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幸せな毒娘 Vol.10 愛ではありませんでした ⑤ もしかしてあなたもDVされてませんか?(下)

JayooByul2023.02.17

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ナルシシストは皆、自分の利益のために嘘をつきますが、親密な関係にある人が相手となると少し特別な嘘をつきます。それは相手を期待させてからがっかりさせると言う「希望拷問」と言う手口です。相手が望んでいることを叶えてあげると嘘をつき、希望を持たせ続けつつ自分のところへ引き止めとこうとする悪質な行為です。被害者はこれからきっと何かが変わると希望持ちますが、それが繰り返し壊されることにより、どんどん希望を抱くことにも疲れてしまい、生きる楽しさを失ってしまいます。後からその約束について尋ねると、彼らはまた約束を破ったことに対し、貴方に責任を転嫁するか――覚えていないと新たな嘘をつくでしょう。私が父に最後につかれた嘘は、「大人しく大学に入学すれば夜間で私が望む声優の専門学校に通わせてあげるし、どっちの学費も生活費も全部払ってあげる」と言う、今思うと詐欺のような好条件の約束でした。いつも約束を守ったことのない父だったので、何故それにまた騙されたが今でも疑問です。きっと心のどっかから最後の最後まで父を信じたかった子供の本能だったのかも知れません。

上に挙げた例と少し似ていますが、虐待者は相手の大事なものを壊していくのが好きです。そしてそれをまた相手のせいだと相手のことを責めます。まるでサイコパスのように聞こえるかも知れませんね。私は成績が落ちたとか、父に口答えをしたとかのくだらない理由で毎回大事に集めていた宝物を捨てられました。物はその都度違いますが、当時に凄くハマっていて最も大事にしていた人形やアニメのCD、映画のグッズなどが被害に遭いました。私が小学校4年の頃、父の酷い悪戯に恥をかかされ手に持っていた卵一つを床に投げてしまったことがあります。恥ずかしさをどうやって表現すれば良いか分からない未熟な子供ならではの行動でした。でもそれに父は激怒し、私を何回も殴り、髪の毛を引っ張ったまま部屋の中をぐるぐると歩き回りました。頭皮は腫れあがり、一週間が経っても痛みが残っていたのをいまだにはっきりと覚えています。その後、私が大好きだった人形とドールハウスが全て燃やされましたが、その時はきっと私が悪いことをしたからだと思い込んでました。

そうやって毎回集めていた物全てを捨てられてきたため、徐々に物をあれこれ派手に集めることは無くなりました。中学生になった頃は父の目の届かない机の引き出し一つを私の宝箱としてこっそりと使っていたのですが、それも「女の子と仲良くペンパル(文通)をしていた」ことを理由に目の前で破られて捨てられてしまいました。それ以来、私はモノへ愛着を持てなくなってしまいました。なのでいまだに誰かに誕生日プレゼントとかで欲しいものを聞かれると何も答えられません。人に尽くすことは出来ても、自分に尽くすことが出来なくなってしまったのです。

そんな彼らは自分の機嫌に触ることがあると、小さなことも大げさに膨らませます。例えば、私の父の場合、暗記の弱い私が小学校の美術の筆記試験で40点を取ったことで、「お前の人生は終わった」と何度も何度も言い聞かせました。もちろんそんなことで私の人生が暗闇に落ちることはありませんでした。どっちかと言えばそんな親のもとに生まれてしまったことが最もの不幸です。

不思議なことに、そうやって堂々と人を利用し虐待する彼らは、自分たちがしたことを他の人にバレることが最も怖いと思っています。そのため、もしバレることがあるとしても、大体覚えてないとかやっていないと嘘を付き続けることが多いです。もちろん彼らは人にバレないために被害者と周りの人を上手くコントロールするので、実際のDVは統計に出ている数値より遥かに高いと思います。私の父はまず、私が病院に運ばれた時、世間に彼の醜い顔が知らされる事を恐れ、お医者さんに嘘をつけ、と私をコントロールしました。何かで脅されたわけではありませんでしたが、それまでのさらされた長い暴力によって私はそう言わざるを得なかったのです。

私の留学生活が長くなるにつれて、少し父の恐怖から離れることができ、その恐怖が怒りに変わった時がありました。その時私は私の被害事実を自分のブログに書き込み、同じ立場にいる多くの女性たちから応援のコメントをいただきました。しかしその解放感も一瞬に過ぎず、そのブログも父にバレてしまい何回もIDを変えたり、記事が書けなかったりと辛い日々が続きました。どうやって私のブログを知ったのかは分かりませんが、そうやって被害者をしつこくずっと観察(ストーキング)するのもナルシシストの特徴らしいです。もちろん私の記事を読んだ父は「親の恥をかかせて嬉しいのか。どうせお前が恥をかくことになるんだぞ」と、私を責めました。同じ立場にいる女性たちのための相談にも乗っています、と書いてあった私のプロフィールにもケチをつけ「君なんかが人のために何かが出来るはずがない」と屈辱してきました。じゃあ私には一体なにが出来るのだろうか。何をすればいいのか。全ての希望と力を奪われたかのような気がしました。

