2016年が始まりました。今年もよろしくお願いします。年賀状に「明けましておめでとうございます」と書かなくなって10年以上が経ちます。教育基本法が「改正」されたあたりから、「おめでとう」と書かなくなりました。この間、2013年には特定秘密保護法が成立し、昨年2015年には戦争法までもが成立してしまっています。2017年、憲法「改正」にならないよう、民主主義ってこれだ!と示せる年にしたいものです。
年末年始、のんびりテレビを見る時間がありましたが、最近のテレビ番組は、本当に「食べる」番組や「日本万歳」番組、他国をバッシングするニュースが増えている気がしてなりませんでした。ニュースを見ていても、気がつけば「食べる」ニュース(?)に切り替わり、こんなのを見たいわけじゃないのに・・・と、チャンネルを切り替えることしきり。
昨年末には、注目していた「夫婦同姓」と「離婚後女性にだけ課される再婚禁止期間」についての最高裁判決が出されました。判決はご存じの通り、残念きわまりない判断でした。「女性の活躍」と叫ばれながら、結婚した女性の実に95%以上が夫の姓に変えて結婚後の人生を歩まざるを得ない状況に、「合憲」との判断。姓を変えることによって被る様々な不利益を、世の中の大半の男性が体験していないから、こんな判決を平気で出せるのでしょう。銀行口座に運転免許証、パスポートなどなど、数え上げればきりがない、「しなければならない」変更の手続き。大学教授などの論文の著者名が、姓の変更によって実績の積み重ねを阻んでしまうような例など、「女性の活躍」をあの手この手で遅らせているのも、「夫婦同姓」が一役買っています。せめてもの救いは、「違憲」と判断した裁判官が5人いたことか。この判決で、結婚する気が失せた女性も多いに違いありません。
「夫婦同姓」が「日本古来の伝統」などと勘違いしている人もいるのかもしれませんが、同姓を定めたのは明治民法(1898年)。たかだか100年超の慣習であって、それ以前は、姓を名乗れる人々の間では、別姓が当たり前。日野富子にしてもしかり、北条政子にしてもしかり。本当に女性に活躍を推進するのなら、さっさと夫婦別姓を認めてほしいものです。
「再婚禁止期間」についての判決については、二つの点で注目していました。一つは、女性にのみ課している再婚禁止期間は、男女平等に反しているので、平等にならないのかということ。もう一つは、日本国内にいる「無戸籍児」を救う方向に向かうかどうかということ。戸籍のない日本人については、恥ずかしながら認識不足で、『戸籍のない日本人』(秋山千佳著 2015年5月24日第1刷発行 双葉新書)を読んで初めて、ことの重大さを知った次第です。「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子とする」という、これまた、明治民法の規定により、戸籍が取得できずに、住民票もなく、パスポートも取れず、運転免許証も発行されない人生を歩まされるという不条理。詳細はぜひ『戸籍のない日本人』をお読みください。
「再婚禁止期間」の判決については、日数が短縮されたことで一歩前進したかのような印象を与えていますが、男女平等にはなっていないし、無戸籍児に対する対応が不十分で、こちらも非常に残念な判決に終わっています。今回の判決で民法改正の世論が高まって、無戸籍がなくなることを願ってやみませんが、そもそも戸籍制度自体、いい加減にやめたらいいのに・・・というのが本音です。
そして、2016年0:00過ぎのNHKニュースは安倍首相の年頭所感(日本は危機的な状況にあるから国民総勢で乗り越えよといったような内容)で幕を開け(安倍首相本人は、当然(?)生映像では出てこず、アナウンサーが原稿を読み上げただけ。いったいいつからその年頭所感の原稿はNHKに届いていたのやら)・・・BSニュースでは、ロシアのプーチン大統領も同じような年頭所感を述べていたようだったし、「いずこも同じ」だな・・・と、しみじみ感じた今年最初のニュースでした。
ニュース番組と言えば、報道ステーションの古舘伊知郎さん、クローズアップ現代の国谷裕子さんが、今年の3月いっぱいで降板とのこと。好んで見ていた報道番組のキャスターが軒並み降板するなんて、もう、本当に見たい番組はなくなってしまう・・・と、がっかりしてしまいました。権力側を批判的に分析する報道番組が、これからますます必要とされるのに、そんな番組、もう皆無なのでしょうか。今後、どこから情報を手に入れて社会情勢を見極めていくか、メディアリテラシーが試される日々になりそうです。