「少子化対策待ったなし」とまたお決まりの文句が踊っている。自治体が予算をつけて出会いの場を設けたり、マッチングアプリを導入したりと、何かにつけ少子化対策に結びつけようとする動きが出ているが、こちらからすると、どうもとんちんかんな政策にしか見えない。ヤングケアラーの実態調査も、その片棒を担がされようとしている。
いまでは全国各地方自治体で当たり前に行われており、支援を必要とする子どもたちを把握し、その子どもたちを支えている。
ところが、その「ヤングケアラー実態調査」が、名称変えて「こどもの生活実態調査」となった(一部の自治体だと思われるが)。
なぜ名称変更したのか、アンケート内容に何か違いがあるのか、気になって内容を見てみた。
「あなたのことについて」と「家庭や家族のことについて」。この「あなたのことについて」の質問の後半に、「将来、結婚したいと思いますか」「将来、こどもは何人欲しいと思いますか」という問いがあった。
少子化対策のためのアンケートなのか。目的からかけ離れたアンケート項目になってないか。
このアンケートは、「一人一台タブレット」を用いて、ホームルームや放課後等の時間を活用して、学校で入力回答するのが原則となっている(「必要に応じて自宅」での回答も可能ではあるが)。
この手のアンケート手法は、回答させる側にとって集計が手っ取り早くて簡単だから、ここのところ増えている。しかし、答える側としては、いつ・どこで・誰が回答したのか、調べれば特定されるだろうし、通信料を回答する側が持たなくてはならないと言う理不尽さもある。
「結婚したい?」「子どもは何人欲しい?」。職場でこんな質問をされたら、即アウト。
それは完全にセクシュアル・ハラスメントだ。そんな納得のいかない問いに回答させるわけにはいかない。
学校で生徒にアンケートに答えてもらう立場上、質問項目には説明責任が伴う。
せめて、どんな趣旨なのか確認して、無理して回答しなくて良いということを引き出して言質を取っておき、次回以降はこんな質問をしないよう、要望する必要がある。
「記入にあたってのお願い」には「質問の中であてはまらないものや意味がわからないもの、答えられないものがあれば、飛ばして次の質問に進んでも構いません」とある。
だが、「答えたくない質問には答えなくて構いません」とは一言も書いてなかった。
すると「ヤングケアラーと結婚への考え方やこどもは何人欲しいかなどの相関関係があるのかどうか、今回の調査結果を今後の政策に役立てたい」とのこと。
答えたくない質問には答えなくて良いのか、改めて確認すると、「答えなくてよい」と言質が取れた。そのアンケート項目は、次回の調査に向けて削除等の検討してほしい旨伝えて電話を切った。
谷川俊太郎の「声の力」の一節「…母親は生まれた瞬間から赤ん坊をあやす。その声は意味を伝えようとする言葉ではなく、愛情を伴ったスキンシップとしての言葉だ。…」の文章とともに。
そんな写真と文にどれほどの少子化対策の効果が期待できるのか。
男性が赤ん坊をあやしている写真にしたほうが、よっぽど少子化対策になろうというものを。
女子会に来ていた友人のうち、元気のない友人は全員が既婚者で、「未婚」の友人はみんな元気で楽しそうだったらしい。
既婚者は、夫との関係がもとでメンタル病んでいたり、義母との関係に悩んでいたり、自身が病を患っていたりして、皆老け込んでいたそうだ。
自分の親の介護を妻に押し付けるケースも「既婚者あるある」だ。加えて、日本では教育にお金が非常にかかる。
それは、家事も育児もしてこなかった年配男性たちが政治家の大半だからだ。
少子化対策待ったなしというのなら、家事・育児をする男に育てる、教育に予算をつける、その2つを実行するに限る。