女性からの色んな相談に乗っていると、親との関係に悩まされる方が大勢いることが分かります。それはいつまで経っても解決出来そうにない悩みで、私たちを苦しませます。だから今日は皆さんに、そして自分自身にしてあげたい話を聞かせてあげたいと思います。
アジアは未だに異常な家父長制で回っていて、加害者中心の社会になってしまったり、親孝行が強制されたりし、DVの被害に遭った大勢の児童や青少年たちが一生の罪悪感を抱きながら生きています。家族に大けがにならない程度に暴行を振るう父も、それを傍観する母も―家族と言う輪から離れれば、ただの加害者であり被害者なのに、「家族」というグループに入ってしまうと常に子供たちが大人の顔色を見たり、空気を読んだりしながら自分を責め、罪悪感と共に生きて行くのが現状です。
そして暴力がありふれた社会に住んでいる人々は、身体的な暴力を除いた虐待 (精神的・言語的・性的)にはかなり鈍くなっていて、何かおかしいなぁと思いながらも、自分が過剰反応しているだけだとその非を自分に向けてしまいがちです。
でも私は皆さんにこう言ってあげたいです。子供だとしても親を嫌っても大丈夫だと。家族だとしても、血縁だとしても、その相手が私を苦しめつけるような人なのであれば、憎んでも良いですよ。例え相手が後悔するふりをしながら泣いたりしても、許さなくても大丈夫です。DVに遭ったことのある方はそれを何回も繰り返しているはずなので、既に分かっているはずです。最初は弱い姿を見せてきてこれからはは関係が良い方向に変わっていくのではないかと期待しても、虐待者が反省するのは本当その一瞬だけだと言う事をです。
大抵の虐待者は変わらない。だからそこで生まれる罪悪感は加害者ではなく「被害者の私」が背負って生きるべく荷になってしまうのです。虐待者はちゃんとした反省をしないので、落ち着いてるかのように見えてもまた何かが気に入らないとすぐあなたのせいにして自尊感情を傷つけ、貴方の心を不幸にさせることを何度も何度も繰り返すはずです。
親不孝?それが何か?人に親不孝だと口出す前に虐待する親がいたのではないかもう一度考えてみて欲しいです。許すか許さないかの選択権は被害者にあるものです。それでも親だから、それでも家族だからと口を挟む前に、自分は親だからと許せる程度の「マシな親」を持っている事に感謝してほしいです。被害者はこれからもずっと傷つけられ続け、親という存在がトラウマとなり振り回されているのに、そんな被害者たちに容赦を強制する社会はとても間違っています。
私は、性犯罪だけに2次加害があるとは思いません。DVにも被害者のせいにする2次加害が数えきれないほど存在します。人の人生を直接生きたこともないのに何故「それでも家族なんだから理解してあげないと」と言う軽々しい言葉を投げて来るのか、未だに怒りが湧いてくることが多々あります。そして虐待者側からそういうことを言ってくる時も同じです。「私がこんなに頭を下げているのに、お前は何という子だ」と言う言葉も図々しいし、一切反省をしていないからこそ吐ける言葉だと思います。
だからもう一度言いたい。
自分が子供だとしても
相手が家族だとしても、
血縁を嫌っても大丈夫。
親を嫌っても大丈夫。
本当に大丈夫ですよ。
だから、虐待者との縁を切り自分だけの人生を生きて行く事に対してどうか罪悪感を感じないでほしいです。
私がオーストラリアに来て最もショックを受けた言葉は、「理解しなければならない側は子供の方ではなく親の方だ」というのと、「子供に尊敬を求めるのではなく、大人が子供に尊敬を買うために努力すべきだ」という言葉でした。とても当たり前な事ですが、韓国や日本の社会では想像も出来なかった事だったので良い意味でのカルチャーショックを受けました。
特に韓国では子供にー特に長女にとても多くの荷を背負わせる親が多いです。ただの文化の違いと受け止めるには大変間違った教育だと思うのです。常識的に考えたらより多くの経験をして生きた「大人」が目下の人を理解してあげる事が当たり前なのに、まだ幼い子供に理解されたがる親がとても多く存在します。ひどい場合は「私が貴方にどんだけ金を掛けて育てたか分かっているのか!」とか「飯食わせてあげて、家に寝かせてあげてるんだから感謝しろ!」(そういう親程大してお金を掛けていない)と威張りながら責務関係を作ってしまいます。
冷静に聞こえるかもですが、子供は生まれたくて生まれて来た訳ではありません。成人の男女二人(親)が勝手に作った命ですし、子供を産んだら成人するまで育児をするのは親としての当たり前な義務なのです。子供は親の第二の人生でもなく、老後のための保険でもありません。親の「責任」です。考は親が子供から尊敬を買った上に行われる、子供本人の選択であるべきです。なのにまだ成人にもなってない子供に「言うことを聞かないなら家から出てっけ」と脅しながら子供を不安に感じさせる経済的なDVをする人もいますね。
だから私はDV被害に遭って来た多くの子供(もしくは子供だった人)たちにいつもこう伝えています。例え親だとしても嫌っても憎んでも大丈夫だよ、と。そんな自分を責めないでね、と。先ずそこが親からのDVのトラウマから逃れる第一のステップなのではないでしょうか。