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「レイプヤローは地獄に落ちろ!」
『総理』『暗闘』などの著者で、元TBS記者の官邸御用ジャーナリスト‥‥簡単に言うと「安倍晋三の犬」として有名な山口敬之から、2015年4月にレイプされたという女性、詩織さんが5月29日、検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立て、司法記者クラブで、性犯罪の被害者としては異例中の異例の「顔出し」記者会見を開いた。
詩織さんは、あえてシャツのボタンを開け、しゃんと背筋を伸ばし、世間が求めるような弱々しい被害者を演じないぞと意思表明。その勇気に共感が広がっている。
このレイプ事件の、国ぐるみでのもみ消しについて批判した記事はたくさんあるので、ここではレイプする者の心理とセカンドレイプについて触れたい。

レイプ魔は被害者を辱めようとする
山口から詩織さんへ宛てたメールの一部を引用する。
≪あなたはあの夜私の部屋に入ると、部屋の二カ所に嘔吐した後、トイレに駆け込みました。私は私のスーツケースの中やパソコンに吐きかけられたゲロを袋に片付けて濡れタオルで拭いて、トイレにあなたを見に行くと、あなたは自分がトイレの床に吐いたゲロの上で寝込んでいました。私はあなたをゲロから剥がして、ゲロまみれのあなたのブラウスとスラックスを脱がせ、あなたを部屋に移してベッドに寝かしました。そしてトイレに戻って吐き散らかされたゲロをシャワーで洗い流して、最もゲロが多く付着していたブラウスを、明朝着るものがないと困るだろうと思って水ですすいでハンガーに干しました。そして部屋に戻るとあなたはすでにいびきをかいて寝ていました。私はあなたの髪の毛などについた嘔吐臭が耐えられなかったので別のベッドで寝ました。≫
詩織さんに対し、「ゲロ」という言葉を何度も何度も繰り返し、「いびきをかいて寝ていた」と辱めることで、「事件を公にはさせない」という魂胆があったとしか思えないメールだ。
レイプ魔というものは被害者に「レイプされたことは恥ずかしいこと」と思わせ、口を封じるのではないか。
大体、「嘔吐臭が耐えきれない」のに、一方では「あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった。」と言ってるのもめちゃくちゃな話だ。素で言ってるならだいぶアタマがおかしいだろ。
目が覚めたらレイプされていたことに混乱し、
「とにかく服を返してください」
と求めた詩織さんに、
「下着だけでもお土産で持って帰ってもいいかな。いつもは強気なのに困った時は子どもみたいでかわいいね」
と山口は答えたという。「強気な女性」をレイプしてこんなセリフを吐くとは、「生意気な女をねじ伏せたかった」という気持ちがタレ流しではないか。
AVのタイトルによくある「生意気な女子高生におしおき!」とおんなじ心理だ。
「いつもは強気なのに」という表現から、詩織さんがハキハキものを言う教養のある女性で、山口には会話で「勝つ」ことが出来なかったのではないかと想像する。恐らくそういったフラストレーションがレイプ魔をレイプに向かわせるのだ。
そんなやり方で人のプライドを踏みにじれると思ったら大間違いだ。現に詩織さんの輝きは失われておらず、多くの人を励ましている。
わたしへのクソリプにも「このババアをレイプしたい」というものがけっこうあるのだが、「嫌悪する人間をセックスでねじ伏せたい」という感情は男性特有のものではないか。
例外はあるにせよ、嫌悪する相手とセックスをしたがる女性はかなり少ない。レイプ魔にとって、セックスは愛情表現ではなく「おしおき」でしかない。その感覚の違いこそが女性にとっては脅威なのだ。
ホテルに向かうタクシーの中で、朦朧とした詩織さんが「近くの駅で降ろしてください」と何度も言っていたと運転手が証言している。それに、山口が詩織さんを引きずるようにホテルに連れ込んでいる映像も残っている。無理やりなのは明白だ。にも関わらず山口は、
「スーツケースにゲロを吐かれた」
「パソコンにゲロを吐かれた」
「掃除してやった」
「世話してやった」
などと、やたら恩着せがましく、なぜか被害者意識にまみれているのもまったく不可解だし、
「あなたが不安なのはわかりましたから、こちらで出来る事は喜んでします。しかし、問題に対処するには、一方的な被害者意識を改めてもらいたい。」
と、此の期に及んで主導権を握ろうとする。
告発の恐れをまったく感じていなかったんだろう。

