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ラブピースクラブのコラムを書き始めて、まる10年の春です。

コラムのご縁をつないでくれたRさんに感謝。
Rさんはフェミニストカウンセリングで出会った元クライエント。もうずいぶん会っていません、元気かなあ。

初めて会ったのは10年以上前。
当時のRさんは赤ちゃんを連れていて、人見知りの時期で託児ができず、ゆっくり話し込めない日もありました。お互いに在日ルーツを共有することもあってか、短い期間で終わっていたけど、その後が気になる印象深い人でした。
それからたぶん2年後くらいに、電話をもらいました。
今は東京にいて、ラブピで仕事をしながらライターの道を歩き始めているという近況。
うっわ、そうだったの。そうか~、大きな決断をしたんだね。

「この人は自分が選ぶべき道をわかっている」、初回からそんな感じをもつ人だった。自分のセンサーはおかしくないか、「変だ」と思うことをわかってもらえるか。それを確認したいのだろう。そう思えたし、たぶんそうだった。
なので、Rさんの近況を聞いたときはうれしかった。そう、よかったねってうなずいた。
自分がいったん決めた道を、歩き出している道を選びなおすって、そう簡単じゃないもの。相当な勇気がいるし、決断できてもいざ行動する、となると大変な労力がいる。
フェミの気概のある人と思っていたけど、よくここまで来たね。いったん乗った船の舵を切るって、乗るより降りるほうが難しいもの。誰も降りることを考えずに乗っちゃうから。
電話口から、Rさんのすっきりした雰囲気、自分の道を行くパワーと自信が伝わってきてうれしかった。

ひとしきり近況を聴いた後、連絡をくれた用件が、

「フェミニストカウンセリングのこと、コラムで書きませんか? できれば、ぜひ!」

突然でビックリ。え、コラムですか。なんとラブピースクラブに!? うわ……。

「ちょっと待った、考えさせて……」

そう言って、何日か悩んだ……。

「しゃべり」ならいいんだけどね、と苦手な「書く」コラムを引き受けてしまった。
「フェミニストカウンセリングを知ってほしい」というあなたの想いのおかげです。
ラブピとつないでくれて、ありがとー。
スルスル書ける人がうらやましい。こんな私が書いててええのかといまだに自信がない世界。「読んでます」なんて、時折いただく声は恥ずかしくて。でも正直うれしくて励まされます。なかなか書けない原稿を辛抱強く待ってくれるスタッフさん、いつもゴメンナサイ。今ではこれも私の人生の一部やと感謝しています。

Rさんはその後、ラブピから自治体の職員に転職して、地域の男女共同参画事業やフェミニズムの啓発に取り組んでいると聞いています。自分の人生を歩いているフェミニストのRさん、久しぶりに会いたいなあ。

さて、10年たって、私70歳。堂々のシニアです。
やっと最近⾃分の年齢を⾔ったり、書いたり、⾃覚したりするようになったというか……まあ慣れてきました。なんでしょうね、70という数字に、その年齢をまともに受け⼊れるのに時間がかかったというか、目を背けたいというか。
抵抗しようがないとこで、なんの抵抗やねんって⾃分でも恥ずかしいわ……。

すでに所属ルームで「定年」になったことは昨年コラムに書きました。
⼥性の相談⽀援事業の現場は⾼齢化しているから、他の⺠間フェミカンルームにはほぼない規定です。

規定は、「新規のカウンセリングはできない」(継続ケースは責任もって担当します)
私の⼈⽣の半分近くは「フェミニストカウンセリング」で生きてきたので、カウンセリングができないと、幕が下ろされてみると、その現実はけっこうきついものでした。

「私はカウンセリングが好きなんや、やっとわかってきたのかな」、そんな境地に到達したのは、ほんの少し前だというのに。

20年やらないとわからない世界なんだよ、学びも経験もエンドレスだというのに!
そんなジタバタする⾃分の気持ちを整理するのに、みっともなくグダグダと時間がかかりました。それだけ未練もあってのことでした。

「もう十分。よくやってきたよ、お疲れ、YURIさん!」

やっとチェンジの準備ができました。

今春、認定フェミニストカウンセラー資格を更新(期間は5年)しました。
この5年は、おまけ時間と考えて、気持ちも行動もリセットです。

「YURIさんのフェミカンルーム」再出発、ということにします。

女性相談・支援の現場で、専門家や支援者をめざす若い人が少ないのは、専門性に見合う収入が保障されないままの現状、雇用条件の不安定さが常に問題です。
それでも、意欲のある若い人たちに続いてほしい。そんな人たちへのサポートや協力ができたらうれしい。

「YURIさんのフェミカンルーム」は、どこでだってできます。
札幌、東京、ソウルだって行けるよぉ、と言いつつ、やっぱり、現実はオンラインか。
会いたい人に会って、シスターフッドのつながりも広げたい。遊んで、楽しみたい。
時間や場所にしばられないで、⾏きたいところに行って、住むのもいいな。
今は解放された気分になれてうれしい。自由っていいな~♪

これからだって、夢をもとう。欲張ったっていいじゃない。
「私」を愛して⽣きていこう。

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具ゆり

具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んでいる。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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