宮崎前議員に呆れるのは、育休宣言をしたことでも不倫したことでもなく
フェミニズムと政治ネタで続くのかと自分でも心配だったが、あっというまに2年を突破。前回の連載から今回までもまああれこれネタは盛りだくさん、事欠かない。私の限られた容量いっぱい、どんどん上書き保存するほかにない。と、「育休」を打ち上げるも週刊文春(2月18日号・2月11日発売)で不倫をスクープされるや2月16日に議員辞職をした宮崎謙介前衆議院議員など、私の脳内で真っ先に他のネタに上書きされ記憶から消去されそうだから、俎上に載せよう。
栗林デパ子さんが「あ~あ、オッサンに嫌われちゃったんだね」と言う側面、ありそうだ。とはいえ、国会周辺では、もともとチャラ男で悪名高く、「よりによってお前がイクメンだの育休だの言うな」と苦々しく思われていた宮崎前議員自身を、擁護する気は全く起きない。
というのも、育児参加が出来ていない男性や仕事と育児の両立に苦しむ女性たちの状況について具体的にリサーチした形跡も政策を提言しようという形跡も全く見えなかったからだ。私も人が悪いので、同時期に発売されていた婦人公論2月23日号での吉永みち子さんの対談記事と週刊文春のスクープ記事を交互に読んでウケにウケたが、いやあ不倫があろうとなかろうと、何より呆れたのは、こんなに注目を集めたにもかかわらず、依然として何も考えていないモードであることだ。吉永さんが「今後(男性の育児参加を促すために)どうしていく必要があると思いますか」と投げても、宮崎前議員は「とにかく男性の積極的な育児参加を国民運動のようにやっていくしかありません」とのみ。あのね、あなた運動家じゃなくて議員なんだから(対談当時)、ぼんやりしたこと言わないで、具体的な施策をあげなさいよ!日経デュアルでの駒崎弘樹さんとの対談でも、育休宣言後どんな反応があったか等個人的な話に終始し、具体的な政策についてはノー・アイディアぶりを露呈。
いや待て待て、短い対談記事で判断してはいけない、彼のブログも読んでみようではないか。ん?育休取得が「思いつき」ではない、「実は、出生率を上げるために『両立支援策(女性の仕事と育児の両立)』を推進すべきだということを、初当選の選挙のときから主張しています」(←あれ、「女性」だけ?「男性の仕事と育児の両立」を掲げていなかったわけ?とこの期に及んでも追い打ちをかけざるをえない)とのことで、「証拠画像」がある、と誇らしげに掲げているのは…。なんと…。ひとこと、「仕事と子育ての両立を支援する社会制度と風土づくり」のワンフレーズのみ…。ちょっ、ちょっと本気!?これむしろウケ狙いのブラックジョーク!?初当選以来あなた何やってきたの?他のブログ記事を読んでも読んでも、取材を受けました、とか、首相官邸のwebページからひっぱってきた「社会保障国民会議;第三分科会(持続可能な社会の構築(少子化・仕事と生活の調和))中間とりまとめ」と自分の主張が同じだとか、そんな程度。ん?ちょっと待て。官邸と同じことを言っているだけってそれ自慢!?政府のメニューをぼけっと「同じだ~」と称えるだけの議員なんていらない。議員ならもっと具体的なデータで批判や補足、ツッコみをしてくれなくては。大体、個人個人が豊かに生きていく、健やかに子どもを育てていく、そんな個人の尊重からの視点は感じられない。ひたすら、「出生率の向上」「少子化」と国家視点からのお題目をそらんじてばかりで、あっけにとられるような空疎さだ。
国会で男性の育児を促す制度づくりのため鋭意質問してきたなら、それを真っ先に書くだろうが、初当選時の抽象的な文言だけしか引っ張り出せないありさま。あー、質問なんかしてなかったのだろう。「宮崎謙介氏の国会質問は1年で2回」と報じられている(2月24日NEWSポストセブン)。宮崎氏に限らず、2012年に初当選した議員116人は、暇を持て余しているというのだ。そんなことなら、育休なんてぶちあげなくても…。ああ暇を持て余していたから、不倫もできたのだな…。
いや、待て。確かにアタマカラッポ、チャラ男だとしても、このように注目を浴びたからには、心機一転、歯を食いしばって、勉強に勉強を重ね、地味に地道に育児と仕事の両立に係る諸政策の提案をしてくれたらいいではないか。改善更生してくれたらいい、政治家としては(夫がこれだったら、産後うつになりそうな時期にこれないわ、キツすぎるわ、だが)。おいおい、君がすべきは、派閥幹部に土下座(2月10日21時48分朝日新聞デジタル)なんてことじゃないだろう!とナマ温かく見守ろうとした矢先、なんと、2月12日に議員辞職を表明。
ええっ…。安倍首相は、自身の後援会の会合で、「女性票が減ってしまう」と今後の選挙への影響を危惧したという(産経新聞2月13日7時55分配信)。ええっ。ちょっと、女性票への影響ってそんなレベルと思われているのか。
女性票への影響を気にするなら
むしろ、安倍首相自身の、待機児童の増加につき、「女性の就業者が増えたから、無理もない。嬉しい悲鳴だ」との発言につき、民主党の山尾志桜里議員が「待機児童の当事者、それに「待機児童の当事者、それに対して広がる共感の声を知っても発言を撤回しないのか」とただしても、頑として撤回しないことの影響こそ、心配すべきではないか(東京新聞3月1日朝刊)。現金授受問題の真相追及のため野党が国会招致を要求しているにもかかわらず、「睡障害で自宅療養」との甘利前経済再生大臣、「国は放送局に対して電波停止できる」と発言した高市早苗総務大臣 、講演で国が追加被曝(ひばく)線量の長期目標として示している年間1ミリシーベルトについて「何の科学的根拠もない」などと発言したことをいったん否認したがその後認め撤回した丸川珠代環境大臣、「歯舞群島」を「はぼ、何だっけ」と読めなかった島尻安伊子沖縄北方担当大臣…。そして、安倍首相の、改憲への並々ならぬ意欲も。
「女性票」を見くびらないでいただきたいものだ。はい。