日本の薬局ではアフターピルは買えない
避妊せずにレイプしたことで詩織さんに責められた山口は、
「ごめん。君のことが本当に好きになってしまって。早くワシントンに連れていきたい……。これから7時にチェックアウトをして空港に向かうので、シャワーを浴びたら一緒に薬局でピルを買いましょう。」
と言った。しかし当然のことながら、日本の薬局でアフターピル(緊急避妊薬)は買えない。
山口はどうやって入手するつもりだったのか。山口がかつて駐在していたアメリカでは避妊しないでセックスして、いつも女性にアフターピルを飲ませているってことなのか?などと疑念が生じる。
仮にアフターピルが薬局で買えたとしても、それを渡して責任を取ったことにはならない。体への負担がとても大きいアフターピルを、気軽に薦めるのが解決策と思ってんじゃねえよ。自分で書いてて怒りで震えてきた。
アフターピルはセックスしてから72時間以内に飲まなくてはならない。早く飲めればそれだけ妊娠の確率が下がる。なので、必要な人がすぐに買えるようにしよう! と、訴えている人がたくさんいる。
山口のような中出し大好き男の悪用が、アフターピル市販化の最大の敵なのだ。
後日、再び詩織さんに、避妊しなかったことを責められた山口は、
「精子の活動が著しく低調だという病気です」
とほざいたそうだが、そんなこと聞いてねえ!ほんとうに好きになった女性にそんなヒドいことするものなのか? 仮にほんとうに好きだったとして、許可なく中出ししていいワケがない。言動のすべてが女をナメきっている。

男はルッキズムの洗礼を受けない
性犯罪が表沙汰になる度に、被害者女性は年齢やルックスを揶揄される。
例えば、昨年6月、俳優の高畑裕太にレイプされた女性には、
「ババアがセックスしてもらえてよかったな!」
なんてとんでもなくヒドい言葉が大量向けられていたわけで、今回の加害者である山口は、それ以上に年齢やルックスを揶揄されるのでは? と思いきや、
「テメーみたいなブサイクでハゲたジジイが、あんな美女と合意のあるセックスができるわけないだろ!ボケてんじゃねえのか!」
と言われているのはほとんど見ない。性犯罪が起こるたびにセカンドレイプしまくってるクソヤローどもの思考回路ならば、これくらいは言いそうなものだ。どう考えてもおかしくないか?
詩織さんは年齢やルックスを揶揄されていることは少ないが、
「ハニートラップだ!」
「工作員だ!」
「枕営業だ!」
「下心があったはずだ」
などの、また違うタイプの攻撃をされている。どんな被害者でも攻撃されるのだ。
ネットには、ここではとても書き表せない詩織さんへの罵詈雑言が溢れている。
加害者であっても、男性に対しては年齢やルックスを持ち出されることがほとんどない。なぜなんだ。その「非対称性」にも、ものすごく怒っている。こんな状況を当たり前にしてはいけない。

女をナメんな!
詩織さんは、セカンドレイプの嵐や、仕事や家族への影響などの、様々なリスクを背負って記者会見をした。
「なぜ今告発したのか?」の問いに 詩織さんは、「国会で強姦罪の法改正が話し合われているタイミングで、法律や制度を変えるためのきっかけになれば」と答えている。
リスクを背負った行動には、他人の背中を押し、世の中全体を動かすというポジティブな働きがある。
ツイッター上では
#FIGHTTOGETHERWITHSHIORI
というハッシュタグが拡散され、たくさんの人が詩織さんと一緒にたたかう意思を示した。
わたし個人が呼びかけた国会前のスタンディングには150人以上が集まった。
詩織さんの勇気に感動したなら、その感動をガンガン行動して可視化すべき。
今こそフォーメーション!
女ども!配置について詩織さんの援護射撃だ‼︎

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阿部悠

阿部悠(あべ・ゆう)

兵庫県出身。ローティーンの頃からクラブに入り浸り過ぎて中卒。関西を拠点にクラブDJとして活躍。3.11後の原発事故にショックを受けて反原発活動をはじめ、社会運動に目覚める。最近は「女叩き」カルチャーに怒りを燃やして、ネット上に溢れるミソジニスト達と本名顔出しで日々格闘。ビヨンセを崇拝している。 

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