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韓国は今、「全国歌コンテスト(전국노래자랑)」の司会者交代の件で炎上しています。それは番組を仕切っていた女性の司会者が何の前触れもなく降ろされ、男の司会者に交代されたからです。

全国歌コンテストと言う番組は1980年から続いた長寿番組で、私も子供の時はおばあちゃんとよく見ていました。オープニングの少し古臭い独特なテーマ曲は未だに誰もが口ずさむことが出来るくらい有名な国民的番組です。

その番組のタイトルを聞いて思い出すのはソン・へというおじいちゃんで、病気で亡くなるまで34年間も番組の司会を担当したベテランの司会者でした。95歳で他界した彼は、最高齢の音楽番組の司会としてギネスにも載ったらしいです。34年も全国を周りながら番組を引っ張ってきた彼ですから、彼のことを知らない人は誰もいません。子供のころから見ていたとすれば、その子供たちも今は30代や40代となり、思い出が沢山詰まった番組だったのです。そのため彼が年を取るにつれて、彼が亡くなったらこの番組も自然となくなるのではないかという話も出ていたようです。

2022年6月、彼は高齢とコロナで気力が弱り自宅で亡くなりました。ソン・へ氏が長年勤めていながら出演料を交渉しなかった結果、全国各地を周りながら撮影するハードなスケジュールにも関わらず一回当たり30万円という芸能人としては安いギャラと、国民的番組であり最高視聴率が10%(※大体の他の音楽番組は1%以下)にも至っていたことも原因となり、次の司会者は中々決まりそうにありませんでした。国民的司会者の穴を埋めることになるわけですから、絶対落ちるに決まっている視聴率。大勢の人に叩かれ責任を問われるに違いありません。そのプレッシャーに30万円というギャラはとても見合わなかったのでしょう。

2022年9月のことです。キム・シンヨンという女性芸能人が次の司会者として選ばれます。その番組初の単独での女性司会者でした。彼女はその番組に出演すること自体が名誉であるからと、普段貰うギャラの3分の1にも満たない30万円という条件を飲み込んだといいます。そして臨時の司会者が番組を回していた5か月間の視聴率6~8%に比べ、彼女が司会者となった放送は初日で9.2%を達成。次も8%の視聴率と、良い成績を出しました。2023年に視聴率は6%に減少しましたが、ネットの普及により番組の視聴率はそもそも減少しつつあったことや、ソン・へ氏が司会を務めていた頃も末期には7%くらいに下がっていた事実を考慮すると、番組はようやく安定期に入ったとも言えたでしょう。彼女の司会も以前よりかなり落ち着き、視聴率も少しずつ上がっていました。

しかし2024年の3月4日、キム・シンヨン氏はKBS(放送局)より一方的な解雇を通告されます。制作側との相談も一切なかったようで、他のスタッフも全員が上からの支持を受けてやむを得ず彼女に解雇を伝達したと言いました。そしてその司会の後任は彼女の先輩であり「最近は全然売れてもいなかった」男性芸能人ナム・ヒソック氏が務めるということでした。一言も理由を説明せず、事前の話し合いもないまま司会者を解雇するのはあまり前例のないことで、さすがに世論もざわつきました。特に解雇を告げた直後にすぐ次の司会者を発表したことから、彼女が降ろされたのは女性だからなのではないかと女性たちから大きく抗議の声が上がりました。するとKBSの関係者は「キム・シンヨンは若い女性で番組の雰囲気に合わないため解雇するしかなかった」とオフィシャルな意見を発表しました。彼女が番組のイメージに合わないからこそ視聴率が低く、視聴者からの不満も多かったため交代せざるを得なかったと説明したのです。

しかし彼女の年は40代。40代の女性がいつから韓国で若い女性として扱われていたのか。どれだけ綺麗な女優さんでも30代になった途端に「やっぱり年はごまかせない」とか言いながら外見を貶していた韓国ではないか。

またKBSが例にあげた「視聴者からの多い不満」も全体の意見の1割もなく、その1割も同じ人4~5人が何度も何度も書いた投稿が全てだったといいます。要するに彼女に否があるわけではなく、番組のちゃんとした土台ができるまで利用され、必要がなくなったから捨てられただけなのです。

多くの女性たちは「リスクが大きい時には女性を盾にし全ての危険を背負わせておいて、安定期に入った途端に女性の業績を奪い男性にあげているだけではないか」と反発しています。まるで男のために作られたチェスボードの上の駒のようですね。

女性は社会生活が出来るとしてもガラスの天井があるかのように中々上には行けない。多くの経営者が、能力のある娘より少し無能でも息子や婿に会社を譲るのが普通です。そこまではよく聞く話ですね。しかし今回のようにリスキーなことに女性を先立たせ、業績を積み上げた瞬間一方的にそれを奪い男性に与えてしまうこと。そして必要でなくなった女性は崖から落としてしまうこと。それはガラスの天井ですらなく、まさにガラスの崖と呼べる現象なのではないでしょうか。

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JayooByul

JayooByul(じゃゆびょる)

JayooByul (ジャヨビョル)日本のお嫁さんとオーストラリアで仲良くコアラ暮らしをしています。堂々なるDV・性犯罪生存者。気づいたらフェミニストと呼ばれていました。毒娘で幸せです。

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