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鬱々とした6月に思うこと

深井恵2008.06.16

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6月に入って、いろいろなことがありました。
秋葉原で起きた通り魔殺人事件。亡くなられた方々、遺族の方々、どんなに無念だったろうと思います。殺す相手は「誰でもよかった」との供述。怒りの矛先を誰に向けていいのかわからない、だから相手は誰でもいい・・・。
小泉政権下で規制緩和の名のもとに派遣法が「改正」され、働いても働いても十分な生活費が得られない「ワーキング・プア」と呼ばれる若者が急増。「希望は戦争」とまで言い出す若者も出てしまっています。攻撃の矛先を社会へ向けるのは、男性にその傾向が強いのではないでしょうか。

同じように「ワーキング・プア」の状況に置かれた女性が、男性と同じように社会への暴力に走るでしょうか。女性の場合、自分の外へ攻撃するのではなく、攻撃の対象を自分に向ける・・・自傷行為・・・の率が、男性より高い気がします。
また、昨日の岩手・宮城の大震災では、被害に遭われた方のお気持ちを思うと、胸がつぶれる思いです。一刻も早い復興と回復をお祈り申し上げます。

そして、また、被災地での二次的人災がないことも、願わずにはいられません。阪神・淡路大震災の時も、アメリカで起きたハリケーン「カトリーナ」の被害の時も、悲しいことにレイプ犯罪が多発したそうです。支えあい、助け合わなければならないときに、性的暴力を使う心ない一部の男どもがいるという現実。
「性的暴力」と言えば、戦時性暴力「従軍慰安婦」を扱ったNHKのETV特集の番組改編問題の最高裁判決は、残念ながら「不当判決」でした。

この最高裁判決が出される直前に、BRC(放送と人権等権利委員会)が、07.1.29放送のNHKのニュースウオッチ9のNHK番組改変訴訟の判決報道についてバウネット・ジャパンが「公正・公平を欠き、放送倫理違反である」と申し立てていた事案について、「公平・公正な取り扱いを欠き、放送倫理違反があったといわざるを得ない」との決定を下していました。
最高裁判決もきっと高裁判決を支持してバウネット側勝訴の判決をくだすものと期待していただけに、がっかり・・。「期待権」は保障されないということでしたが・・・。

映画『靖国』に登場した刀匠も、そういえば、「期待権」と同じようなことで訴えていたような気が・・・。こっちの期待権も当然ないのでしょうね。
その少し前の6月4日の最高裁判決で、結婚していない日本人の父とフィリピン人の母から生まれた子どもに日本国籍が認められました。両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない現在の国籍法が、憲法第14条の「法の下の平等」に反すると判断したものです。

いままでが違憲状態だったとはいえ、子どもの人権を最優先に考えたこの判決は、「ニュー・カマー」と呼ばれる子どもたちの多くにも、明るい兆しを感じさせる判決だったと思います。法務省も、無国籍女性の子どもの戸籍を作成する方針だそうで、まだまだ問題はあるものの、大きな一歩前進だったと言えます。

私の勤める学校にも保護者がフィリピン国籍の生徒が複数います。東京都新宿区の公立小学校では生徒の3分の1近くが日本国籍ではないということです。学校では保護者宛のプリント類に、ルビをつけたり、英語で作成したりして、少しずつですが対応しています。
生徒用については、まだまだ改良の余地があると反省しています。読めて当然、書けて当然という意識で授業をしたり、試験問題をつくったり・・・。学習障害のある子どもたちへの対応にしてもしかり・・・。
ユニバーサルな視点をもって教育実践をしていくことが、さまざまな生徒への対応につながる・・・そう信じて、試行錯誤な日々です。

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