皆さんは「安全離別」という言葉をご存じですか? 韓国では2016年頃からこの言葉が流行りました。安全離別、即ち相手と安全に別れるという意味ですが、それには一日何件も起きている「恋人からの暴力」が背景にあります。
韓国では恋人が加害者である凶悪犯罪が年に700件以上起きていますが、通報されてない事件や、恋人でない人からの痴情犯罪、恋人の知り合いや家族を対象とした犯罪は統計に加算されてないため実際の数は700件をはるかに上回っているのではないかと推定されています。そしてその加害者側はもちろんほとんどが男性です。
記事やニュースには「왜 안 만나줘(なぜ付き合ってくれないのか?)」という言葉が一つの慣用的な表現として並び、そのタイトルが付くと、また女が男と付き合うことを拒絶し殺されたんだなとすぐ分かるようになりました。
実際に色んな言語で「安全に別れる方法」をグーグル検索にかけてみると、デート暴力から逃れるアドバイスや方法が沢山出てくる韓国の検索結果に比べ、日本や英語圏は「綺麗に別れる方法」や「ベストな別れ方」などしかヒットしません。そして韓国でシェアされている「安全に別れる方法」とは、最初からはっきりと断る、デートの時におしゃれをせずに汚い姿を見せる、彼より執着する姿を見せてうんざりさせる、お金や高額のものを要求する、などあまり役に立たないものばっかりです。何故なら男性に殺される女性の殆どは「韓国で女性として生まれたから」殺されるのです。
韓国の犯罪心理学者イ・スジョン氏によると、韓国は凶悪犯罪で男性と女性がほぼ同じく殺害される数少ない国の中の一つだそうです。どの国も凶悪犯罪を起こす8割以上は男性であるため、その結果被害者になる性別も自然と男性の場合が多く、殺害される人の7割が男性なのが普通であるが、韓国では何故か女性と男性の殺害率があまり変わらない。むしろ女性が多く殺害される場合もある。海外のように銃器があったり麻薬が広まっていたりもしない、普通に考えたら安全なはずの国なのにこのように女性が多く死んでいく理由に関して多くの海外の研究者たちからも疑問を持たれているようです。しかし男が「そういうつもりじゃなかった」と証言してしまうと殺人の罪には問われない韓国の法律上、実際男性によって殺害された女性の数は統計に反映された数をはるかに上回ると予想されています。
まず韓国のこの統計をご覧ください。
では何故韓国にはこんな鬼のような男が多く生まれてしまったのか。そうなってしまったのには色んな理由が考えられますが、やはり男に限って甘すぎる社会が一番の問題だと思います。韓国では、仕事もまともに出来ず、お金もなく、心身ともに魅力のない男がいるとしても男女問わず周りの人々がその男を「結婚させる」ために力を合わせます。例えばある会社に結婚も恋愛も望まない女性が一人いるとしましょう。すると周りの人々は、自分の身内だけではなく知り合いや知り合いの知り合いの男まで話題に出してその女性に紹介しようと積極的に関わってきます。無論そういう男たちは大体40代で売れ残り。相手の女性がまだ20代前半だったら「それでも人は良いから」と、30代に近かったら「あなたも早く結婚しないと売れ残ってしまう」と女性の価値を値切ろうとします。2024年になった今でも韓国では男性には必ず女性を一人ずつ補給しなければならないという「正常な人生公式」が通用しているんです。問題は、それが女性には何の得にもならないということでしょう。
韓国は上に述べた「正常さ」への執着が強く、血縁への執念が酷いです。そのため家庭内暴力で警察を呼ぶことも戸惑う人が多いですし、もし警察が来たとしても警察たちの役目は「被害者保護」ではなく「家庭保護」が目的です。そのため殺人でも起きない限り、DV加害者に下される刑罰は大体更生のための数十時間の相談や教育が全てです。そのため復讐を恐れ通報しない女性も多いでしょう。
中には「子供には父親が必要だから」と離婚をしない女性も多く見られます。暴力的で子供に悪影響しか与えない父親をなぜ必要と判断しているのかその理屈がよくわからないのですが、きっと洗脳のように教わった「正常な家庭」へのイメージが彼女らをそう導いているのではないでしょうか。他の国より4倍も高いという親族殺害率の統計の結果も驚きではありませんね。ここでももちろん殺害する側の殆どは男性、される側の殆どは女性です。
ただし、女性が加害者になった場合の多くは旦那の長年の暴力に耐えきれず殺してしまったケース。しかし女性が男性を殺した場合は「計画的な殺人」として、より重い刑が下されます。男性の場合、女性を殺しても「暴力は振るったけど殺すつもりはなかった」と言う主張が通り殺人の罪として問われない場合もあるのですが、女性の場合は「計画しないと自分より強い男性を殺すことは出来ないだろう」と言う理由です。例えそれが暴力から逃れるための唯一の手段だったとしても、それは決して正当防衛として認められません。女性が長年の虐待により理性的な判断が出来ないくらい精神的に追い詰められていたとしてもです。
未だにネットでは「安全離別」をする方法として様々な方法がシェアされています。中には自ら警察になる、彼氏の前でずっとおならやゲップをする、新しい彼氏が弁護士だと告げるなど、ふざけたようなアイディアも多く書かれてくるようになってきましたが、韓国に住んでいる女性からしたらそれは決して笑える冗談ではありません。必死に生き残るための手段なのです。
「安全離別」という言葉が流行るほど命を懸けないと恋すら出来ない社会、私たちが見逃しているものは一体何でしょうか。