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10月末、担当医、包括支援センター所長、社会福祉士と、今後の対応について4者で協議したが、結論から言うと、母の退院は先送りとなった。「母の意思を尊重して、自宅で一人暮らしの再開を。母自身が一人暮らしの限界を感じたら施設へ」と主張したが、受け入れてもらえなかった。
8月に介護認定をしてもらった結果は、「要支援1」だった。この程度の認定レベルでは、大した介護福祉支援は受けられない。「要支援1」しか出なかった結果に、医師も所長も驚いていた。もっと重い認定がされると予想していたらしい。
だが、協議の場では、医師も所長も「もう一人暮らしは限界でしょう。関係者全員がウィンウィンの結果にはなりませんよ」「安全・安心を考えると、せめてグループホームへの入所が一番でしょう」ということで、介護認定をもう一度し直してもらうことになった。
「要支援2」でも出れば御の字、ということで退院は先送り。再認定の結果待ちの状態で、グループホーム入りをめざして、入院継続。かくして私の病院通いは続いている(いまはやりの「ワンオペ」状態で、週に5日くらいのペースで)。
オマケに実家の畑の維持管理もついてくるが、さずがに秋も深まり日が短くなってきたので、仕事が終わって実家にたどりつく頃には薄暗くなっており、平日はあまり長時間の農作業はできない。トマトの収穫も懐中電灯の明かりを頼りにする始末。
まぁ、農作業が長時間できない分、負担が軽減された(?)ということにして、無理ない範囲で対応している。私自身が過労で倒れたら、母も共倒れになりかねないので、適度に息抜きしつつ生活していくことを意識している。この状態が長期に続いていきそうだし、目の前の生活にばかり目を奪われていては、大局を見失い、視野の狭い教員になっていく。
実際、母が入院してからというもの、勤務時間後の私的な時間をかなり奪われているため、読書の時間や新聞を読む時間がかなり減っている。「女性をめぐる情勢」にも疎くなっているのではないかとの懸念が、自分自身にある。気をつけねば。
そんな、最近の上司絵に疎くなっている私だが、「世界経済フォーラム」の報告書の結果は、否が応でも目に入った。ジェンダー・ギャップで、日本は世界144か国中114位と、またしても順位を下げてしまったのだ(昨年は111位)。大きく足を引っ張っているのは政治の分野。先月の衆議院議員選挙でも、当選した女性議員はわずか47人(10.1%)。立候補者の段階では17.7%だったらしいが、当選したのは1割にとどまり、前回より2名増えたようだが、まだまだ衆議院の女性議員の割合は低い。
選挙区で女性の国会議員を一人も選出したことがない県も8県あるという(青森、富山、山口、香川、高知、佐賀、大分、鹿児島)。九州に住む有権者の一人としても残念な事態だ。県議会議員にも女性がほとんどいないのが情けない。市町村議員も推して知るべし。
11月2日の朝日新聞の記事に、慶応大学の小林良彰さん(政治学)が調べた、世界125か国の様子が掲載されていた。小林さんによると、女性議員比率が高い国ほど、民主主義の度合いやGDPに占める教育費の割合が高く、軍事費の割合が低い傾向が見られ、女性銀比率の上位15か国のうち、14か国は選挙が比例代表制だという。日本も、参議院議員にも50人女性議員がいて、女性議員の割合は20.7%だ。
18歳選挙権が導入されてまだ1,2年しか経ってないし、選挙に興味関心を持たせるためにも、小論文試験の対策の一環としても役に立つので、先日、衆院選の結果を題材に、生徒に投げかけた。
「投票率はどうか、選挙結果は民意を反映しているか」
本校に4月に赴任した際、廊下の掲示板に昨年度の参議院選挙の投票率についての新聞記事が貼られており、「本校生の投票率は75%!」と書き込まれていた。高校生の投票率はかなり高い。だが、新聞記事には「10代の投票率約40%」という見出しが躍っていた。
私:去年のみんなの先輩の投票率は75%だったようですが、今回の選挙の投票率は全国平均で約54%だったようです。どう思う? 生徒A:投票率が54%ということは、残りの46%くらいの人は投票していないということになる。 生徒B:そうすると、何万人も何百万人も投票していないことになるのでは・・・? 生徒C:え~、そんなの無責任だ~!
生徒たちが住んでいる地元の選挙区は、全国平均よりも高い投票率だったが、それでも6割強。生徒たちは、大人がもっと責任をもって投票するべきだという認識に至った。
私:ちなみに、私は選挙権を手に入れて何年も経ちますが、私の「my投票率」は何%だと思う? 当ててみて。 生徒D:70%! 生徒E:80%! 私:いやいや・・。 生徒F:わかった! 100%!! 私:当たり。my投票率はいまのところ100%です。
私:投票日当日用事があって投票できないときは・・・? 生徒G:期日前投票! 私:その通り。当日用事があって投票に行けないときは、期日前投票をしました。今回も、台風の影響を考えて期日前投票をした人がかなりの数に上ったようです。
私:では、引っ越しして住民票のあった選挙区の投票ができなかったときは・・・? 生徒H:えっ、それでも投票できるの? 私:投票できます。もし、高校卒業して進学して親元を離れた場合、この方法を使えば、投票できます。さて、どんな投票でしょう? 生徒I:わかった。それが、不在者投票だ!
私:当たり。不在者投票です。海外に住んでいても投票できます。高校卒業後は、不在者投票も利用して、ぜひ選挙権を手に入れた来年以降、「my投票率100%」をめざしてみよう。 生徒たち:やってみる!
さて、次は「選挙結果は民意を反映しているのか」だ。
政党別の得票率をもとにした場合に議席数がどうなるかを計算させてみた。計算後、実際に獲得した議席数と照らし合わせてみる。詳細は省略するが、33%の支持率で過半数の議席を占めたことと、得票率第2位だった政党が実際に獲得した議席数があまりに少なかったことに、生徒たちは衝撃を受けていた。投票率も低いし、選挙結果は民意を反映しているとは言えないのではないかと考え始めていた。
私:なぜこんなことになるのだろう。 生徒たち:え~、なぜ? 難しい。わからない。 私:では、県内を細かくわ分けたいまの選挙区と、県内を分けずに一つの選挙区にして細かく分けた時の選挙区数と同じ数の人が選ばれる選挙にした場合と、結果が同じだと思う? 違うと思う?
生徒J:違う気がする。 生徒K:選挙区が小さいと、全ての選挙区で常に第2位の支持政党は議席を一つも得られないけど、選挙区が大きくなって一つの選挙区から複数選ばれると、2番目の支持政党も議席を得られるかも。 私:いまの衆議院の選挙制度は、小選挙区比例代表並立制です。この制度になって20年経つそうです。ということは、20年前は別の選挙制度だったということ。選挙のルールも変わることがあるということも知っておいてください。そして、選挙権だけでなく、被選挙権もあるので、将来、議員になるために立候補する人が、この中から出てくるかもしれません。日本の男女格差をなくしていくためにも、ぜひ。