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被爆69周年原水爆禁止世界大会・長崎&一般社団法人”人間と性”教育研究協議会主催第33回全国夏期セミナー大分大会に参加してきました

深井恵2014.08.25

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この夏、夏期休暇を利用して、「被爆69周年原水爆禁止世界大会・長崎」と一般社団法人"人間と性"教育研究協議会主催第33回全国夏期セミナー大分大会に友だち二人で参加してきました。原水禁の大会には初めての参加で、非常に刺激を受けました。一緒に参加した友だちは、「原爆の記憶を漫画化して世界に発信したい。被爆体験者の方から直接話を聞けるのは、もうわずかな時間しかない」と、精力的に大会に臨みました。
初日は長崎原爆資料館を見学したのち、開会総会。主催者代表のあいさつや、海外ゲストのステフィ・レムケさん(ドイツ連邦議議員)のあいさつ、福島からの訴えに続き、長崎からのメッセージとして、田上富久長崎市長や高校生国連大使、高校生1万人署名活動実行委員会のメッセージがありました。高校生が活動している姿を目のあたりにすると反戦平和のバトンが次世代に受け継がれているという実感が湧きます。
夜は同じ県から参加している広島の被爆体験者の方々との交流会。地元の被爆体験者の方とお酒を酌み交わしての交流は貴重な体験となり、世界大会後に地元に戻ってからもつながりを持たせていただける機会を得ることができました。その方は、8月6日朝8時頃、お姉さんと二人の弟さんの四人で、親御さんに頼まれた買い物に出かけ、その途中で被爆されたということでした。細い路地から大通りに出る間際のことだったそうです。一足先に大通りに出ていたお姉さんは、強い爆風・熱風を受け、ひどい火傷と怪我を負い、皮膚がはがれて垂れていたそうです。幼い弟さんたちは爆風で飛ばされ、がれきの下敷きになっていたところをようやく見つけ出し、炎が襲ってくるなか、溶けて熱くなっているアスファルトの上を命からがら駆け抜け、河口付近までたどり着いたということでした。逃げる途中、頭が千切れた死体や足の肉が削げ落ちて骨がむき出しになった状態で横たわっている人など、無数の被爆した人々の姿を目にし、河口では兵士たちが、流れてきた多くの遺体を小舟で引き上げる作業を行っていたそうです。ご両親とはその後全く連絡が取れず、お姉さんも弟さんも被爆後間もなく亡くなって、生き残ったご自身も病を患っているということですが、「病に打ち勝って100歳まで生きる!」「戦争は二度としてはならない」「戦後69年間戦争をしてこなかった日本。憲法9条があるからだ。これを遺産にしなきゃならん!」と、気丈に語ってくたさいました。
二日目は分科会に分かれての参加。午前中は「見て・聞いて・学ぼう"ナガサキ"(入門編)証言と映像による被爆の実相と平和運動交流」の分科会に参加しました。前半は長崎で被爆された方のお話を聞き、後半は、『週刊金曜日』で連載中の四コマ漫画「さらん日記」でおなじみの西岡由香さんのお話を聞きました。西岡さんは、原発に頼らない自然エネルギーについて、全国各地を取材されています。また、西岡さんは『さよならアトミック・ドラゴン 核と原発のお話』(凱風社 核・原発関連事項の監修・藤田祐幸 900円+税)で漫画と文を書かれています。小学校高学年以上向きの本で、子どもたちにもわかりやすくまとめられており、オススメです。
午後は、バスツアー「小浜温泉バイナリー発電」の見学。午前中に講師を務められた西岡さんが案内役をしてくださり、興味深い内容でした。温泉街の地域で、既存の温泉に影響を出さずに、100℃以下で沸騰する液体(アンモニア、ペンタンなど、通常沸点が30℃以下のもの)を温泉の熱で温めて蒸気をつくり、発電するという仕組み。天気に左右されないし、二酸化炭素もほとんど出さないというからすごい。温泉水を通すパイプ内にたまる「湯の花」の処理が課題だということですが、大きな可能性を秘めた発電だということに間違いはありません。
