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必要なのは筋力と女友だち。そして毎日のフェムケアですね。フェムケアイベント第二弾@アトレ恵比寿「FEMTECH LAB」のご案内

北原みのり2024.02.13

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 今年91歳になる大叔母(祖母の妹です)は、先日、友人の命を救ったという。
    同世代の女友だちの家に約束の時間に訪ねていっても出てこない。嫌な予感しかなく、管理人に事態を伝えて部屋の中に入ると、なんとベッドと壁の間のわずかな隙間に落ちてしまい、身動きが取れない状態で2日間過ごしていたのだという。朦朧とした意識で救出されたというが、あと数時間でも発見が遅かったらどうなっていたことだろう。

 しかし、そこからが”人間らしい?” (疑問付きで)話になるのだが・・・死の淵から回復した友人は大叔母に会う度に、こう言うのだそうである。
  「あの時、死んでもよかったわ」
   大叔母は気分が良くない。せっかく命が助かったのに(助けたのに)なんてことを言うのか。というか、命を助けた私にそういうことは言わないでほしい。というか、あの時心配をかけた友人・知人一同に、この人はちゃんと菓子折の一つでも持っていったのか?  少なくとも私のところにはないわよね・・・そして悶々悶々とその友人との関係について考えてしまうのだという。

 その話を聞いた私も考えてしまう。
 家の中にいるだけで死のリスクが高まる高齢者の一人暮らしの現実とか、「死んでもよかったわ」とつい漏らしてしまう90代の女友だちに怒る大叔母の気持ちとか、生死に関わる大事件が起きたのだけれど詰まるところは菓子折の有無問題とか・・・。そしてやっぱり色々想像する。もし私が大叔母のように90代まで生きていられたら、どういう生活が待っているのだろうかとか。

 私は今年54歳になる。90代になるには40年弱あるが、10代からの40年間とこれからの40年間はまるで違う景色を生きることになるだろう。大叔母の話が私に教えてくれたのは、人間である以上、どんなに長生きしても達観することなどはほぼなくて、いつまでも菓子折問題で心くよくよするものである・・・ということと、やはり女友だちは絶対に必要であるということと、できる限り筋力はつけておくにこしたことはない、ということだ。もちろん不慮の事故や震災や病気などで思いがけないことが起きて筋力どころでない未来があるにしても、である。一人暮らしの高齢女性がベッドと壁の間に挟まって身動き取れなくなったときに助かる道は、自らの筋力か女友だちなのだから。

 という私は、最近はかなり筋力を意識する生活をしている。
 昨年末にスキーに行った時のことを書いた(コレです)。転倒した友人が自力で起き上がれず雪上でばたつくなかブッ!と放屁し、それに大笑いした私が尿漏れしちゃった話だ。あの時から私はかなり真面目に鍛え続けているのである。ラブパール (コレよ)を毎日入れ、elvie(コレよ)で腟圧を計測し、さらにデリケートゾーンケアコスメYES(コレね)で毎日ちゃんと洗い、風呂上がりには腟をオイルで保湿した。そんな自らの体験をもってはっきり言えるのはフェムケアとは日々の積みかさねである、ということだ。
 私は今、尿漏れしなくなった(高らかに宣言します!)。「念のため」のトイレも行かなくなった。健康な膀胱は尿意を感じてから2時間は耐えられることを実感するようになった(若い頃は当たり前だったこの感覚、忘れてた)。また、筋力とは関係ないけれど免疫が下がると簡単にかかっていた膀胱炎(大腸菌が原因になるなど、きちんと洗えていないことで癖になっている人も多い)にならなくなったのは、日々のケアのおかげだろう。
 
  老化のスピードは人それぞれ。更年期の症状も人それぞれ。頻尿でも、尿漏れしてても別に病気というわけではない。それでも、骨盤底筋肉鍛えて、毎日外性器や腟をケアしてたら、けっこう生活の質ってあがるものなのだ。「諦めるのがふつう」「がまんするのが日常」そんな風に考えていた過去がばかばかしくなるほどに。考えてみれば、ラブピースクラブをはじめて28年、ずっと変わらいなぁと思うのは「これくらいがまんするもの」と考えていて不快な日常に慣れきってしまっている女性たちの下の日常だ。
 だからこそ、私たちの尊厳に直結する「下」の切実さについて、もっと話していけたらいいのにと思う。

 というわけで、お知らせです。フェムケアに特化した女性のためのワークショップ第二弾を行います。第一回目のお知らせにも書きましたが、「たかが尿漏れよね。でも、これって生きることよね」です。大げさに言えば「排泄こそが人生だ!」です。

 前回とてもご好評をいただいたこともあり、今回はさらに話を深め、フェムケアの具体的な方法と腟の健康の話をします。
 先日、イギリスでは婦人科で処方されている潤滑剤・腟保湿剤の会社「YES」の創設者にインタビューをしました。その様子を動画で観ていただきながら、腟の保湿のしかたとか、外性器の洗い方とか、腟の中を洗っている人が増えているけれど止めた法がいい理由とか、骨盤底筋群の効率的で簡単な鍛え方とか・・・フェムケアに関する基礎的で、そして役立つお話をしたいと思います。

 ぜひぜひご参加下さい。授乳中で腟がすごく乾いている方、性交痛で悩んでいる方、尿漏れの不安がある方、腟の被れや痒みに苦しんでいる方など、フェムケアにまつわるトラブルを抱えている方のご参加から、「いつから更年期かわからないけど、そろそろ準備したい・・・」という方、「更年期はすでに終わっているが今なにができるか」と探していらっしゃる方・・・腟の健康は全ての世代の女性の話だと思います。ぜひいらしてください。

お申し込みはコチラから
https://femtechlab-event05.peatix.com/

フェムケア相談会 第二弾 ー腟の潤活はじめましょうー

【日時】2月16日  渋谷区恵比寿南1丁目5−5 アトレ恵比寿本館 6階 
【概要】
フェムケア相談会、第二弾のテーマは「腟の乾き」です。
更年期世代の女性の8割が腟の乾きを経験します。また腟の乾きは更年期世代だけに起こるものではありません。
ストレスや不規則な生活、がん治療など様々な要因が、年齢を問わず乾きを引き起こします。腟が乾くと痛みを感じたり、においが気になるようになったり、おりものが増えたり…普段感じている不快感は、腟の乾きが関係しているかもしれません。
イベントでは腟が乾く原因や、今日からできる腟を潤すセルフケアをご紹介します。
更年期世代の方、これから更年期を迎える方、治療中の方、乾きの原因を知り腟に優しい「潤活」しましょう!
【参加費】無料(YES デリケートゾーンケアローションのサンプルのお土産つき)


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北原みのり

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めてフェミニストが経営する女性向けのプレジャートイショップ「ラブピースクラブ」を始める。2021年シスターフッド出版社アジュマブックス設立。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)・佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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