大阪市長の橋下さん、「業務命令」で職員にアンケートを実施したようですね。アンケートの名称は「労使関係に関する職員アンケート」。調査対象は大阪市職員(ただし、任期付職員、再任用職員、非常勤嘱託職員、臨時的任用職員、消防局職員を除く)とのこと。
アンケートは、氏名、職員番号、所属部署、職種、職員区分等を記入(といっても、『手書き』は不可。庁内サイトシステムの利用に限る。つまり、PCからの入力。)したあと、「Q あなたは、これまで大阪市役所の組合が行う労働条件に関する組合活動に参加したことがありますか(現在組合に加入していない方も過去の経験でお答えください)。(注)「誘った人」の氏名は、回答いただかなくても構いません。末尾に記載した通報窓口に無記名で情報提供していただくことも可能です。」という問が続きます。これについて記入する項目には次の選択肢があり
1.誘われていないが、自分の意志で参加した。
2.誘われたので参加した →(活動内容、誘った、誘われた場所、誘われた時間帯)などを記入
3.参加していないが、誘われたことはある。→(誘われた活動の内容、誘った人、誘われた場所、 誘われた時間帯)などを記入
4.参加したことも、誘われたこともない。
5.組合に加入したことはない
以下、Q「あなたは、この2年間、特定の政治家を応援する活動(求めに応じて、知り合いの住所等を知らせたり、街頭演説を聞いたりする活動も含む。)に参加したことがありますか」や「職場の県警者から、特定の政治家に投票するよう要請されたことはありますか」「『紹介者カード』を配布されたことはありますか」「職場において選挙のことが話題になったことがありますか」「あなたは、組合に加入していますか」「組合に加入することによるメリットをどのように感じていますか」「組合にはどのような力があると思いますか」「組合に加入しないことによる不利益は、どのようなものがあると思いますか」云々といった問が続きます。
このアンケート調査については、職員に対して「大阪市長 橋下徹」名の署名入りで、以下の文書がつけられていたようです。
「このアンケート調査は、任意の調査ではありません。市長の業務命令として、全職員に、真実を正確に回答していただくことを求めます。
正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます。
(中略)
また、仮に、このアンケートへの回答で、自らの違法行為について、真実を報告した場合、懲戒処分の標準的な量定を軽減し、特に悪質な事案を除いて免職することはありえません。以上を踏まえ、真実を正確に回答してください。」
これは明らかに不当な攻撃です。不当労働行為だと思います。労働基本権として、日本国憲法第28条「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」とはっきりと謳われています。労働組合法第7条には不当労働行為としての規定もあります。「橋下さんは確か、弁護士だったはず(違いましたっけ?)・・・ですが、このアンケートが違法だという認識を持っていないんでしょうか。こんな違法アンケートがまかり通ってしまえば、その余波は全国に、そして、公務員だけにとどまらず、民間企業に至るまで悪影響を受けかねない由々しき事態です。おかしいことはおかしいと声に出す。『茶色の朝』(フランク・パヴリフ著)が来てしまう前に、一人ひとりがしっかり声をあげていかねなければ、「いつか来た道」になりかねません。
今月は、労働局に行ったお話をするつもりにしていましたが、大阪市の状況を知ってしまったら、それどころではなくなってしまいました。30年前に会社でラジオ体操をするのを拒否したことに端を発して解雇された田中哲朗さんを撮影したドキュメンタリー映画『田中さんはラジオ体操をしない』(マリー・デロフスキー監督 オーストラリア:カナダ国際労働者映画祭 2009 グランプリ受賞)(田中さんは、多田謡子反権力人権賞を受賞。いまもなお、その解雇した会社の前に毎朝立ち、抗議行動を続けている)が、脳裏をよぎりました。一人でも多くの人が「それはおかしい」と声に出すことで、この状況にストップをかけられると信じています。