長崎大会の翌日から、性教育の全国セミナー大分大会に参加。日程の都合上、二日目からの参加となりました。大会二日の午前中は、「性別って何?」というテーマでの高校の模擬授業を受けました。人間の性別を①生物学的な性、②性別自認(こころの性・自分の性別を何であると考えるか)、③性的表現(自分の性を何であると表現するか)、④性的指向(自分の恋愛や性愛の対象とするのはどんな性別?)、⑤法律上の性、これら5つの観点から生徒に考えさせる授業でした。性には無限のグラデーションがあることを生徒に伝えることのできる内容でした。
午後は、全国47都道府県のうち、「青少年健全育成条例」が唯一制定されていない長野県からの報告を聞きました。子どもが性被害にあうケースが増加しているというデータを持ってきて、青少年健全育成条例が必要だという結論に結びつけている「子どもを性被害等から守る専門委員会」の報告書に対して、性教育の後退が招いたものだと指摘をした意見書を提出したり、性教育を行う教員の育成が大切だと公聴会で発言したりした活動が報告されました。
この分科会では、コーディネーターの安達倭雅子さんから、2003年に東京都議会で、七生養護学校で「不適切な性教育が行われていると、ある都議から出された質問を機に行われた「視察」(都議、都教委、産経新聞記者)と、その後の裁判について詳細なお話がありました。七生養護学校「こころとからだの学習」裁判は2013年11月28日、最高裁で教員側の勝利判決が決定。いただいた資料によると、判決が明示したことは、①七生養護学校の性教育への介入は違反行為であること、②七生養護学校の性教育に学習指導要領違反がないこと、③教育現場の創意工夫が大切であることです。「学習指導要領は一言一句が拘束力があるものではなく、抽象的ないし多義的で異なる解釈や多様な実践がいずれも成り立ちうるような部分等は、教育を実践するものの広い裁量に委ねられている」「教育委員会は、教員の創意工夫の余地を奪うような指示命令を行うことは許されない」とうたった判決は、性教育を実践している教員にとって、大きな励みになります。安達さんは、性教育が後退しているいま、この判決文を全国に広めたいともおっしゃっていました。
最終日は理論講座。前半は「『日本における包括的性教育の手引き』を考える ~日本の性教育の可能性を拓くために~」と題しての田代美江子さん(埼玉大学教員)のお話。田代さんのお話では、ヨーロッパ、アメリカ、韓国、台湾、中国等の世界各国で行われている性教育の実際が、制度的基盤や子どもたちが使っている教材の画像等を交えて詳細に伝えられました。日本の性教育の状況が世界的に見ていかに遅れているか、というよりも、むしろ後退している今日の状況が浮き彫りになりました。田代さんは、現在の日本でどこに希望を見出すかについて、学校教育での「保健」や「生物」「家庭」の授業のみならず、すべての教科で可能であること、そして「総合的な学習の時間」をどう組み立てるかによっても、可能性が見い出せるとおっしゃっていました。
後半は、「女性記者として考えたこと ~何を書くか。どう書くか。マイノリティへの共感~」と題してフリーライターの山城紀子さんが講演されました。山城さんは新聞記者として働きながら、「男社会」の新聞産業のダブルスタンダード(男女平等を否定するメディアはないが、長きにわたって女性記者を採用してこなかった歴史的事実等)のことや、「障がい児・者」や認知症の高齢者ケアに関する取材を重ねていく中で、共に生きていく社会をめざすことを意図した記事を書くようになった経緯など、実体験に裏打ちされたお話をしてくださいました。かつて新聞社内で当たり前に使われていた軍隊用語(記者のことを「兵隊」と呼んだり、事件・事故等で一番最初に現場に行く若い記者を「一番機」と呼んだりしていたという)のお話にはびっくりしましたが、労働組合用語にも似たような側面があるなぁと我が身を振り返ったところです(たとえば、「戦術会議」といった用語がいまだぬ使われています。用語を変えようと提起しましたが、受け入れられないまま今日に至っています)。
原水爆禁止世界大会・長崎と性教育の全国セミナー。充実した夏期休暇となりました。二学期も教育実践がんばろっと。

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