ここまで来ると、何故父と(物理的に)離れてからすぐ縁が切れなかったか――電話に出なければバイトもでき、自由に過ごせたのではないかと疑問に思う方もいるかも知れません。ですが、その時の私はまるでパブロフの犬のように、父の電話に出ないことが出来ませんでした。身に染み付いた恐怖は、電話の発信者を確認するだけで体を凍らせていたので、父からの電話をブロックするどころか電話が鳴るだけでも強い緊張感を感じていたのです。

そして「親の言うことは絶対で、家族との縁は決して切れないモノ」という韓国文化の特徴もありましたが、当時はネットもここまで普及してなかったので、こういった被害者の事例を接することもなかったのです。そのため私がどういう状況に置かれているのかきちんと判断出来ていませんでした。

今は逃げてばっかりじゃキリがないと思い、ブログもYOUTUBEも続けていますが、そうやって自分の人生を取り戻すまではかなりの時間が掛かりました。今振り返ると、父はとてもクズみたいな存在でしたが、それでも心から深く愛していたところが何よりも明確な虐待の証拠ですね。

虐待者の8割以上が男性であるため時々「彼」と名付けましたが、もちろん女性の加害者も存在します。男同士でも、女同士でも起こり得ます。しかし親子関係でない、大人同士においては加害者の性別によってその被害の様相が変わってくるようです。Lundy博士の研究によると、女性の被害者は命への危機を伴う強い恐怖心を感じるため逃げることすら戸惑うが、男性の被害者の場合は女性に殴られたところで「イラつく」、「女性に殴られてプライドが傷ついた」等の不愉快な感情を抱く程度らしいです。それは男性たちは既に「生まれ持った身体の差」に気付いているからではないでしょうか。

私が挙げた例を見て、もしかしたら私が/もしくは私の友人が同じ被害に遭っているかも知れないと思った方がいるかも知れません。それでも自分が本当のDVに遭っているのかどうか確実でない場合は、それを確かめるもう一つの方法があります。DVと決定する最も大事な条件は「持続性」です。人は感情のある生き物なので、感情が激しくなると口を滑らすことはもちろんあります。しかし普通の人間であれば、時間が経ち理性を取り戻すと、自分がやったことを恥に思い、相手にちゃんと謝罪をします。しかし虐待者(ナルシシスト)は自分の罪を相手に転嫁するか、言い訳まみれの嘘をつき続け、真面に謝ることが出来ません。もし謝るとしても何度も何度も同じ過ちを繰り返します。そしてその行為はエスカレートしていきます。

逆に私がやっていることがDVだったのではないかと思われた方もいるかも知れませんね。安心してください。本当のナルシシストは常に自分が無実な被害者だと信じているので、何を言われようが自分を疑うことはないのです。なので自分の行動を振り返ることができる方は、これから大事な人をより大事にしていくことが出来ます。

ここが大事です。虐待者は絶対反省しません。なので変わることもありません。自分が悪いと思わないので、基本謝罪する必要もないと思っています。もし彼らが謝罪をするとしたら、自分より強い者に頭を下げ自分のキャリアのために利用する価値がある時だけです。心が痛むことですが、彼は貴方を愛していません。彼らの言う「お前が俺を怒らせなければ」とか「お前のことを愛しているからこそ」などの言葉はあくまでも悪役になりたくない自分を守るための言い訳に過ぎません。


今の私は自分のことを信じています。

私は間違っていないと。

私は十分に愛される価値があると。

だから皆さんも、情けと憐憫に流されないでください。

「自分」を殺そうとする人を絶対許さないで下さい。

それは、愛ではありません。

全て壊れてしまったようでも、まだ遅くありません。周りに誰も残ってないと思うかも知れませんが、自分が自分自身を愛せるようになった瞬間、世界はガラッと変わります。より明るい世界と人々が自分の周りにこんなにも沢山いたんだ、と気づくようになります。

貴方は本当に、本当に、本当に、大丈夫だから。きっと全て上手く行きますから。
だから少しは自分に息抜きの余裕を与えてみたら如何ですか?

今回の話は、私がつい最近、オヨメに聞いた印象的な言葉で締めたいと思います。
「人は愛していたら出来ないことを本能的にわかっているから」


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