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スクールフェミ「勘違いな少子化対策を止めて、家事・育児をする男に育てて、教育に予算をつけるべし」

深井恵2024.06.14

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合計特殊出生率が公表され、「東京は0.99」と「1」を下回った。
「少子化対策待ったなし」とまたお決まりの文句が踊っている。自治体が予算をつけて出会いの場を設けたり、マッチングアプリを導入したりと、何かにつけ少子化対策に結びつけようとする動きが出ているが、こちらからすると、どうもとんちんかんな政策にしか見えない。ヤングケアラーの実態調査も、その片棒を担がされようとしている。
 
埼玉県が数年ほど前に全国に先駆けて実施した「ヤングケアラー実態調査」。
いまでは全国各地方自治体で当たり前に行われており、支援を必要とする子どもたちを把握し、その子どもたちを支えている。
ところが、その「ヤングケアラー実態調査」が、名称変えて「こどもの生活実態調査」となった(一部の自治体だと思われるが)。
なぜ名称変更したのか、アンケート内容に何か違いがあるのか、気になって内容を見てみた。
 
アンケート項目は、大きく2つに分かれている。
「あなたのことについて」と「家庭や家族のことについて」。この「あなたのことについて」の質問の後半に、「将来、結婚したいと思いますか」「将来、こどもは何人欲しいと思いますか」という問いがあった。
ちょっと待った。もともとヤングケアラーのアンケートだよね。
少子化対策のためのアンケートなのか。目的からかけ離れたアンケート項目になってないか。
このアンケートは、「一人一台タブレット」を用いて、ホームルームや放課後等の時間を活用して、学校で入力回答するのが原則となっている(「必要に応じて自宅」での回答も可能ではあるが)。
 
県からの貸与である「一人一台タブレット」から回答するということは、誰がどんな回答したか、調べようと思えば個人の特定が可能だ。
この手のアンケート手法は、回答させる側にとって集計が手っ取り早くて簡単だから、ここのところ増えている。しかし、答える側としては、いつ・どこで・誰が回答したのか、調べれば特定されるだろうし、通信料を回答する側が持たなくてはならないと言う理不尽さもある。
 
「将来、結婚したいと思いますか」「将来、こどもは何人欲しいと思いますか」という問いは、生徒が答えるべきアンケート項目なのか。もし、同様の問いを自分自身が投げかけられたらどうだろう。
「結婚したい?」「子どもは何人欲しい?」。職場でこんな質問をされたら、即アウト。
それは完全にセクシュアル・ハラスメントだ。そんな納得のいかない問いに回答させるわけにはいかない。
学校で生徒にアンケートに答えてもらう立場上、質問項目には説明責任が伴う。
せめて、どんな趣旨なのか確認して、無理して回答しなくて良いということを引き出して言質を取っておき、次回以降はこんな質問をしないよう、要望する必要がある。
 
アンケート調査の「説明例文」には、「…個人名の記入箇所はありません。誰が回答したか分からないようになっていますので、安心して現在の状況を正直に回答してください…」とある。
「記入にあたってのお願い」には「質問の中であてはまらないものや意味がわからないもの、答えられないものがあれば、飛ばして次の質問に進んでも構いません」とある。
だが、「答えたくない質問には答えなくて構いません」とは一言も書いてなかった。
 
アンケート調査の依頼をしてきた担当課に、問い合わせの電話をかけた。
すると「ヤングケアラーと結婚への考え方やこどもは何人欲しいかなどの相関関係があるのかどうか、今回の調査結果を今後の政策に役立てたい」とのこと。
答えたくない質問には答えなくて良いのか、改めて確認すると、「答えなくてよい」と言質が取れた。そのアンケート項目は、次回の調査に向けて削除等の検討してほしい旨伝えて電話を切った。
 
何でもかんでも少子化対策。いま使っている国語の教科書を開けば、赤ん坊を抱く女性の写真が大きく掲載されている。
谷川俊太郎の「声の力」の一節「…母親は生まれた瞬間から赤ん坊をあやす。その声は意味を伝えようとする言葉ではなく、愛情を伴ったスキンシップとしての言葉だ。…」の文章とともに。
そんな写真と文にどれほどの少子化対策の効果が期待できるのか。
男性が赤ん坊をあやしている写真にしたほうが、よっぽど少子化対策になろうというものを。
 
先日、筆者の友達が、高校時代の友人たちと久々に女子会をしたと話してくれた。
女子会に来ていた友人のうち、元気のない友人は全員が既婚者で、「未婚」の友人はみんな元気で楽しそうだったらしい。
既婚者は、夫との関係がもとでメンタル病んでいたり、義母との関係に悩んでいたり、自身が病を患っていたりして、皆老け込んでいたそうだ。
 
そう、少子化が止まらないのは、いまの日本の結婚生活が、多くの女性にとって「リスク」以外の何も物でもないからだ。家事・育児をしない夫は、自分のことさえもしない傾向にある。「夫は要らないが、子どもは欲しい」と、筆者の友人もかつて語っていた。
自分の親の介護を妻に押し付けるケースも「既婚者あるある」だ。加えて、日本では教育にお金が非常にかかる。
 
「家事をしろよ、育児しろよ、せめて自分のことは自分でしろよ」。そんな女性たちの声を受け止める政策が全くなされていない。
それは、家事も育児もしてこなかった年配男性たちが政治家の大半だからだ。
少子化対策待ったなしというのなら、家事・育児をする男に育てる、教育に予算をつける、その2つを実行するに限る。

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