Woman Shout-Out 6月の言いたい放題 アメリカは、トランスジェンダーに優しい国なのか? ワタシの美しき友人は、MTFの姫だった
2023.06.09
何を書こう、何が書けるのか?何を書いたらいいのだろう?と、ずっと悩んでおりました。
・・・というのも、最近、コンフォートゾーン(居心地のいい場所の意味)暮らしのワタシ。社会で起きているモメ事に疲れ、関心も薄れ、シャットダウン状態が続いていました。
外で起こっていることに対して、どんどん無頓着になっていく自分を感じながら、コンピューターの画面を見つめるのだけど、キーボードに置いた指は動いてはくれず・・・。居心地が良いコンフォートゾーンは安心・安全地帯ではあるけれど、どんどん無知化していく自分がいる・・・。このままでは、ヤバい。コンフォートゾーンがデンジャーゾーンにもなりかねないと、焦り出すワタシのインスピレーションとなったのが友人の姫。
アメリカで生まれ育った姫は、多才な才能をもち、日本語と英語を流暢にこなす。幼少期から、肩に重い荷物を背負ってきた姫は、17歳で家を飛び出して、一人、車を走らせて、誰も知らない街へと降り立った。以来、誰に頼ることもなく、頼る人もおらず、一人生きるツテを探してバイトや学生ローンを駆使しながら大学を卒業した苦労人だ。
「えっ? 日本語が話せるのですか?」とワタシ。
ワタシが働いている会社にお客さんとして姿を現した姫はノンバイナリーの服装に身を包み、
「はい」と穏やかな口調で答えてくれる。
「ええっ〜! うれしい。ニホン語で話せるね」とワタシ。
「はい」とニッコリと微笑む姫。
実は、ワタシは、100%英語環境である米企業で、日本語を第一言語とする日本人はワタシ一人という環境に身を置いている。もちろん、お客さんとも英語での会話でも一日中、ず〜〜っと英語にど〜〜っぷりと浸かった生活をしている。
しか〜し・・・日本で生まれ、日本で育ち、学生のころに渡米して、ネイティブでないワタシにとっては、どんなに頑張っても英語は第二言語であり、英語を学ぶ身であり、英語で毎日どっぷり生活は、ぶっちゃけ、ときどき、しんどくも感じる。
渡米歴が長くなっても、日本語で話すほうがはるかにラクであるし、細かいことは日本語のほうが話やすく感じることもある。英100%の環境に身を置いていると、これまで以上に日本のものが見たくなったり、聞きたくなったり、日本が恋しくなったりもする。
I NEED TO SPEAKニホン語っ!
I WANT TO TALK ニホン人っ!
I MSS ニホンの文化っ!
と頭の中で呟くワタシもいる。
そんなときに日英語堪能な姫の出現は救世主のようでであり、それ以来、姫とは仲良くさせてもらっている。当時、いつもノンバイナリーな服装に身を包んでいた姫からは、フェミニンさを感じていた。姫の艶々なお肌やしぐさや話し方、立ち振る舞いを見て、女の子なんじゃないかな? と感じていたワタシは、何度か探りを入れてみたこともあったけれど、答えが返ってくることはない。が、そんな姫が昨年の4月にカミングアウトをした。10歳のころに自身を女性だと自認していた姫は、長い間、外では男性として生きてきて、男性として振る舞っていたけれど、現在はトランジション中(性別移行中)のトランス・ウーマンである。
「実は、ワタシ、何度か探りを入れていたこともあったけど、気づいてた?」
「実は、ワタシも、朝美さんは、ワタシは、本当は女の子だけど大丈夫かな? って探りを入れていたこともあるの。でも、いろいろと話してくれたから、大丈夫かなって思った」と、姫。
姫のまわりには、姫がトランスジェンダー であることを受け止められない人がいる。トランス・ウーマンである姫に心ない言葉を投げかけて、去っていく人もいる。姫は、自分自身を受け止めることができず、ずっと自分の身体にディスコンフォートを感じながら生きてきた。
「今まで、いろいろなことを言われてきたから、慣れちゃった」
と、楽天的にその現状を受け止める姫は、カミングアウトしたことで肩にのしかかっていたすべての重り(重石かなあ)がとれてラクになったと話す。今現在もたくさんの壁が姫の目の前に立ちはだかっている。それでも、前へ前へと進もうとする姫の姿は、本当に頼もしく、インスパイアされっぱなしだ。
4月の下旬、東京でLGBTQのイベントがあったと聞いている。
「ニホンも変わってきてるね。頑張ってるね」
と姫と話をしながら、世界各国にいるLGBTQピープルにとって、暮らしやすい未来が訪れることを願ってやまない。
みんなの声が一人でも多くの人に届きますように。そして、姫の声が少しでも多くの人に伝わりますように。アメリカのトランスジェンダー が置かれている知られざる事情があります。読んでいただけるとうれしいです。
「二重のマイノリティに苦しんだ私が「偽りの人生」を捨てるまで」
https://www.cosmopolitan.com/jp/trends/society/a43426233/ryan-takemi-interview/