写真付きの免許証等)が必要だ。

婚姻届の場合は、住民票や戸籍抄本は必要とされない。なぜパートナーシップ制度の場合に住民票と戸籍抄本が必要なのか。
パートナーシップ制度の担当者に尋ねたところ、「婚姻届とは担当課が違うから」とのことだった。婚姻届の担当課は市民課や戸籍課であり、住民票や戸籍抄本に掲載されている個人情報を担当課として持っているから、すぐに調べられる。ところが、パートナーシップ制度は人権・部落差別解消の担当課や男女共同参画課などが担当している自治体が多く、その場ですぐには個人情報を調べられないからとのこと。
 
つまり、パートナーシップを宣誓しようとすると、住民票や戸籍抄本を取るためにお金がかかることになる。
婚姻届にそのお金は必要ない。婚姻届の担当と同じ市民課や戸籍課でパートナーシップ制度を担当してほしいものだ(いや、そもそも同性婚が認められれば何の問題もないのだが)。
 
予約して、書類を揃えて、宣誓しに行って手続きを終えた後、後日改めて「パートナーシップ宣誓証」を受領することになる。
その受け取りも、窓口なら月曜日から金曜日までの午前9時から午後5時(土・日・祝日除く)。または郵送(有料)。直接受け取りたい場合、平日働いている人は、宣誓する日と受け取りの日に仕事を休まなければならないということだ。これもまた、婚姻届とは大きな違いだ。
 
更に、婚姻届は日本全国どこでも通用するが、パートナーシップ制度の場合は宣誓した自治体でしか効力はない。
つまり、引っ越したら引っ越した自治体で、新たに宣誓しなおさなければならないのだ。また事前に予約して、住民票等の書類を一式揃え、一からやり直し。引っ越した自治体にパートナーシップ制度があるとは限らないという懸念もある。
 
一つの自治体で取得した「パートナーシップ制度宣誓証」を見せたら、他の自治体でも効力を発揮できるようにならないのか。
自治体同士の連携で解決できそうなものだが、やはり根本的に解決するには、国レベルでの法整備が不可欠だ。いまのところ、パートナーシップ制度には法的効力はない。相続等の権利は保障されず、一部の行政サービスが利用可能になる程度だ。
 
パリ五輪が終わり、ニュースが自民党総裁選挙にジャックされがちな様相を呈している。総裁を変えて支持率アップを図ろうとしているようだが、来るべき解散総選挙では、統一教会との関係や裏金問題のことを忘れずに、かつ、パートナーシップ制度も争点の一つとして一票を投じたい。

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