女性への性的暴行事件、集団強姦事件が後を絶ちません。最近では東大、慶応大、千葉大事件が・・・またか、ではすまされない、とんでもないことが繰り返されている。痴漢、セクハラ、盗撮、ストーカーも含めて、事案はこのところ増加する一方だといいます。
性犯罪は、人の尊厳を根こそぎ奪い取る、残酷で卑劣な犯罪です。明らかになっている事件が氷山の一角であることは、皆さんご存じのことですね。
今年は性暴力被害を受けた方の面接がいつになく多い年でした。
いつか、自分の話を聴いてくれる誰かを探し求めていた人たち。子ども期であった場合は特に、その痛みと苦しみの長さ、深さ、年輪を思わずにいられません。
よく諦めずに生きてきましたね、よく持ちこたえて頑張ってきましたね。一人で踏ん張ってここまで来られたのはすごいことだと思います・・・そんな私の言葉は、軽くて風に飛んでいきそうです。
それでも、こうして出会ったのもご縁。「ここで、私と一緒に自分を取り戻していきませんか? 覚悟がいると思いますが、あなたのペースでいいんですよ」真正面から向き合うしかない。「私の人生を返して!」とか細い声で泣き続けても、誰も何もしてくれなかったじゃない?このままでいいの? あなたの人生じゃない。あなた自身で取り戻すしかないんだよね。でも一人じゃできなかったね。一緒にならどう? 記憶に向き合わないといけないし、しんどくなることもあるはず。忘れてしまいたい屈辱的な暴力も、受け入れたくなくても、その事実を変えることもできないの。だからこそ、過去のことにしていけるかがカギ。その覚悟がいるの、あなた自身を統合していくために、あなた自身のために、自分を生きていけるために。あなたには自分が自分らしく生きる権利があるのですから。
まだ道半ばの方もみえますが、その人なりの回復へのプロセスをゆっくりと共有しながら歩んでいます。それは私自身が学び鍛えられている時間でもあります。
最近、何冊かの本を読み返しています。本棚に眠ったままでいたものもあります。古くて驚かれるかもしれません。どれも出版年度は古いですが、中身は何も古くありません。
『生きる勇気と癒す力~性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック』
(エレン・バス、ローラ・デイビス)三一書房 2007
『癒しのエンパワメント~性虐待からの回復ガイド』(森田ゆり)築地書館 2002
『甦える魂~性暴力の後遺症を生きぬいて』(穂積 純)高文研 1994
なぜ生きるのがつらいのか、人にとって子供時代とは
『解き放たれる魂~性虐待の後遺症を生きぬいて』(穂積 純)高文研 1999
子供時代の呪縛からの解放
性暴力のことをずっと考えているうちに、私自身の中に呼び戻されたものもあります。そうだった・・・自分が何回も被害にあっていたことを改めて自覚しなおした意味は大きい。
『甦える魂』(穂積 純)は、心にズンズン響く言葉が網羅されていました。
「終わりに」から、勝手に一部抜粋、紹介させていただきます。
今、犠牲者として言いたいのは、せめてこの問題があることを、否認しないでほしいということだ。
せめて、子どもに、自分の体、性、心を守る権利があることを教えて欲しいということだ。
せめて傷ついた子どもの回復を保障する場を、作ってやってほしいということだ。
(中略)
万が一にも不当に傷つけられたら、語っていい、救いを求めていい、それは権利だと教えて欲しい。そして、その訴えをむなしくさせないで欲しい。それを聞いた大人は、その子を信じて欲しい。傷ついた子どもの絶対的味方であって欲しい。不当に傷つけられても、絶対的味方がいれば傷の回復は始まる。それを保障してくれる社会であって欲しい。
子どもへの虐待、性暴力が存在しているのを、社会は認めてほしい。そんなことはありえないと思い込んでいると、見ても見えず、聞いても聞こえない。
・・・・・・・どうか私たちの苦しみを無駄にしないで・・・・・