安倍派の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑が政権を揺るがす事態にまでなっている。個人差はあるが、過去5年間だけでも、5000万円超から数万円のキックバックを受け取ったと報道されている。安倍派以外にも飛び火しそうな勢いだ。
そもそも国会議員の収入の内訳を見てみると、国会議員の給与(歳費)は、月130万円弱。ボーナスにあたる「期末手当」が年2回支払われ、1回分が300万円超。単純計算しても、給与+ボーナスで国会議員の年収は2000万円を超える。
これに加えて、再三問題となる「文書通信交通滞在費」が月100万円。さらに「立法事務費」が月65万円。これらを合わせると、年収は4000万円程度になる。さらにJR特殊乗車券、国内定期航空券等が交付され、交通費は基本的にかからないことになっている。
そして政党助成金、さらには裏金…。これら全て合わせると、年間一体いくらになるのだろうか。
一般国民は、生活にきゅうきゅうとしている。平均年収は500万円程度と言われているようだが、平均はあくまでも平均。もっと少ない年収で生活している人は多い。
多少の賃上げがあっても物価の上昇がその上を行き、非正規労働者が4割を占める今日、賃上げにはつながらない家庭も少なくない。1日2食で済ませたり、フードバンクに頼ったり、1円でも安いものを求めて「お買い得」商品を買わざるを得ない。
筆者も先日、「全商品10%オフ」の日に、近所のスーパーに買い物に行った。疲れが溜まっていた週末だったので、お昼ごろに起きて、のんびりご飯を食べてから買い物に行ったのだが、時すでに遅し。卵や納豆などの「最安値」の商品は、軒並み売り切れていた。
一昔前なら消費者が払わなくて済んだものにも、お金がかかるようになった。例えば、クレジットカードや光熱費などの利用明細書。ペーパーレス化を進めるためという名目で、紙の明細書を受け取るには1通あたり110円支払うことになった。年に何千円かの新たな負担だ。
先日、ケーキを買った時にも新たな負担をするところだった。ケーキを4つ買って会計をしていたときのことだ。
店員「プラスチックのスプーンは有料ですが、ご入用ですか?」
筆者「…要りません」
店員「お持ち帰りの箱に、取っ手はついていませんが、紙袋はご入用ですか? 有料ですが」
筆者「…要りません」
エコバックは持っていたが、持っていたエコバックではケーキの箱を縦にしなければ入りきらない大きさだった。片手で持てないような箱にケーキを入れておきながら、紙袋にお金を取るわけ? と内心腹立たしい気持ちになった。SDGsに名を借りた、阿漕な商売なのでは。財布等の入ったバッグを腕に通して、ケーキの箱を両手で持って店を出た。
基本的な生活姿勢として、エコバックは持ち歩き、SDGsを意識して生活してはいるものの、そこまで消費者に別料金で支払わせるのかと暗たんたる思いがした。筆者は車でケーキ店に行っていたので、すぐに車にケーキを積めばいいだけだったが、歩いてきた客や高齢者だったら、余計な出費をせざるを得なかったのではないか。弱者に追い打ちをかける対応だと思った。手土産にケーキを持って行く場合は、お金を払って紙袋を買うことになるのだろう。
いまでは百貨店でさえ、エコバックなしに買い物ができにくい。先日、生活用品を複数購入した時も、袋は別料金だった。幸いエコバックを持っていたので袋は購入せずに済んだが、エコバックを忘れていたら、余分な出費をするところだった。
うっかりエコバックを忘れてデパートの本屋に行った時、やはり袋は別料金だった。本を1冊買うだけなら袋はいらないが、複数の本を買い、そのあと別の本屋にも行こうと思っていたので、やむを得ず袋を買った。デパートの立体駐車場に止めていた自分の車に本を置きに一旦駐車場に戻るのがためらわれたためだ。
本屋の袋は透明の袋ではないので、ゴミ出し用には使えない。そんな袋をお金を出して買わざるを得ない状況。無駄遣いした気分になった。
電気代やガス代、ガソリン代も高騰している。電気料金の請求書を見ると、「再エネ賦課金」や「賠償負担金相当額」「廃炉円滑化負担金相当額」など、基本料金や電力料金以外に、複数の負担金が含まれるようになっている。原発なんて最初から反対しているのに、勝手に負担金を払わされている。
こうした「チリも積もれば山となる」出費が重なり、可処分所得が目減りしているのが現状だろう。収入が少ない人ほど、その負担割合は増える。
今後さらに、少子化対策の1兆円規模の財源として、医療保険に毎月500円程度上乗せする案が出された。介護保険料も制度を変えて、2割・3割負担者を増やそうとしている。防衛費増税は法人税・所得税・たばこ税を合わせて1兆円程度確保する予定だそうだ。防衛費増税は裏金疑惑の影響で先送りにしようとしているが、いずれほとぼりが冷めた頃に必ずやってくる。
戦争をしていない時でさえ防衛費を増税して憚らないなら、もしも戦争が始まったとしたら、とんでもない防衛費増税になるだろう。先の戦争で、金属拠出や食物の配給等で、国民が貧しい生活を強いられたことを忘れてはならない。
少子化対策の増税も防衛費の増税も、年収4000万円(+政党助成金、裏金)の国会議員には痛くも痒くもない出費かもしれないが、ギリギリの生活をしている国民にとっては死活問題だ。私腹を肥やすために議員になってるような輩には、裏金拠出後、即刻退場してもらい、国民のために働いてくれる人を国会に送り直すしかない。