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「従軍慰安婦」を容認する橋下発言

深井恵2013.05.01

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 参議院選挙を間近にひかえ、さまざまな発言が報道されている。村山談話に異を唱えた高市発言、そして「従軍慰安婦」を容認した橋下発言・・・。得票につながるとでも思っているのだろうか。だとしたら、反自民・反維新の立場の人たちにとっては有り難い感覚だ。そのズレた感覚のまま突っ走ってもらって、自民・維新からどんどん票が離れていってくれることを願う。しかし、世界的に見たら、日本の恥を晒しているように思えてならないけれど・・。
 橋下発言によれば、軍隊には「性的な欲求を解消する策が必要なことは厳然たる事実」らしい。石原慎太郎共同代表も「軍と売春はつきもの」と発言をしたとのこと。沖縄での橋下発言は、米軍に対して風俗業の利用を促す内容だったというから、もう、開いた口がふさがらない。女性を、男性の性欲のはけ口にしか思っていない人権感覚だ。彼が弁護士の資格をもっているというのだから、げんなりする。(まぁ、法曹界が典型的な男社会で、女性に対してダブルスタンダードで裁いているのは自明の理なので、当たり前の感覚か? しかし、人権意識の高い弁護士もたくさんいるはずなのに・・・)。したくもない相手から無理矢理性器を突っ込まれる感覚を、「従軍慰安婦容認」を唱える人には想像していただきたい。「軍隊に必要だから、あなたの性器を使います」と言われて、彼らは断らずに自分の体を差し出すだろうか(想像したくもないが)。「自分の性欲処理くらい人の手を借りずに自前でやってくれ」、そう言いたくはならないだろうか。
話は変わるが、「女性手帳」なるものを日本中の女性に配ろうとする動きが出てきているという。6月に出される「骨太の方針」で明らかになるという。対象となるのは10代から。医学的に30代前半までの妊娠・出産が望ましいことなどを周知し、晩婚・晩産に歯止めをかけるつもりらしい。母子健康手帳よりも早い段階から「女性手帳」を配って、20代のうちにがんばって身ごもってもらいたいようだ。そして、安倍首相がいうように、3年間は育児に専念・・・。できるか、そんなこと? いまの若者に。非正規労働が二人に一人になろうかという20代。不安定雇用では安心して家庭を持つことができないと、結婚に二の足を踏む若者も多い。自分の生活を維持していくので精一杯、子どもができたら働けなくなって、生活にも事欠く・・・そんな苦しい状況に置かれている若い世代に、食べられもしない手帳で少子化対策しようっていうんだから、勘違いも甚だしい。こんな勘違い手帳にいったいいくらの予算をつけようとしているんだか。
男女平等が進んでいる国は、出生率も高いというのは世界の常識だ。男女ともに仕事と家庭を両立して豊かな人生を送る。残業続きの過労な状態が常態化している日本型の労働にこそ問題があるのであって、女性に手帳を配ればすむという話ではなかろう。しかも、若い世代ほど低賃金で、共働きでなければゆとりのある生活はできにくい。非正規率も高いから、産休・育休もとれるとは思われない。
 ひところ、「卵子の老化」が話題になっていた。女性は若いうちに妊娠・出産するよう、あの手この手で情報を流しているように思えて仕方がなかった。同時に「精子の老化」も話題にしろよ、と思っていた。肉体の老化は体のあちこちに出てきて当たり前。老化によって白髪やハゲが進んでいても「精子だけはいつまでも若いまま」とでも言いたいのか。「年の差婚」が話題になったのも同時期だ。男性が圧倒的に高齢で、若い女性とのカップルばかりだった。手帳を配って、女性に「若いうちに妊娠・出産しなきゃ」と焦らせ、でも相手は年の離れた経済的には豊かな高齢男性・・・を狙っているのか。こんな社会が「サトリ世代」を生みだし、夢を描けない子どもたちにしてしまっていると思えてならない。
全日制に異動して一ヶ月余り。幸いにも、クラスの生徒は大半が学校が楽しくてしかたないと思っているようだ。その生徒たちが、このまま、楽しいと思える学校生活、そして、社会生活であってほしい。「おとな」の私は楽しい人生を送っているか、これから先も楽しい人生か。参議院選挙の結果いかんによっては、楽しんではいられない生活がこないとも限らない・・・さわやかな気候の5月に、不気味な暗雲を感じる今日この頃である。

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