2024年が始まりました。今年もよろしくお願いします。
さて突然ですが、「幸せなら手をたたこう」という歌が、どのように誕生したか、ご存じでしょうか。筆者は『漫画 幸せなら手をたたこう 誕生物語』(西岡由香:作 木村利人:監修 いのちのことば社)を、先日読んで初めて知りました。
詳細は、ぜひ『漫画 幸せなら手をたたこう 誕生物語』を読んでいただきたいのですが、少しだけ本の内容をお知らせします。
少年時代を軍国少年として過ごした主人公の木村利人さん。戦後、「新しい憲法のはなし」を学び、大学時代にフィリピンでのボランティア活動を通して、日本軍の戦争加害を知ります。戦争加害の現地の方への申し訳なさを「心に思っているだけではだめで、態度で示さなければ」と、一層ボランティア活動に力を入れて取り組まれました。
その懸命な姿によってフィリピンの方々に受け入れられた経験と、現地の子どもたちが歌っていたメロディーに、「さあ皆さん、喜んで手をたたきましょう。大声を上げて手を褒めたたえましょう」(聖書の詩篇47篇)からインスピレーションを得て歌詞をつけたのが、「幸せなら手をたたこう」だったのです。平和への誓いが込められた歌のドラマチックな展開は、『漫画 幸せなら手をたたこう 誕生物語』をお読みください。
思っているだけではだめで、態度で示さなければ…と言えば、被災地支援や紛争地域の被害者支援もその一つ。支援団体を通した募金や物資の提供、受け入れ体制が整った後のボランティア活動など、小さな事でも態度で示すことが大事。
そして政治の裏金問題も、愚痴や怒りを口にしているだけで終わらせない。これから予想される補選・解散総選挙など、投票権を棄権することなく、私服を肥やすような政治家を当選させないためにも、自分の1票を投じる。これも態度で示すことでしょう。
パブリックコメントに意見表明するのもまた、態度で示すことの一つ。昨年から今年にかけて、「困難な問題を抱える女性への支援計画」のパブリックコメントの募集が各都道府県で進んでいます(既に終了した自治体もあるようですが…)。パブリックコメントが募集されている都道府県にお住まいの方は、ぜひご意見をお寄せいただきたいと思います。
「困難な問題を抱える女性の支援計画」は、旧売春防止法の影響を残すような「女性を取り締まり更生させる」姿勢での法律や計画・運用をやめて、困っている女性の意に沿った支援を行い、自立を促す内容に変えていかなければなりません。「東横キッズ」を「取り締まる」のではなく、困っている女性たちを支える計画を、自治体には要求したいと思います。
自治体の計画によっては、その計画内容に課題があるものもあるようです。計画が「婦人相談所」の運営施策にとどまっていたり、当事者の意見反映がされにくい内容に終わったりしているものも。支援を必要としている女性を早期に発見すればするにはどうすれば良いのか、その方策を盛り込むのも一つの方法でしょう。
また、困難を抱える前に、相談窓口等の情報をすべての子どもたちに提供して、周知徹底を図るのも重要となります。「困ったときにはここに相談すれば良い」と、子どもの頃から当たり前の知識として知っておれば、いざという時に「あ、こんな時はあそこに相談すればいいんだった」と、すぐさま相談行動に移せるでしょう。駅や公園、百貨店などの商業施設のトイレの個室に、相談窓口の情報を掲示しておくのもいいかもしれません。
また、子どもたちへの予防教育も計画に盛り込んでほしい項目です。DV加害者や性暴力加害者を生み出さないための予防教育。そして、教職員への予防研修も必要不可欠。そもそもDV加害者や性暴力加害者がいなければ、女性たちのかなりの困難を防ぐことができるのですから。
「悪が栄えるために必要なのは、善人が何もしないことである」(エドマンド・バーク 英国の哲学者) 。悪を栄えさせないためにも、思いを態度で示す年にしたいものです。