国籍を変えオーストラリア人になってから一年。
私は妻と日韓に訪問することにしました。
私はツイッターで韓国の女性たちに様々な移民の情報を与え、20代という年齢と健康な体さえあれば誰でも留学から移民ができると励まし、脱朝(脱韓国)させる活動をしていました。そしてこの度ファンミーティングという名の、脱朝を目標とする女性たちが集まるイベントを企画し、韓国で開催しました。イベントの当日、そこには200人越えの女性たちが集まってきたのです。
朝の10時から夜の10時までの12時間という、長いといえば長い、でもたかが一日という短いといえば短い時間でしたが、その日した経験は色んな意味で忘れられない特別な記憶として私の心に残っています。そこで最も印象に残った女性は、私を見てすぐに号泣してしまった方でした。
“私の周りには誰一人私に「大丈夫だよ、貴方にも出来るよ」って言ってくれる人がいませんでした。だから涙が止まらなくて、ごめんなさい。”
その女性の言葉を聞きながら私も過去の自分のことを思い出し、ついもらい泣きしそうになりました。韓国の女性たちは大体基本2か国語が喋れて、超競争社会のため世界の平均から見ると大体成績も優秀。なのに常に大変でも我慢して自分を犠牲にすること、辛くても笑顔で過ごすこと、社会経験が浅くても一人で二人分以上の仕事をやり遂げることなど、男には求められないとんでもない程の高い基準が求められ、いつもあなたは使えない駄目な人間だと、そのままじゃ貴方の人生は上手くいくはずがないとガスライティングされます。大金を稼いだり1位が取れなかったりすると失敗した人生だと貶されます。そんな韓国が嫌いで脱朝してから17年が経つ今も社会は全く変わってないんだなぁと思うと、韓国を出てよかったなという気持ちと、何故多くの自殺者を出しながらも学ばないのか、というやるせない気持ちが共存します。
イベントに参加した女性の中には、うつ病でつい最近まで数年間引きこもりの生活をしていたという人も少なくありませんでした。常に自分が悪いから社会に適応できてないんだと思っていたけど、ビョルさんが発信してくれる日常やオーストラリアの話を聞いて、「自分が間違っていた訳ではないんだと気づいた」、「環境を変えればすべてが解決する、他の国への移民という選択肢もあることを知ってハッと目が覚めた」、「希望ができて最近は関心もなかった英語の勉強も頑張っているし、毎日ウキウキしながら生きることができている」との声も多かったです。
私がしたことは大したことではありません。ただ、「女性は間違っちゃいない。女性が性犯罪やDVに日常茶飯事のようにあわずに生活できる=人間として尊重される国もある。女性は何でもできる。貧乏な女性にも自力で海外移住という夢が叶えられる」という事実をSNSに顔と名前を出し広め続けてきただけです。ただそれだけなのに多くの女性たちは生きる理由ができるほど人生が変わったと言ってくれるのです。実際私のSNSを見てオーストラリアでワーキングホリデーを始めうつ病が治ったという女性も既に何人も会ってきました。それを思うと韓国という国がどれほど女性に毒々しいのかが分かりますね。
しかし女性への有毒な文化は韓国だけでの話ではありません。日々増えている女性スペースや「痴漢・盗撮は犯罪です」のポスターも結局は女性の人権が上がっているからではなく、むしろそういう犯罪が増えているからこそ起きていること。実際、性犯罪が日常的ではないオーストラリアでは公共交通機関や駅にそういうポスターを貼ることもありませんし、よってそこまで人々に訴える必要もありません。そもそも「性犯罪は犯罪だ」という当たり前のことを何故いちいち教えなければならないのか。「男は元々そういう存在」と言いたいのならば、何故そういった基礎的なこともちゃんと理解出来ない低い知能を持った男たちが社会の立派な地位を全て占めているのか。何故そういう虐待者のせいで女性たちばっかりが苦しまなければならないのかなどなど、数多くの「なぜ」が続きました。我らはいつまで男たちを甘やかさなければならないのでしょうか。
もちろんオーストラリアも完璧な国ではありません。悲しいことに、世界のどの国も女性の人権が男性の人権と全く平等な国は存在しないので当たり前なことです。しかしその国が女性の人権へどれくらい真剣に取り組んでいるかは統計によって証明されます。例えばオーストラリアでは去年、労働党が男女平等に力を入れることを約束し、実際に一年で性平等の順位(※)が43位から26位と多く上昇しました。その反面、韓国や日本は各6段階と9段階落ちた105位と125位に留まりました。
以前よりフェミニズムという女性の人権のための動きが知られているのに不思議だと思いませんか? その理由を私は、今現在権力を持っている男性たちがどれだけ女性の人権を社会的な問題として受け入れてくれているかによって左右されていると考えています。男が変わらなければ社会は何も変わりませんし、男を甘やかすばかりのアジアの社会では女性が人間らしく生きていくことはできません。だから私は少しでも多くの女性たちがより多くの世界を経験し、男たちが自分たちに都合よく作り上げた社会の洗脳から逃げ出してほしいんです。どんどん世界に出て、やっと手に入れた「本当の自由」というモノをアジアの男は母国でも当たり前のように味わっていたんだ、という悔しさを味わってみてほしいです。男性が楽に生きていることに気付いた瞬間、女性はより強い怒りを覚えるはずです。そしてその怒りが原動力となり、他の女性を救う力になっていくでしょう。そういう女性たちが増えていくことでいつか日本も韓国も良い方向に変わり、これから生まれていく女性たちにはより明るい未来があってほしいと、そう願う今日一日です。
※ジェンダーギャップ指数 (参照)
韓国で行われたファンミーティングの様子。まさにシスターフッドです。