ラブピースクラブはフェミニストが運営する日本初のラブグッズストアです。Since 1996

banner_2212biird

台湾って実は生理用品最先端の国。そんな台湾で生理を仕事にした女性たちの物語が本になります!

北原みのり2024.05.17

Loading...

台湾の大地震。被害の大きさに胸を痛めながらニュースを追っていましたが、その後の台湾政府のあまりに迅速な動き、避難生活の日本のそれとはあまりにも違う「尊厳のある生活」をみながら、「あー、やっぱりそうだよね」と深く肯くような気持ちになりました。COVID19の対応で既にわかっていたことではあるけれど、台湾社会は日本社会よりもずっとずっと先を歩いている。人々の生活と命を尊厳を迅速に守る、その一点で。
被災された方々の避難生活をみながら(プライバシーが守られた個室や、マッサージルーム、さらにケータイ会社からのサポート、あたたかい食事、十分なトイレ・・・)私が感じたのは、不謹慎と思いながらも「(こんな避難生活が)羨ましい」、という感情でした。

数年前から台湾の女性たちと仕事をしています。
台湾は、いわゆる「ジェンダーギャップ比較」の国際順位にこそ登場していませんが、実はアジアで最も男女平等が進んでいると言われています。特に「フェムテック」という分野では、明かにアジア圏でダントツに先をいっている。月経カップや月経ディスクをアジアで最初につくったのは台湾。アジア初の吸水ショーツをつくり、日本にブームを巻き起こしたのも、台湾の女性たちです。日本のように大企業が独占的に生理用品をつくっていないという背景もありますが、台湾の生理革命を起こしているのは30代、40代の女性たち。小さな会社で独立の資本で頑張っている女性たちです。

3月20日の週に私は台湾を旅したのですが、台湾がこの10年で大きく変わったのを実感します。台湾#MeTooの力、台湾フェミニズムの力が、女性たちの発言権を拡大し、そして生理を完全に「ふつうのこと」にしたのだと思います。
例えば「生理博物館」。これは若者たちが市民からの寄付や行政からの支援でつくった生理を学ぶ場所です。女性の身体を知り、生理がある故に女性たちが虐げられてきた歴史を残し、未来の希望を描く場です。古い市場の一角に敢えて創られた博物館には昔から市場に通い続けている高齢の女性たちも集まりやすく、世代を超えた女性たちが話し合える場になっているのもシスターフッドで美しいのです。



なにより私が感動したのは、これ!!! 博物館をつくるときに女性たちが一人ひとり自分のヴァギナを壁に描いたのですって。(あ、私もこれ、自分のお店でやろう! と言ったら『え、日本でやったら逮捕されるんでしょ』と笑われたのだけど・・・そうでしたね、ジャパン)



また、台湾で初めて自分たちの手でタンポンをつくり、アジア初の月経カップをつくり、アジア初の月経ディスクを開発してきた台湾生理革命の母と呼ばれているヴァネッサがつくった性教育の施設も視察しました。


子供たち(小学校にあがる前の子供から)が、卵子・精子・腟・子宮・卵巣についての知識、生殖に関する知識を偏見なく学べる場としてつくられた施設です。生殖器に見立てた遊具を移動しながら、生理のことを学んでいる姿は衝撃でした。
正直、ペニスにみたてた滑り台に子供たちが乗り、「精子になって、腟に向かいましょう」という合図で子供たちが腟に見立てた壁に登っていく姿を見たときは、私の想定を超えた世界でびっくりしたのですが・・・日本にいると性的な妄想を膨らませ子供を危険にさらす大人がいるのではないかと不安になる警戒します・・・、「精子になって腟に入っていった子供たち」が、今度は受精して、トンネルにみたてた腟から「産まれる」を演じる姿を見て、「こういうこと」を子供たちが身体ごと覚えていくことの意義・意味を追いかけてみたいという思いになるのです。


※これは腟のすべり台。下には卵子のボールプールがあります。



いやーほんと、すごいんですよ。台湾! 進み方の方向と速度が日本に暮らす私には想定をずっと越えているのです。そうそうもう1つ・・・台湾のドラッグストアで買った使い捨てナプキンです。・・・こんなナプキンのパッケージ・・・見たことありますか?!?!?!? 



さて。私たちの想定をずっと越えて先を行っている、自由で楽しく革新的で確信的な、そんな台湾の女性たちがの取り組みをまとめた「生理を仕事にする。」という本を、ラブピが運営する出版社「アジュマブックス」で発売します。作者は台湾生理の母と呼ばれるヴァネッサ



そしてアジア初の吸水ショーツをつくり、日本と台湾で10万枚発売し、日本の吸水ショーツブームをまきおこしたムーンパンツの創業者のユアンイーとフィオナです。



台湾のフェムテック業界を牽引する重要な3人が「生理を仕事にする。」とはどういうことか。男性主体のビジネス界、生理用品をつくるのは男、広告を考えるのも男、買うのだけ女、、、という世界で、どのようにビジネス界を変え、そして人々の意識を変え、社会を変えていったのか・・・。その物語はきっと、日本に暮らす私たちにも大きなヒントを与えてくれるものになったと思います。

女性のためになるような仕事をしたい

そんな女性たちに読んでいただきたい本になりました。

そして・・・この本を出版するにあたって皆さまの応援をぜひいただきたく、クラファンをスタートしました。できるだけ価格を下げて中学生や高校生に読んでいただきたいという思いです。同じ時代を生きている台湾の女性たちがどんな未来をみているのか、どんな風に現実を変えてきたのか。そんなことを話すことで、私たちの社会を変える1つのきっかけにしたいのです。

どうぞ応援をよろしくお願いいたします!
クラファンのページはコチラです!
https://camp-fire.jp/projects/view/738864

また今回の本の出版を記念してイベントを行います。台湾在住のノンフィクションライターで、貴重な発信をしてくださっている近藤弥生子さんと北原みのりのトークイベント(5月28日19時〜)、吸水ショーツを開発したフィオナを招いたリアルイベント(6月15日14時〜)。詳細は随時SNSや本サイトでお知らせいたします。

Loading...
北原みのり

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めてフェミニストが経営する女性向けのプレジャートイショップ「ラブピースクラブ」を始める。2021年シスターフッド出版社アジュマブックス設立。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)・佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

RANKING人気コラム

  • OLIVE
  • LOVE PIECE CLUB WOMENʼS SEX TOY STORE
  • femistation
  • bababoshi

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOPへ