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「そろそろ大人になりやがれ」
『変態大国ジャパン』という記事でも、一部の論客による「表現の自由」に関しての歪みについて触れたのだが、きちんと掘り下げる必要を感じた。
まず、「表現の自由」とはなんでも言っていいという権利ではない。脅迫や殺人予告など、刑法に触れる表現がダメなのは当然だし、「人権侵害を伴う表現」もダメだ。
2016年にヘイトスピーチ解消法が成立した。「●●人は日本から出て行け」という表現が守られたら、●●人は国籍を隠し身を潜めなければならなくなる。
この「●●人は日本から出て行け」は、「人権侵害を伴う表現」ということだ。
つまり、ヘイトスピーチが違法になることによって、守られる人権があるということ。
そして、ネットで公開された発言は公の場でなされたものとして扱われる。
「こんな危ない考えは友だちにや同僚にはとても言えないからSNSに投稿しよう」
という考えの人が少なくないのだが、友だちにさえ言えないような考えを世界じゅうに発信したら、そりゃあ反論が来ることは免れない。その反論もまた、表現の自由なのである。

ヴォルテールクソヤローは反論がキライ
昔、ヴォルテールというフランスの有名なオッサンが、
「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
と言ったとされている。しかし、どうもそんな事実はないらしい。
まあそれはいいんだが、「表現の自由戦士」は、いつも何らかの人権侵害に怒っている人を黙らせるために、「わたしもこの醜悪な表現は嫌いだが守られるべきだ」というニュアンスでこのセリフを使う。
なぜか「表現の自由戦士」は表現に対して怒ることだけを許さない。
そして、「あなたの気に食わない表現だからと言って否定してはならない」と、嫌いだから怒っていることにしてしまう。
ぶっちゃけわたしはエロコンテンツが嫌いではない。けれども性暴力を肯定するような表現に触れたくない人々への配慮は必要だ。
そして、エロコンテンツを簡単に見られる便利さよりも、偶発的に性暴力に遭遇してはならない人への配慮の方が優先されて然るべきだ。
例えば、過去にレイプされたことによって、そういった表現を目にするとフラッシュバックが起きてしまう人はたくさんいる。
社会に悪影響がありそうだったり、人権侵害の可能性がある表現について、怒ったり反論することを許さないのであれば、議論してさまざまな立場の人の人権と表現の折り合いをつけていくという作業ができない。
表現への反対意見だけを許さないでいると、「暴言吐いたもん勝ち」になって、世の中が荒廃していきそうだと懸念しているし、実際にそうなりつつある。

弾圧ダー! とすぐに言いすぎ
性暴力や小児性愛を全肯定しているマンガに「キモい」と言ったり、ロリペドがネタ的に幼児の性器を舐めたとツイートしているのを通報したりしたことはあるのだが、「表現の自由戦士」にとっては、「ポルノの根絶を訴えている」ように見えるようだ。
"「スピード出しすぎだ」と言ったら「車に乗るなってことか?」みたいな飛躍をする表現規制反対派をよく見る"と言ってる人がいたが、まさにその通りで、
「すでにある18禁という概念ぐらい、ちょっとは気にしろよ、子どもも見る場所なんだから」
程度の主張に、
「表現弾圧ダー!」
「ペドフィリア差別ダー!」
などと荒れ狂うのはいささかクレイジーすぎないか。
そういうことは、せめて町中のエロ本を焼き払う人が現れてから言ってほしい。
「性嫌悪ダー!」
という反応もよくあるのだが、性暴力を肯定した表現の氾濫によって性嫌悪になる女性はかなりいると思うが、逆に「中出しレイプ」「生本番」などのエロ広告のおかげでセックスを汚いものとは思わなくなった、なんて話は聞いたことがない。エロの氾濫と少子化を結びつけるなんてもってのほかだ。
法的に問題がない限りは死んでも自浄努力はしないという姿勢を貫いている表現規制反対派はもう少し大人になるべきだ。そういうスタンスの人ばかりが目立っているぞ。
ずっと表現規制には慎重であるべきと思っていたのだが、こんなにモラルが低下し、性暴力を肯定する表現への怒りすら許容できないのであれば、規制は免れないのではないか。
議論の活発さによって社会に悪影響を及ぼす表現が淘汰されていくのが理想だ。けれども、昨今の「民度」ではそれは望めそうもないなと、消極的に表現規制賛成に少しだけ傾いている。また考えは変わるかも知れない。

アリかナシかの線引きは難しい
反社会的な表現がアリかナシかの線引きをするのは非常に難しい。
しかし、線引きができなくとも、ダメなものを判断することはできる。例えば、子どもとセックスしたり、女性をレイプすることは違法だし、それを肯定する表現に怒るのはごくごく普通のことだ。パンチラを盗撮してネットに拡散なんて、明らかな犯罪だし、きちんと怒って通報して淘汰していかなければならない。
「表現の自由戦士」は、
「このイラストがダメならこれもダメってことですか?」
などと、ルネッサンスのヌード画や、卑猥なヒンドゥー寺院の写真を見せてきたりするのだが、答えに窮してもかまうことはない。
そんな判断ができなくとも、性犯罪を全肯定した表現に怒ることはできる。ダメなものだけを判断できれば十分だ。
「あなたにダメなものを判断する権利があるんですか?」
と、問われることがあるが、ダメなものを判断して、そう発言することに権利もクソもない。それこそが「表現の自由」だ。
「多様性を重んじる」と、ヘイトスピーチまでもを認めようとする「表現の自由戦士」なのに、
「このマンガはダメだろ」
程度の発言に目くじらを立ててるが、表現への反対意見も表現の自由であることをいつになったら理解するんだ。
自分がめちゃくちゃな人権侵害を受けた時に、「表現の自由は大事」と笑えるわけはないんだから、いい加減ヘリクツばっかりタレ流すのはやめましょうよ。大人なんだから

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阿部悠

阿部悠(あべ・ゆう)

兵庫県出身。ローティーンの頃からクラブに入り浸り過ぎて中卒。関西を拠点にクラブDJとして活躍。3.11後の原発事故にショックを受けて反原発活動をはじめ、社会運動に目覚める。最近は「女叩き」カルチャーに怒りを燃やして、ネット上に溢れるミソジニスト達と本名顔出しで日々格闘。ビヨンセを崇拝している。 

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